人権・人道

人権理事会レビュー(概要)

平成23年7月

1 経緯

 2006年の国連総会で採択された「人権理事会」決議では,1)「国連総会は5年以内に人権理事会の地位(Status)を見直す」こと,2)「人権理事会はその設置から5年後にその作業及び機能(work and functioning)について見直す」こと,が規定されており,設置5年目にあたる2011年に向け,同理事会レビューの議論が本格化。

2 人権理事会(ジュネーブ)での議論

(1) ジュネーブにおいて,第12回人権理事会(2009年10月)で設立された,人権理事会レビューに関する政府間WGによる2回のセッション(2010年10月及び2011年2月)を経て,2011年3月の第16回人権理事会において「人権理事会レビュー」決議により,人権理事会制度構築パッケージを補完する成果文書が,コンセンサスにて採択された。

(2) 人権理事会の議論で合意された主要点
 ア 普遍的・定期的レビュー(UPR:Universal Periodic Review) 国連加盟各国の人権状況を審査するUPRの周期が4年から4年半に延長され,2012年から開始されるUPRの第2サイクル以降においては,第1サイクルにおいて被審査国が受け入れた勧告の実施状況及び被審査国における人権状況の進展に焦点を当てる。
 イ 特別手続き(Special Procedures) 特別報告者の選考に際し,諮問グループによる候補者の面接手続きが導入された。
 ウ 作業手法・手続き規則
   人権理事会議長室が設置されることとなり,同議長室の構成,モダリティ及び財政的措置に関する議論が第17回人権理事会(2011年6月)において行われることとなった(なお,同理事会では,議長室の構成メンバーとして3ポスト設置を提案する決議が採択された)。

3 国連総会(NY)での議論

(1) ジュネーブでの議論を受け,NYの国連総会においても,人権理事会の地位,人権理事会の年間サイクル,人権理事会と国連総会との関係(財政事項を含む)等に関するレビューが行われ,2011年6月,第65回国連総会において,「人権理事会レビュー」決議が,イスラエルの要求による投票の結果,賛成多数で採択された(賛成154(含む日本),反対4,棄権0)。

(2)国連総会の議論で合意された主要点
 ア 人権理事会の地位
   国連総会の下部機関(subsidiary body)としての地位を維持。
 イ 人権理事会の年間サイクル
   2013年からは,人権理事会の理事国の任期のサイクルは1月開始,12月末終了。人権理事会の報告書のサイクルは10月開始,翌年9月末終了。
 ウ 財政事項
   緊急性の高いマンデートが人権理事会決議により創設された場合に,このマンデートが確実に実施されるよう,事務総長から提案される予算手当の様々なオプションに関し,第66回国連総会における行財政委員会(第5委員会)主要会期(2011年10月~12月)にて審議。
 エ 人権理事会におけるレビュー
   人権理事会におけるレビューの成果文書を採択。

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