
国際熱帯木材機関(ITTO)第41回理事会(概要)
2006年11月
国際熱帯木材機関(ITTO)の第41回理事会が、11月6日(月曜日)~11日(土曜日)の6日間、横浜において開催されました。
今回の理事会には、加盟国のうち40ヶ国及び欧州連合の代表が出席し、また、オブザーバーとしてFAOやNGO等が参加しました(我が国からは、外務省、林野庁、環境省、横浜市(ホスト・シティ)、民間セクター等からなる代表団が出席)。
また、伊藤康一・外務省前地球環境課長が前回理事会(本年5月、於:メキシコ)に引き続き理事会議長を務めました。
1.開会式(11月6日)
- 開催地であり、また、ITTO本部が置かれている横浜市の中田宏市長より、本年はITTOが横浜に本部を置いて20周年の節目であり、今後も市民の理解を得られるよう努めつつ、ITTOの理事会開催に協力していきたいとの挨拶がありました。
- ソブラルITTO事務局長からは、ITTOはこれまで約800件のプロジェクト(2億8,000万ドル相当)を実施してきていることなど、ITTOが果たしている役割、ITTOを取りまく現状などについて説明がありました。
- ンゴロ・ンゴロ・カメルーン森林・野生動物大臣からは、我が国のITTOに対する貢献に対し謝意が表されるとともに、ITTOの強みは生産国と消費国との連帯であること、また、プロジェクト実施を通じた持続可能な森林経営の重要性などが述べられました。
- リーディング・スイス経済省大使からは、スイスが一時議長・副議長を務めた新ITTA交渉が妥結し、その中でドナーベースを拡大するためにテーマ別プログラム支援が導入されたことに対し満足の意が表され、今後も適切な水準の支援を続けていきたいとしつつ、他のドナー国の積極的な参加を促す発言がありました。
- 辻健治林野庁次長からは、我が国の違法伐採対策の取組(グリーン購入法など)が紹介されました。また、持続可能な森林経営の実現に向けたドナーベース拡大への期待や、新国際熱帯木材協定(ITTA)の早期発効に向けた各加盟国の迅速な批准の必要性が述べられました。
2.主な協議・決議事項
今回の理事会は、本年末の現行協定(1994年ITTA)期限終了及び2008年以降の新ITTA発効を踏まえた過渡期に開催され、円滑な体制移行のため必要な制度的アレンジや、新協定の下での重点政策の始動に向けた地ならしが行われました。
(1)1994年ITTAの延長
現行の1994年ITTAが本年末をもって期限終了を迎える一方で、本年1月に改定交渉が妥結した新ITTAが発効するのは早くても2008年2月1日であることから、1994年ITTA第46条3の規定に基づき、1994年ITTAを新ITTA発効まで延長することが決定されました。
なお、現時点で新ITTAに署名しているのは、グアテマラ、インドネシア、マダガスカル、ノルウェー及びトーゴの5ヶ国です。
(2)次期ITTO事務局長選出手続
ソブラル現事務局長(ブラジル出身、2期8年目)の任期が2007年11月5日をもって終了することから、後任者の公募を開始するための手続について決議が採択されました。加盟生産国グループと消費国グループの間で協議を行い、次回第42回理事会(2007年5月、於:PNG)において新事務局長が選出される予定です。
(3)各常設委員会における審議
理事会の会期中には、行財政委員会(CFA)、造林・森林経営委員会(CRF)、経済情報・市場情報委員会(CEM)、林産業委員会(CFI)の4つの常設委員会の会合も開催され、その審議結果が理事会において報告されました。
- CRF、CEM及びCFIにおいては、完了したプロジェクトの事後評価報告、現在進行中のプロジェクトの進捗状況報告及び専門家パネルから上がってきた新規プロジェクトの承認が行われました。
- CFAにおいては、2007年運営予算の承認、分担金支払状況のレビュー、運営勘定の収支報告、特別勘定及びバリ・パートナーシップ基金(注:熱帯木材生産国が、持続可能な森林経営を実現できるよう支援するための基金)の収支報告等が行われました。
(4)その他
- 伊藤康一理事会議長の後任として、2007年議長にはマキャベロ・アモロス現副議長(ペルー)が就任しました。また、副議長には、オーストリアからカタリーナ・ヒューマイヤー氏が選出されました。
- 次回第42回理事会は、2007年5月7日-12日にパプアニューギニア(ポートモレスビー)において開催される予定です。
3.個別プロジェクトに対する拠出
(1)ITTOのプロジェクト・サイクル
- プロジェクトをITTOに対して要請できるのは、加盟国の中央・地方政府、NGO、研究機関等です。プロジェクト提出に際しては、必ず各国のオフィシャル・コンタクトパーソン(我が国の場合は外務省地球環境課長)経由でITTO事務局に対して提出される必要があります。
- プロジェクト要請書は、通常年2回(理事会のおよそ2ヶ月前)開かれるプロジェクト審査専門家パネルにおいて審査され、必要な修正等を経てパネルを通過した案件のみが各常設委員会(全加盟国が参加可)に上げられます。そして、常設委員会において承認された案件が、理事会において最終的に承認されると、ドナーによる資金拠出の対象となります。
- 実施中のプロジェクトの進捗状況や完了状況については、実施機関がドナーを含む関係者を集めて開催する運営委員会(Steering Committee)において随時レビューされるほか、理事会に際して開催される常設委員会においても報告されます。
(2)我が国によるプロジェクト支援
我が国は、持続可能な森林経営を達成する上で主要な阻害要因となっている違法伐採対策を重視しており、これに資するプロジェクトを優先的に支援する方針です。今回は、プロジェクト及びプレ・プロジェクト計17件及びITTOフェローシップ基金(PDF)
に対して、合計3,525,382.84米ドル(うち外務省:3,003,604.84ドル、林野庁:521,778ドル)の支援を行いました。
4.関連リンク
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