
「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」北東アジア地域会合について
平成21年5月23日
別添:出席者(PDF)
川口順子元外相及びギャレス・エバンス元豪外相が共同議長を務める「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」北東アジア地域会合が5月22日―23日、北京において開催されたところ、概要以下のとおり。
1.同会合に先駆けて、5月21日、両共同議長は、
中国外交部長と会談を行った。
(1) 共同議長より、本件委員会の現状につき説明の上、以下の発言を行った。
- 米露がSTARTI後継条約の交渉を開始し、核兵器を削減しようとする中で、中国も核軍縮に加わって欲しい旨求めた。
- CTBT批准を促した。
- カットオフ条約の交渉開始への協力を促した。
- 北朝鮮の非核化への協力を求めた。
(2) 先方より以下の点につき述べた。
- 国際委員会が成功を収めることを期待する。
- 先制不使用政策、非核兵器国への消極的安全保証の供与に加え、核兵器撤廃条約を提唱するなど、中国は以前より、核軍縮を支持してきており、今後とも核軍縮を支持していく。
- CTBT批准のための努力を続ける(中国は最初の署名国)。
- カットオフ条約は可能な限り早期に開始されるべきである。
- 軍縮会議における宇宙兵器配備禁止条約の交渉開始を提案している。
- 六者会合に北朝鮮が復帰するよう努力を続ける。
2. 5月22-23日に開催された国際委員会北東アジア地域会合の議論
(1) 冒頭、本件委員会地域会合の開催に尽力した楊(Yang)清華大学教授より歓迎の挨拶が行われた後、川口・エバンス両共同議長より、本件委員会の目的、今後の作業スケジュールなどにつき説明が行われた。
(2) 続いて、猪口邦子衆議院議員(国際軍縮促進議連事務局長代理)より、「核兵器のない世界を促進するための議会の役割」とのタイトルでスピーチを行い、特に河野衆議院議長が広島で主催したG8下院議長会議にペローシ米下院議長も出席した旨言及した。
(3) 核軍縮については、以下の議論があった。
- 中国の核軍縮措置を求める発言が相次いであった(核軍備に関する透明性の向上、核兵器の削減への期待、核兵器を増やさない約束を求める意見が表明された。)。
- これに対し、まずは核大国である米露が大幅に核兵器を削減すべきとの意見が表明された。
- また、中国は核の先制不使用、非核兵器国への消極的安全保証の供与を約束しており、一貫して核軍縮を支持している旨述べられた。
- 日米のミサイル防衛について、中国の立場からの懸念が表明される一方、ミサイル防衛は弾道ミサイルに対する防衛手段であるとの意見が表明された。
- 米国の同盟国に対する拡大抑止について、特に核軍縮を進める文脈において、生物・化学兵器に対する拡大抑止の役割への疑義が表明された一方、北朝鮮による大量破壊兵器および運搬手段の開発など安全保障環境の厳しさも指摘された。
(4) 核不拡散については以下の議論があった。
- 北朝鮮の核問題について、六者会合への一致した支持が表明された。
- 六者会合の各参加国の役割、特に米国及び中国の役割への期待が表明された。
- 北朝鮮の核開発の意図と現状、核問題を巡る今後の見通し等について、情報・意見交換が行われた。
- IAEA保障措置の関連で、各国による追加議定書の締結を求める発言があった。
- 核不拡散を強化するためには、核軍縮での具体的前進が必要であるとの発言があった。
(5) 原子力の平和的利用については以下の議論があった。
- 原子力発電への関心の高まりと、今後の原子炉増加の見通しが報告され、その趨勢の中で核不拡散を確保していく必要性が指摘された。
- 核燃料サイクルの国際化について意見交換が行われ、世界的な供給の保証者としての燃料銀行の設立の提案もあった。
- 原子力発電が増える中で使用済み燃料が蓄積する問題に対処する必要性も指摘された。
- 拡散抵抗型原子炉や核物質に関する解析操作技術等の技術面についても意見交換がなされた。
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