2007年5月
国際熱帯木材機関(ITTO)の第42回理事会が、5月7日(月曜日)~12日(土曜日)の6日間、パプアニューギニア(PNG)の首都ポートモレスビーにおいて開催されました。
今回の理事会には、加盟国60ヶ国のうち47ヶ国及び欧州共同体が出席し、また、オブザーバーとしてソロモン政府、NGO等が参加しました。我が国からは、外務省、林野庁からなる代表団が出席しました。
(イ)ホスト国であるPNGのソマレ首相は、同国は、持続可能な森林経営の促進のため、国際社会から能力強化、技術開発、マーケティング促進等の支援を受けている旨述べ、ITTO及びドナーに対して謝意を表しました。また、同国の国土の85%は森林であり、独特の土地所有制度(コミュニティによる土地所有)が存在すること、政府としては、違法伐採対策等についてもITTOと協力しつつ努力していきたいと述べました。
(ロ)マキャベロ理事会議長(ペルー)からは、ITTOの目下の懸案事項である次期事務局長の選出及び新協定の締結、また、持続可能な森林経営及び公正な貿易の促進に引き続き努力していくことの必要性について発言がありました。
(ハ)ソブラルITTO事務局長(ブラジル)からは、今回初めての大洋州地域における理事会開催であり、800以上の言語を有する多様性豊かなPNGでの開催を歓迎、PNG政府及び国民に対する謝意を表明しました。また、ITTOはこれまで750件以上のプロジェクトに対し3億ドル以上の資金協力を実施してきており、PNGにおいても10件のプロジェクト(400万ドル相当)を実施している旨紹介。持続可能な森林経営の現状、違法伐採問題の影響、気候変動問題への貢献、豪州による森林保全への2億豪州ドルのコミットメントに対する期待等に言及しました。
(ニ)ドゥンバ・ガボン森林経済・水・漁業・国立公園大臣より、森林が気候変動・生物多様性保全に果たす役割の観点から、森林保全と持続可能な経営は地球規模の関心事項になっており、特にコンゴ川流域に世界第2位の熱帯林を有するアフリカにとって重大な問題である旨述べました。
(ホ)セヴァラナム・マレーシア一次産品省政務次官より、マレーシアは新協定に署名し、現在批准準備中である旨紹介。現在多くのプロジェクトが必要な資金を得られないままに廃案になってしまっている状況を踏まえ、新協定で新たに設けられた課題別計画勘定が、任意拠出金の動員に資することを希望する旨述べました。
今回の理事会における最大の議題は、次期事務局長の選出でした。ソブラル現事務局長(ブラジル出身、2期8年目)の任期が本年11月5日をもって終了します。後任者の公募が行われた結果、今回の理事会においては、最終候補者リストに残った6名の候補者からそれぞれ所信表明演説が行われました。
各候補者の資質、経歴、演説内容等を勘案の上、理事会全期間を通じて協議が行われた結果、最終的に、カメルーン候補のエマニュエル・ゼメッカ氏(現ITTO事務局造林・森林経営担当次長)が次期事務局長に選出されました。
(1)ITTOのプロジェクト・サイクル
(2)我が国によるプロジェクト支援
(PNGにおけるITTOプロジェクトによる
バルサの採種用プランテーション)
我が国は、違法伐採対策をはじめ、持続可能な森林経営の促進に資する優良案件を中心に、プロジェクトの緊急性、裨益国の地理的バランス及び過去の支援実績、分担金滞納状況等を勘案した上でプロジェクト支援を実施しています。今回は、プロジェクト等計13件に対し、合計3,196,961米ドル(うち外務省:2,654,860ドル、林野庁:542,101ドル)の支援(PDF)を行いました。これは、今次理事会における拠出総額の6割以上にあたり、我が国は引き続きITTOのトップドナーとなっています。
次の第43回理事会は、本年11月5日(月曜日)~10日(土曜日)にITTO本部のある横浜市において開催される予定です。
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