ODAと地球規模の課題

The Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade(PIC条約)

令和2年3月4日

1 背景・作成の経緯

  • (1)開発途上国においては,有害な化学物質や駆除剤の製造・使用・輸入等の規制措置が整備されていないことが多く,先進国では廃絶された物質が広範に使用され,環境汚染,健康被害を引き起こしている例もある。このような状況に対処すべく,有害な化学物質や駆除剤に関する各国間の情報交換の制度化が進められてきた。
  • (2)いわゆる「事前のかつ情報に基づく同意の手続」とは,有害な化学物質等の輸入の可否について事前に各国の意思を確認し,この情報を各国間で共有した上で,当該化学物質等の輸出については輸入国側の意思を尊重して対応するという制度である。同制度は,平成元年(1989年)より「国際貿易の対象となる化学物質に係る情報交換に関する国際連合環境計画(UNEP)の改正ロンドン・ガイドライン」及び「駆除剤の流通及び使用に関する国際連合食糧農業機関(FAO)の国際行動規範」によって導入され,これまで我が国を含む多くの国の間で任意に実施されてきた。
  • (3)平成4年(1992年)に開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択されたアジェンダ21の第19章は,有害な化学物質の適正な管理のため,「事前のかつ情報に基づく同意の手続」に係る法的文書の早期作成を要請した。これを受けて,平成7年(1995年)のUNEP第18回管理理事会において,条約化のための外交交渉の開催が決定され,平成8年(1996年)3月以来5回にわたる政府間交渉委員会を経て,平成10年(1998年)9月にロッテルダムで開催された外交会議においてロッテルダム条約が採択された。

2 締結状況

 平成16年2月24日に発効。令和2年3月現在,158か国及び欧州連合(EU),パレスチナ自治区が締結している。

3 条約の主な内容

  • (1)特定の化学物質を禁止し又は厳しく規制するための国内措置をとった締約国は,当該措置を事務局に通報する(第5条)
  • (2)条約の附属書IIIに掲げられた化学物質(27物質)の将来の輸入に関する回答を送付する。(第10条)。
  • (3)附属書III掲載化学物質について,自国の輸出者が各締約国の将来の輸入に関する回答に従うことを確保するための,適当な立法・行政措置をとる(第11条)。
  • (4)自国において禁止又は厳しく規制された化学物質が自国から輸出される場合には,輸入締約国に対して輸出の通報を行う(第12条)。
  • (5)附属書III掲載化学物質及び自国において禁止又は厳しく規制された化学物質が輸出される場合には,当該物質の危険性又は有害性に関する情報をラベル等により表示し,安全性に関する資料を輸入者に送付することを義務付ける(第13条)

4 最近の動き

  • (1)2008年10月,COP4が開催され(於:ローマ),TBT化合物の附属書IIIへの追加が決定された一方,クリソタイルアスベスト,エンドスルファンについては次期COPで継続審議されることになった。また,附属書IIIに掲載できない物質の扱いを念頭に条約の持続的な実効性の確保,不遵守に関する手続規則の策定等につき議論されたが,合意に至らず,次期COPで継続審議されることになった。
  • (2)2011年6月,COP5が開催され(於:寿府),エンドスルファン,アラクロール,アルディカルブの附属書IIIへの掲載が決定された一方,クリソタイルアスベストについては,次期COPで継続審議となった。不遵守に関する手続規則の策定についても合意に至らず,次回COPで継続審議されることになった。化学物質・廃棄物関連3条約(ストックホルム条約,ロッテルダム条約,バーゼル条約)の協力及び連携の促進(シナジー)の一環として,ジム・ウィリス3条約共同事務局長が就任したほか,3条約共通の条約実施プログラム,事務局機能の統合等,シナジー・プロセスの進展に関する決定が採択された。
  • (3)2013年5月,COP6が開催され(於:寿府),新たに4種類の有害化学物質(アジンフォスメチル,商業用ペンタブロモジフェニルエーテル,商業用オクタブロモジフェニルエーテル,ペルフルオロオクタンスルホン酸・ペルフルオロオクタンスルホン酸塩・ペルフルオロオクタンスルホンアミド及びペルフルオロオクタンスルホニル)の附属書IIIへの掲載が決定された(2013年8月10日発効)。
    一方,クリソタイルアスベスト及びパラコートジクロライド含有駆除剤については,次回締約国会議で議論を続けることなった。
  • (4)2015年5月,COP7が,バーゼル条約COP12,ストックホルム条約COP7と合同開催された(於:寿府)。メタミドホスを駆除剤のカテゴリーで附属書IIIに追加する決定が採択された一方,トリクロルホン,フェンチオン,クリソタイルアスベスト及びパラコートジクロライド含有駆除剤については,附属書IIIへの掲載について次回締約国会議で引き続き議論することとなった。
  • (5)2017年4月,COP8が開催され(於:寿府),新たにカルボフラン,トリクロルホン他を条約の規制物質に追加する決定が採択された。
  • (6)2019年5月,COP9が開催され(於:寿府),新たにアセトクロル,ヘキサブロモシクロドデカン他を条約の規制物質に追加する決定が採択された他,遵守メカニズムの設置が決定された。
  • (7)次回COP10は,2021年に,ジュネーブにて開催予定。

5 関連リンク

ODAと地球規模の課題へ戻る