地球環境
北西太平洋地域海行動計画
(North-west Pacific Action Plan:NOWPAP)
1 概要
- (1)国連環境計画(UNEP)は,1974年に閉鎖性水域の海洋汚染の管理と海洋及び沿岸域の資源の管理を目的として地域海計画(Regional Sea Programme)を提唱し,UNEP管理理事会決議により,地域行動計画(regional action plan)の策定を繰り返し要請してきた。これに基づき,UNEP以外のものも含めると世界の18地域(地中海,カリブ海,黒海,東アジア海,南太平洋等)において140を超える国や地域により地域海計画が策定済又は策定中である。
- (2)北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)は,こうした地域海計画の1つであり,1994年9月,日本,韓国,中国及びロシアが出席しソウルにおいて第1回政府間会合を開催し,関係国が協同してNOWPAPに取り組むことを承認した。
- (3)現在,6つの具体的な行動計画(データベース及び情報管理システムの設立,各国の環境法・目標・戦略・政策のレビュー,地域のモニタリングプログラムの設立,海洋汚染に対する準備・対応,地域活動センター(RAC)とそのネットワーク設立,海洋・沿岸環境に関する普及啓発)を踏まえた具体的なプロジェクトが個別に進められている。
2 組織
NOWPAP発足当初はUNEP本部がNOWPAPの暫定事務局としての業務を行ってきたが,2005年1月,事務局機能を担う地域調整部(RCU:Regional Coordination Unit;所在:富山及び釜山)が稼働を開始し,各地域活動センター(下述)を統括・調整している。
(1)地域活動センター(RAC)
第4回政府間会合(1999年4月,北京)において,NOWPAPの各事業の拠点となる以下の4つのRACの設置が決定された。
- データ情報ネットワークに関する地域活動センター(DINRAC):中国
- 汚染モニタリングに関する地域活動センター(POMRAC):ロシア
- 海洋環境緊急時準備・対応に関する地域活動センター(MERRAC):韓国
- 特殊モニタリング・沿岸環境評価に関する地域活動センター(CEARAC):日本
CEARACについては,富山県にある財団法人環日本海環境協力センターが指定されている。
(2)地域調整部(RCU)
ア RCUの業務等
第5回政府間会合(2000年3月,インチョン)において,RCUの主な業務として,(ア)NOWPAP活動の調整,(イ)政府間会合,専門家・各国代表会合等の開催,(ウ)会議文書,報告書等の作成,(エ)メンバー国との連絡,調整,(オ)他の地域海計画,関係国際機関等との連絡調整等を行うこととなり,また,UNEPの一組織として設置することで各国が合意した。
イ RCUの設立等
RCUの設立場所については,我が国及び韓国が熱意を持って誘致した結果,第6回政府間会合(2000年12月,於:東京)において,RCUの事務所を富山及び釜山の双方に設立することが原則合意され,第21回UNEP管理理事会(2001年2月,於:ケニア)において正式に承認された。また,第7回政府間会合(2002年3月,於:ウラジオストク)において富山事務所と釜山事務所の間で業務の役割分担等の詳細事項が合意され,富山事務所については2003年9月,わが国とUNEPとの間のホスト国協定が締結され,また,2004年9月には,釜山事務所に関する韓国とUNEPとの間のホスト国協定の署名が行われた。同年11月,富山及び釜山両事務所の開所セレモニーが行われ,同年12月,富山事務所に調整官(事務局長に相当)が着任,2005年1月より同事務所が稼働している。
3 最近の議論
- (1)第18回政府間会合(2013年12月,富山),第1回政府間特別会合(2014年4月,ソウル),第19回政府間会合(2014年10月,モスクワ),第2回政府間特別会合(2015年4月,ソウル)において集中的に議論を行った結果,RCU改革案が合意に至り,RCUの新体制を決定する決議が採択された。
- (2)2018年~2023年中期戦略について,第20回政府間会合(2015年10月,北京)の決議に基づき,第21回政府間会合(2016年11月,ソウル)において協議が行われ,第22回政府間会合(2017年12月,富山)において合意された。
- (3)第23回政府間会合(2018年10月,モスクワ)においては,2018年~2023年中期戦略のモニタリング評価枠組み,NOWPAP特別プロジェクト,SDG14の達成に向けたNOWPAPの貢献等について議論がなされた。