
「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」報告書提出セレモニー
(結果概要)
平成21年12月15日
今般、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」報告書が完成し、15日、総理官邸において、川口順子共同議長及びギャレス・エバンズ共同議長から鳩山総理及びラッド豪州首相に対する同報告書提出の式典が開催されたところ、その際の両共同議長及び両首脳の発言概要以下のとおり。
この式典には、岡田外務大臣、松野官房副長官、日本側諮問委員、日豪事務局の関係者等が同席し、平岡秀夫衆議院議員(民主党核軍縮促進議連事務局長)、本委員会の委員の出身国の在京大使等が招待された。
1.川口共同議長
- (1)この報告書が、現在の核軍縮の機運を更に強化し、明年のNPT運用検討会議の成功や、核兵器のない世界に向けた国際社会の努力を後押しすることを強く望む。この報告書は、単に野心的理想を述べるだけでなく現実を踏まえた実践的なものとなっており、日豪両政府を初めとする世界の指導者が、この報告書の内容をその政策に反映して欲しい。
- (2)委員会は、今後も単なる有識者会合で終わらず、政府・議会・一般市民の方々に直接働きかける運動体として活動していく。この一環として、関係国政府への個別説明や種々の国際会議等の場でのアピール等、国際的なアウトリーチ活動を展開していく。
2.エバンズ共同議長
- (1)この報告書は、適時性、包括性、世界規模の諮問体制、野心的かつ実際的であること、短期、中期及び長期の行動計画からなる行動指向性の観点から、過去の関係委員会の報告書と異なり、有益なものとなったと信じる。日豪両政府と共に世界に向けて働きかけを行っていきたい。
- (2)報告書の主要テーマは、1)核の脅威は誰も無視することが出来ない問題であり、現状維持は選択肢とはならないこと、2)核兵器は自国等の安全保障にとって不可欠であるが他国がその安全保障上の理由から持つことは許さないとする議論は正当化できないこと、3)核兵器がある限り他の国も持ちたいと思い、また、そのような兵器がある限りいつか使用される可能性があり、更に仮に使用されれば破滅的大惨事をもたらすということである。日豪両政府を初めとする関係国の政府や世界に対してこの報告書を推奨したい。
3.ラッド豪州首相
- (1)現在、国際社会は大きな挑戦に直面している。その一つが気候変動の問題である。この問題について豪日両国がコペンハーゲンで協力して合意を目指す努力を行いたい。
- (2)もう一つの問題が核の問題である。エバンズ・川口両共同議長と委員会委員の皆様が、すばらしい報告書を取りまとめてくれて感謝する。委員会は政府から独立しているが、この報告書は、明年の核セキュリティ・サミットやNPT運用検討会議に向けた実際的な議論の枠組みを提示する質の高い内容となっていることを歓迎する。
4.鳩山総理
- (1)世界を平和に導く案内書が出来たことを感謝。また、ラッド首相の訪日を歓迎。また、大変な努力をして報告書をまとめてくれた川口・エバンズ両共同議長に感謝。
- (2)我が国は、核軍縮・不拡散に対して現実的なアプローチを取って、世界の先頭を走ってきたし、これからも走っていく。これは、私は、日本という国が唯一の被爆国としての道義的責任を負っているからであると考える。そのような時にまとめられたこの報告書は、世界に貢献してくれると考える。また、このような貢献が日豪の共同イニシアティブの下で実現したことを高く評価。
- (3)川口・エバンズ両共同議長の報告書は、我が国や豪政府の一歩・二歩先を行っている。政府がもっと前に行かなければならないが、この報告書に道案内してもえればありがたい。また、政府としても更に頑張らなければいけない。また、世界にもこの報告書を検討してくれることを望む。
- (4)この報告書により、大きな一ページが開かれたことをお祝いしたい。日本政府として、感謝しながら、出来うる限りの努力をすることを約束する。