
「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」に関するNGO意見交換会
平成22年1月
別添1:出席者(PDF)
1.概要
(1)11月27日、外務省において、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」に関するNGO意見交換会が開催され、同国際委員会の共同議長を務める川口順子元外務大臣、阿部信泰諮問委員及びピースボート川崎共同代表他19名のNGO関係者が参加した(出席者リスト別添1(PDF)
)。
(2)上記委員会は、2008年7月の日豪首脳会談において、福田総理(当時)とラッド豪首相の間で、日豪共同イニシアティブとして立ち上げることが合意されたもので、川口順子元外務大臣とギャレス・エバンズ元豪外相が共同議長を務める。12月15日、2009年10月までに数次開催した会合における議論を踏まえ、両共同議長から鳩山総理及びラッド豪首相に対し、核軍縮・核不拡散及び原子力の平和的利用について取り扱う報告書を提出した。
2.意見交換の概要
川口共同議長、阿部諮問委員、NGO参加者の代表である川崎ピースボート共同代表の主な発言は以下のとおり。
(1)川口共同議長による開催挨拶(第四回会合結果概要報告、本委員会報告書概要について)
川口共同議長は冒頭、多くのNGO関係者の本件意見交換会及び10月に開催された第四回会合(於:広島)関連行事への参加に感謝の意を表するとともに、同会合の結果及び本委員会の報告書概要について以下のとおり発言した。
- 広島会合に先立つNGOセッションにおいてよい意見をいただいた上で議論を始めることができた。核兵器に関しては世界に様々な意見があるが、核兵器は二度と使えないとの本委員会委員の共通認識を確認しながら会議を行うことができたことは有意義だった。
- 本委員会の報告書は、政府の数歩先を行く行動指向型のものであるという点、核軍縮・不拡散、平和利用及び核セキュリティまでを含む包括的・網羅的なものであるという点を特徴としている。国際社会に核兵器が有用であると考えている人々がいる現状を踏まえ、核兵器をゼロにするために、それらの人々に考え方を変えてもらうことが重要である。
- 報告書は核兵器の廃絶までの行動計画を最小化段階(短期・中期)と廃絶段階(長期)の二つの段階に分けており、最小化段階を更に2012年までの短期、2025年までの中期に分けている。各期間の終わりには核兵器数の状況により世の中の見え方が異なっていることが考えられるため、核兵器ゼロ実現のためにはそれぞれの段階で現実的な取組を進めていかなければならない。
(2)NGO側参加者による挨拶及び質問
川崎ピースボート共同代表は、本件意見交換会の開催に当たり以下のとおり発言した。
- 本意見交換会及び広島における第四回会合でのNGOセッションの実施に感謝申し上げる。NGOとしては報告書に足りないと感じる点もあるが、発表後にどう進めていくかが重要である。
- NGOを代表して報告書に関し以下の3点につき質問する。一点目は、短期における核兵器の役割縮小に関し、核兵器を生物・化学兵器に対する抑止力としては認めないとの立場と解してよいか。二点目に、核兵器禁止条約の発効実現はどの程度の段階での目標と考えるか、NGOとしては今からでも核兵器禁止条約に向けた準備を始めるべきと考えるが、短期的措置として可能だと考えるか。第三に、報告書の発表のあり方と、発表後のフォローアップのあり方について、特に何が課題であるか。
(3)川口共同議長及び阿部諮問委員による回答
川口共同議長及び阿部諮問委員より、NGO側の質問に対し以下のとおり回答した。
- 短期的行動計画の中で、核兵器の理論的役割として、核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定することを核武装国に要請するとしている。
- 生物・化学兵器を含めた「その他の脅威」に対しては「確固たる保証を供与する」とされており、核兵器を使うとはされていない。その「保証」の方法についてはまた先の議論になるだろう。
- 核兵器禁止条約の実現については、その前に段階的にとって行かなければならない措置があるというのが我々の考え。特に信頼性のある検証制度をどの様に整備するかという問題もあり、核兵器数が2000以下に減らされる過程の中で技術発展を踏まえて現実的な議論をする。
- 報告書の発表後が重要であり、共同議長が各国を訪問して働きかける等の行動をしなければならないと考えている。
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