平成19年2月8日
(1)NPT(核兵器不拡散条約)日本セミナーは、外務省及び軍縮・不拡散促進センターの共催で、2月5日(月曜日)~6日(火曜日)、ウィーンで開催された。本件セミナーは、4~5月に同地で開催予定の2010年NPT運用検討会議第1回準備委員会に向けて、わが国の実質的貢献として関係者の間の議論の場を提供する目的で、2日間に亘り開催され、活発な議論が展開された。
(2)セミナーには、29ヶ国の政府機関に属する者、国連軍縮局及び国際原子力機関(IAEA)の関係者、民間研究機関の専門家等、オブザーバーを含め約110名が参加した。我が国からは、第1回準備委員会の議長に内定している天野之弥ウィーン代表部大使のほか、阿部信泰在スイス大使(前国連軍縮担当事務次長)、樽井澄夫軍縮代表部大使、須藤隆也軍縮・不拡散促進センター所長が各セッションにおいて議長を務めた。また、中根猛軍科部長が冒頭挨拶を行った(会議は冒頭挨拶以外は非公開)。
(3)セミナーは、1)「NPT体制をめぐる最近の動向と現状」、2)「核軍縮」、3)「核不拡散」、4)「原子力の平和利用」、5)「NPT体制の強化」、6)「総括」の各セッションで構成された。
(4)NPTの3本柱に従って構成された各セッションにおいて、2010年NPT運用検討会議に向けて、NPT体制を如何に強化すべきとの観点から活発な議論が行われた。1)核軍縮については、核兵器国による更なる核軍縮措置や透明性確保の必要性、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始、2)核不拡散については、IAEA保障措置の強化、地域問題、3)原子力の平和的利用については、NPT第4条に規定されている原子力の平和的利用の権利、核燃料供給保証等について議論された。4)その他、NPTの普遍化、NPTからの脱退問題、NPTの運用検討プロセスの強化、軍縮・不拡散教育について議論された。
(1)NPT体制が種種の課題に直面しており、本年4月から始まる次期運用検討プロセスが注目される中、時宜を得た企画として当初の予定を大幅に超える参加者を得る結果となり、各国・機関の関心の高さが伺われた。
(2)全体の議論を通じて、NPTは課題に直面しているものの礎となる条約であり、NPTの信頼性を維持することの重要性や、NPTの3本柱(核軍縮、不拡散、原子力の平和利用)にバランスの取れたアプローチをとることの必要性につき認識が一致した。
(3)セミナー全体を通じて、友好的な雰囲気の中、建設的な意見交換が行われた。わが国が議長を務める2010年運用検討会議第1回準備委員会に向けて、「準備運動」として有意義な会合となった。