1998年6月、ワルシャワにおいて、民間基金主催の「国際関係の民主主義」と題する会合が行われ、ゲレメク・ポーランド外相をはじめ官民有識者が多数出席した。1999年春、ゲレメク外相がオルブライト米国務長官と懇談した際に、民間ばかりでなく、政府としても民主化促進に関する会合を持つ必要性で意見が一致した。
(イ)2000年6月26、27日、ワルシャワにおいて、ポーランド政府主催、ゲレメク・ポーランド外相を議長として、「ワルシャワ2000年民主主義閣僚級会合」が開催された。本会合は、ポーランドの他、米、チリ、チェコ、韓国、マリ、インドが招集国グループとして協力して準備を進めてきたものである。
(ロ)我が国を含む107カ国が参加し、オルブライト米国務長官(当時)、フィッシャー独外相(当時)、約6割程度の国が閣僚レベルで参加した他、国際機関から、アナン国連事務総長をはじめとしてユネスコ、世界銀行、欧州評議会等、14の国際機関の長が出席した。我が国からは有馬龍夫政府代表が河野外務大臣(当時)の特使として出席した。
(イ)ゲレメク外相は、開会演説で、20世紀を締めくくるにあたり、初めての世界規模での民主主義のための会議を開催するのは非常に意義のあることであり、第三の1000年紀における民主主義の将来は我々にゆだねられており、ワルシャワ宣言を契機に、政府、市民社会、国際機関等は、ますます協力を深めていくべきである旨述べた。
(ロ)本会合では、I.世界的、地域的、専門的国際機構における民主主義国家間の協力、II.民主主義の強化、III.民主主義への脅威への対応、IV.民主主義支援の将来、の4つの閣僚級パネルが同時並行的に開催され、このうち我が国は、パネルI.に参加し、有馬政府代表が演説を行った。
(ハ)閉会にあたり、ワルシャワ宣言が採択され、民主主義にとって重要な基本的権利を確認し、民主主義へのコミットメントを表明し、民主主義の強化のために、民主主義コーカスを設置する等の協力を行うことにつき合意した。また、第2回会合を韓国が2002年10月にソウルで主催することが発表された。
(イ)「民主主義」をテーマとして世界レベルでの閣僚級会合が開催されたのは初めてのことであり、本会合の歴史的意義は大きい。107カ国が参加し、民主主義の普遍性が確認される一方で、非参加国、非招待国との今後の関係が注目される。
(ロ)民主化への大きな潮流が確認されるとともに、民主化の道のりは困難であり、経済の未発展による貧困、市民社会の未成熟といった要素が、内紛やクーデター等を引き起こし、民主主義への脅威となっていることが強調され、こうした脅威に対する国際的支援の重要性が確認された。また、多くの途上国が、グローバリゼーションが進行する中で、ITの波に取り残されることへの危機感を表明し、個人が情報へのアクセスを得ることが、民主主義の強化につながり、この分野での支援が必要であることが確認された。
(ハ)我が国は、有馬政府代表が、閣僚級パネルで活発に発言した他、河野外務大臣がゲレメク外相に宛てて民主主義についてのご自身の考えをしたためた書簡を紹介する機会を与えられるなど、アジアにおける先進民主主義国として、世界の民主化に向け積極的に取り組んでいることを示すことができた。