
核不拡散・核軍縮に関する国際委員会 :川口・エバンズ両共同議長とNGOとの意見交換会
平成22年2月
別添1:出席者(PDF)
1.概要
(1)昨年12月15日、外務省において、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会の川口・エバンズ両共同議長とNGOとの意見交換会が開催され、同国際委員会の共同議長を務める川口順子元外務大臣、ギャレス・エバンズ(The Hon. Gareth Evans AO)元豪外務大臣、阿部信泰諮問委員及びピースボート川崎共同代表他17名のNGO関係者が参加した(出席者リスト別添1(PDF)
)。
(2)上記委員会は、昨年7月の日豪首脳会談において、福田総理(当時)とラッド豪首相の間で、日豪共同イニシアティブとして立ち上げることが合意されたもので、川口順子元外務大臣とギャレス・エバンズ元豪外相が共同議長を務める。昨年12月15日、それまでに数次開催した会合における議論を踏まえ、両共同議長から鳩山総理及びラッド豪首相に対し、核軍縮・核不拡散及び原子力の平和的利用について取り扱う報告書を提出した。
2.意見交換の概要
(1)共同議長による冒頭挨拶
(イ)川口共同議長より、以下を発言した。
(多くのNGO関係者の本件意見交換会への参加に謝意を表した後に)
- 報告書はNPTの3本柱を中心とする包括的なものができた。来年(2010年)5月のNPT運用検討会議の成功のために市民社会とも協力して行動していきたい。今後は各国の政府や議会に対しても働きかけを行っていく。
(ロ)エバンズ共同議長より、以下を発言した。
- 過去の各種委員会等による報告書に比し、現実的なメッセージを通して政策決定者に対する説得力を持った報告書となった。また、核軍縮、核不拡散、原子力の民生利用、核セキュリティ等、すべての分野を網羅的にカバーしている。
- 報告書は核兵器が存在してはならないということを明確に述べている。核兵器について現状維持という選択肢はない。
- 核兵器の廃絶のためには現実的な措置の積み重ねが必要で、廃絶期限の設定は意味がない。すべての国々が核兵器を放棄できる政治的状況を作り出さなければならない。
- すべての核武装国による核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定する宣言(「唯一の目的」宣言)を2012年までに実現するために、特に米露が主導的に行動すべき。
- 日本の新政権は米国に対し、「唯一の目的(核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定するもの)」宣言を支持するメッセージを発してほしい。そのためには日本の安全保障についての米国のコミットメントが必要。NGO等の市民社会も日本政府へ働きかけをしてほしい。
(2)続いて以下のやり取りがあった。
(イ)川崎ピースボート共同代表より、以下を発言した。
- 市民社会との対話の機会を何度ももっていただき感謝。被爆者や各種団体により報告書が言及する核兵器廃絶へのペースが遅いとの懸念が出されているが、エバンズ共同議長の説明によれば2025年まで何もしないわけではないということなので、その点には安心した。
- NGOを代表して以下の3点につき質問する。一点目は、「唯一の目的」宣言は核兵器廃絶へ重要な一歩となるが、今後予定されている米国の核態勢見直し(NPR)への働きかけも含めどのように進めるか。二点目に、核兵器禁止条約のモデル条約を洗練し発展させる作業を即時に始めるとの提言は歓迎すべきと考えるが、どのように進めていくのか。第三に今後の展望として、報告書をどのようにフォローアップしていくのか、その中で市民社会の役割についてどう考えるか。
(ロ)川口共同議長より、以下を発言した。
- 日本政府による米国の核抑止力への依存を変えていくために、市民社会とも協働して、国民的に議論をしていくことが重要。
- 報告書が勧告する核兵器禁止条約のモデル条約作りについても今後さまざまな議論を通して進んでいくだろうと考える。
- 今後、核兵器廃絶への具体的なステップについて議論をしていきたいと考えており、その中でNGOの役割に期待している。
(ハ)次に、エバンズ共同議長より、以下を発言した。
- 「唯一の目的」宣言のためのリーダーシップは米国が取るべきで、米国が受け入れれば他の核兵器国へのプレッシャーになり、NPT非加入国に対しても説得力を持つだろう。米国へプレッシャーをかけるために日本側からもメッセージを発するべき。
- 核兵器禁止条約の実現には今後の一歩一歩の積み上げが大事であり、実効性のあるものとなるよう今からでも議論を開始すべき。
- 今後は研究者や諮問委員会を備えたグローバルセンターを設置し、核兵器禁止条約実現に向けた動きの進展につなげていきたい。核兵器廃絶へ向けた勢いを維持するため、NGOがこの報告書を支持してほしい。
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