軍縮・不拡散

「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」第三回会合について

平成21年6月22日

別添:出席者(PDF)PDF

 川口順子元外相及びギャレス・エバンス元豪外相が共同議長を務める本件国際委員会第三回会合(於:モスクワのリッツ・カールトン・ホテル)の概要、以下のとおり。なお、同国際委員会は民間有識者によるものであり(いわゆるセカンド・トラック)、外務省は、豪外貿省と共に同委員会の事務局を務めている(出席者別添)。

1.6月19日、両共同議長は、露政府関係者等と会合を持った。

(1)面会の相手

(2)共同議長より、国際委員会の活動を説明し、ロシアが、核兵器のない世界に向けて前進することを明確に表明し、米国との間で、第一次戦略兵器削減条約後継条約の交渉を行っていることを歓迎した上で、有意義な後継条約が速やかに合意されることへの期待を述べた。

(3)これに対して、ラブロフ外相より、今次モスクワ会合が開催されたことを歓迎するとともに、ロシアとして、核兵器のない世界を現実的アプローチで目指しており、米国とともに核軍縮を行ってきていること、後継条約交渉についてのロシアの立場(特に、ロシアとして、核弾頭をモスクワ条約より低い水準にまで削減するとともに、運搬手段を大幅に削減する考えがあること、他方、戦略的攻撃兵器と戦略的防御兵器の関係が後継条約の中に盛り込まれること、非核弾頭が戦略的運搬手段に搭載されないこと、戦略兵器が宇宙に配備されないこと、配備核弾頭のみならず保有核弾頭全体が削減対象とされることが必要であること。)について説明があった。

(4)また、キリエンコ社長から、核弾頭の解体から生じる高濃縮ウランの低濃縮化、プルトニウムの処分、世界に点在する高濃縮ウラン仕様の研究炉を低濃縮ウラン仕様に転換するための国際協力、アンガルスクに国際的な核燃料供給のためのウラン濃縮センターを設置する提案等について説明があった。

(5)更に、マルゲロフ委員長より、核軍縮・不拡散に関する若者への教育の必要性、各国議会メンバーの間での議論の必要性について指摘があった。

2.国際委員会会合(6月20-21日)

 事前に共同議長より国際委員会メンバーに配布した報告書骨子案について、議論が行われた。

(1)核兵器のない世界を実現するための行動計画について議論が行われた。この議論は、2012年までの短期的行動計画、その後、核の危険を最小化するための中期的行動計画、及びその後、核兵器廃絶を実現するための長期的行動計画から構成されるという行動計画案に基づいて議論が行われた。

(2)短期的行動計画については、北朝鮮とイランの核問題の解決、米露による核軍縮、米露間の戦略対話及び米中間の戦略対話、すべての核武装国が行うべき核軍縮努力、核武装国の核政策(核兵器の目的、先制不使用、消極的安全保証)や、核態勢(核兵器発射までの決定時間を長くする措置)、CTBTの早期発効、カットオフ条約交渉の前進、2010年NPT運用検討会議で達成されるべき合意をどうするか等について議論が行われた。

(3)中期的行動計画の最終点、即ち「核の危険最小化時点」において、核兵器の数はどこまで削減されるべきか、核兵器の態勢や核政策はどのようなものであるべきか、NPT未加入の3カ国の取り扱い方等について議論が行われた。また、「核の危険最小化時点」までの道筋について議論が行われた。

(4)長期的行動計画については、核廃絶を可能にするための条件として、厳格な検証制度や執行体制の必要性について議論が行われた。

(5)21日午後、秋葉広島市長及び共同議長に対するNGOアドバイザー(川崎哲ピースボート代表、ティルマン・ラフ核戦争防止国際医師会議(IPPNW)豪代表)が国際委員会に対して意見表明を行う機会が設けられた。秋葉市長からは、世界平和市長会議が提案している広島・長崎議定書への支持の要請がなされ、NGOアドバイザーからは、核兵器禁止条約の提案、核抑止政策への懸念等が表明された。

3.国際委員会と原子力産業界との会合(6月22日)

 原子力産業界の16企業・団体関係者が参加し、燃料供給、拡散抵抗技術を含む不拡散・セキュリティーの分野での産業界の役割と今後の協力のあり方につき、意見交換を行った。

4.将来の会合

 9月下旬に中東地域会合(於カイロ)、10月上旬に南アジア地域会合(於デリー)を行い、10月16-20日より、第4回会合を広島にて行う予定。


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