北極・南極

The Antarctic Treaty / Protocol on Environmental Protection to the Antarctic Treaty

令和8年3月2日

1 南極条約

  1. 1959年に日、米、英、仏、ソ連(当時)等12か国により採択され、1961年に発効。2026年1月現在、締約国数は58。
  2. 南極条約は南緯60度以南の地域に適用され、以下を主な内容とする。
    • 南極地域の平和的利用(軍事基地の建設、軍事演習の実施等の禁止)(第1条)
    • 科学的調査の自由と国際協力の促進(第2、3条)
    • 南極地域における領土権主張の凍結(第4条)
    • 核爆発及び放射性廃棄物処分の禁止(第5条)
    • 条約の遵守を確保するための監視員制度の設定(第7条)
    • 南極地域に関する共通の利害関係のある事項について協議し、条約の原則及び目的を助長するための措置を立案する会合の開催(第9条)
  3. 我が国は、南極条約の原署名国であり、1960年8月4日に南極条約を締結して以来、南極条約協議国の一員としての責務を果たしている。

2 環境保護に関する南極条約議定書(南極環境保護議定書)

  1. 南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的として、1991年に採択、1998年に発効。議定書の下で以下の六つの附属書が採択されている。
    • 附属書I 環境影響評価
    • 附属書II 南極の動物相及び植物相の保存
    • 附属書III 廃棄物の処分及び廃棄物の管理
    • 附属書IV 海洋汚染の防止
    • 附属書V 地区の保護及び管理
    • 附属書VI 環境上の緊急事態から生ずる責任(未発効)
  2. わが国については、1997年12月15日に寄託国である米国政府に加入書を寄託。
  3. 1997年5月28日、この議定書を担保する国内法として我が国は「南極地域の環境保護に関する法律」(南極環境保護法)を制定。漁業など特定の活動を除き、南極での全ての活動について、計画の主宰者が環境大臣に確認申請書を提出し、確認を受けることが義務付けられた。

3 南極条約協議国会議及び南極条約体制

  1. 南極条約締約国の中でも、南極に基地を設ける等、実質的な科学的調査活動を実施してきている国(29か国)は、南極条約に基づき定期的に南極条約協議国会議Antarctic Treaty Consultative Meeting: ATCM)を持ち、情報の交換、国際協力の促進等について協議を行っている。これらの国々は「南極条約協議国」(以下「協議国」という。)と呼ばれる。
  2. また、ATCMと並行して、南極環境保護議定書の実施に関連して締約国に対し助言を提供し勧告を策定するため、環境保護委員会(Committee for Environmental Protection: CEP)開催される。
  3. ATCMではこれまで500以上の勧告、措置、決定及び決議を採択してきた。これらの多くは南極の環境保護に関するもの、特別保護区域として南極の一定地域を保護するもの、又は南極観測に関する技術的な事項を定めたものの他、南極条約事務局の運営、南極観光規制措置等に関わるものである。さらに、特定の問題に関し特別協議国会議を開催し、「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」、「南極あざらし保存条約」等を採択してきている。南極条約の下で採択されたこれらの措置、条約等を総称して「南極条約体制」という。
  4. ATCMは協議国が持ち回りで主催しており、我が国もこれまで1970年の第6回(東京)及び1994年の第18回(京都)会合を開催している。2026年には再び我が国(広島)で開催される予定。

4 近年の南極条約協議国会議における主な論点

観光問題

 近年、南極への観光客数は上昇しており(1990年代後半までは6,000~7,000人、2000年頃に10,000人を突破し、現在では年間約100,000人以上)、(1)観光が南極環境に与える影響、(2)南極地域における適切な観光の管理、(3)南極における観測活動等への障害等の観点から、その対応について議論を行ってきている。

(参考1)南極における領土権問題

 南極条約の締約国の中には、南極の一部に領土権を主張している7か国(クレイマント。英国、ノルウェー、フランス、豪州、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン。主張の範囲は一部重複している。)と、領土権を主張しないと同時に他国の主張も否認する国(ノン・クレイマント。我が国を含む)がある。南極条約においてはクレイマント、ノンクレイマント双方の立場が認められ、基本的立場の違いはあるものの、対立を表面化させずに共通の関心事項について対処するよう努めている。

(参考2)南極条約締約国一覧(2026年1月現在)

(1)南極条約協議国(29か国)

 アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、チリ、中国、チェコ、エクアドル、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、ウクライナ、英国、米国、ウルグアイ

(2)その他の締約国(29か国)

 オーストリア、ベラルーシ、カナダ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、デンマーク、エストニア、ギリシャ、グアテマラ、ハンガリー、アイスランド、カザフスタン、北朝鮮、マレーシア、モナコ、モンゴル、パキスタン、パプアニューギニア、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、サウジアラビア、スロバキア、スロベニア、スイス、トルコ、アラブ首長国連邦、ベネズエラ


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