平成21年7月2日
(写真提供:内閣広報室)
7月1日、午後7時50分から約15分間、麻生総理大臣は、実務訪問賓客として訪日中の潘基文国連事務総長と、総理官邸において、共同記者発表を行ったところ、概要以下の通り。
本日、潘基文国連事務総長を日本にお迎えできたことを、大変嬉しく思う。北朝鮮問題、気候変動、平和構築など、国際社会の諸課題に対処する上で、国連の重要性は一層増している。こうした課題に、潘事務総長が積極的に取り組んでおられることを、高く評価する。本日は、これらの課題について、事務総長と、大変有意義な意見交換を行うことができた。
北朝鮮による「核実験」や弾道ミサイルの発射は、国際社会に対する重大な挑戦であり、脅威だと思う。北朝鮮の核保有は、断固認められない。北朝鮮に、核並びにミサイル開発を止めさせるためには、今後、各国が、安保理決議1874号を、着実に実施していくことが重要である。潘事務総長に対しても、協力をお願いした。また、拉致問題を含む、北朝鮮の人権状況の改善についても、引き続き、国連の協力を期待する。
気候変動への取組については、先月発表した中期目標を踏まえ、日本の考え方を、潘事務総長に説明した。潘事務総長からは、日本の目標が国内努力だけを積み上げて算定された「真水」であると評価された。特に、イタリア・ラクイラでのG8サミットや、主要経済国フォーラム首脳会合などにおいて、本年末にコペンハーゲンで開催されるCOP15に向けた議論を、日本として、積極的にリードしていく考えであることを伝えた。潘事務総長からは、日本の決意を評価し期待しているとの言葉をいただくのと同時に、我々としても、この問題についての、潘事務総長の引き続きの力添えを期待している。
国連安保理改革については、世界の平和と安定に効果的に対応するために、早期に実現することが重要である点を、改めて確認した。また、今日の会談では、日本がPKOへ、より積極的に参加するため、自衛隊の後方支援能力を、「国連待機制度」に登録することを、潘事務総長にお伝えした。
潘事務総長は、日本を出発後、ミャンマーを訪問する。難しい状況にあるミャンマーを訪問される決断に対し、敬意を表すると同時に、その行動を支持する。
この後の夕食会では、テロ問題、海賊問題、軍縮・不拡散問題などについて、幅広く意見交換を行う予定。今回の潘事務総長の訪日を通じて、日本と国連の協力関係を一層深めていきたいと思う。
どうもありがとうございました。麻生総理大臣閣下、皆様、今晩は。今回はとても短い滞在でしたが、大変有意義な訪日になりました。(ここまで日本語)
短時間であったが、今回の訪日を通じて、私は幅広い分野にわたる日本の指導者や人々と意見交換をすることができた。本日の朝は、経済同友会及びグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークという、責任ある持続可能なビジネスのこの新しい時代において主要な役割を果たしている団体との朝食会に出席した。続いて、東京大学の学生と、非常に活気ある議論を実施した。その後、日本の子供向けニュース番組のインタビューを受け、次世代の日本の指導者となる子供たちへメッセージを伝えた。更に、世界の貧困や圧政の被害者に対する支援を集めるために国連親善大使として活動している日本人の著名人の方々とお会いすることができた。
本日、麻生総理との間で、世界が直面している様々な問題について、非常にすばらしい議論を交わすことができた。この中で、日本が国連を通じてこのような課題にどのように対応できるのかについても話し合った。私からは、麻生総理に対し、日本の国連に対する貢献に対する深甚なる感謝の気持ちを伝えた。
こうした議論の中で筆頭に来るのは、気候変動に関する意見交換である。気候変動は、今日の人類が直面している最も重要な課題であると、私は確信している。こうした課題に対して、本年12月のコペンハーゲンでポスト京都議定書の合意に達するということも含めて効果的に取り組んでいくためには、日本の支援が不可欠であると考える。こうした日本の指導力は、世界各国が合意できる妥結をコペンハーゲンで目指すために、今、正に必要である。私は、日本が、より大胆かつ積極的な役割を歴史的な目的のために果たしていくことを頼りにしている。また、引き続き指導力を発揮していくことに対する麻生総理のコミットメントを非常に心強く思った。
北朝鮮の問題については、安保理決議1874号を世界各国が完全かつ効果的に実施していくことが重要であることを強調した。また私は、六者会合などを通じて、対話を再開することの必要性に関して改めて申し伝えた。また国連として必要とされる支援を提供する用意があることも表明した。朝鮮半島において検証可能な非核化及び地域更には世界的に持続可能な平和及び安定を実現していくことを容易にするために、私自身努力を惜しむつもりはない。
総理は私に対して、日本の国連平和維持活動(PKO)に対する最も新しい貢献について説明した。私からは、日本が国連待機制度に参加するという決定を行ったことを評価する旨伝えた。
総理との間では、ミャンマーについても議論した。具体的には、今週後半から予定されている私のミャンマー訪問を通じて、いかに共通の目標を推進していくかについて意見交換を行った。私からは、自分の努力に対する日本の支持に対し、感謝の意を表するとともに、日本がフレンズグループの主要なメンバーとして引き続き支援をしていただけることを頼りにしている旨申し上げた。
皆様、私は昨日日本に到着した際に、訪日の目的を、日本と国連の協力関係を強固なものとし、更に強化・拡大するためであると言ったが、この目的を達成するための有意義な意見交換を実施することができたと確信している。総理と私は、引き続き夕食会で様々な意見交換を行うことを予定している。日本は国連の活動に非常に積極的に参加してきており、日本の国民は、日本の国際場裡における役割が、国連や国際社会において如何に高く評価されているかを認識してほしい。
(日本語で)日本のこれからのますます強力なリーダーシップを期待します。