経済

G20トロント・サミット(概要)

2010年6月27日
外務省・財務省

1.日程、参加国等

 (1)日程、場所

 2010年6月26日(土曜日)、27日(日曜日)(於:カナダ・トロント)

 (2)参加国・国際機関

 G8(日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、EU)、メキシコ、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、韓国、オーストラリア、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン、スペイン、オランダ、ベトナム(ASEAN議長国)、エチオピア(NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ:New Partnership for Africa's Development)運営委員会議長国)、マラウイ(AU(アフリカ連合)議長国)、国際連合、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、金融安定理事会(FSB)、経済協力開発機構(OECD)、世界貿易機関(WTO)、国際労働機関(ILO)。

2.主要な成果

 議論を踏まえ首脳声明に合意(別添:主要なポイント)。主要な成果は以下のとおり。

 (1)世界経済、フレームワーク

  • 多くの首脳から、世界経済の回復は予想以上に進んでいるが、一様ではなく依然として脆弱であり、強固な回復の確保が鍵となる、そのためには財政健全化、構造改革、貿易自由化が重要との指摘があった。財政健全化につき、多くの首脳が、その重要性を強調しつつ、経済成長と両立させることが必要との認識を共有した。
  • 各国首脳は、先進国において既存の財政刺激策を遂行し、成長に配慮した財政健全化計画を公表することで合意。各国の状況に即して差別化との基本を踏まえつつも、先進国は、2013年までに少なくとも赤字を半減させ、2016年までに政府債務の対GDP比を安定化または低下させる財政計画にコミット。あわせて、G20として、日本の状況を認識し、成長戦略とともに最近発表された日本政府の財政健全化計画を歓迎。
     菅総理は財務大臣として経験を披瀝しつつ、1)欧州の問題が示しているのは、成長と財政健全化の両立という困難な課題であること、2)新内閣は「強い経済、強い財政、強い社会保障」を掲げ、先に「新成長戦略」と「財政運営戦略」を発表したこと、3)介護、医療、保育等の分野で市場と雇用を拡大し、成長に繋げていく考えであることにつき発言した。
  • また、「強固で持続可能かつ均衡のある成長のための枠組み(フレームワーク)」のもと、先進国での財政健全化、世界的な需要のリバランス、各国における潜在成長率引き上げに向けて協働するため、先進国・新興国、経常黒字国・赤字国といったグループ毎の政策オプションについて合意。11月のソウル・サミットに向けて国毎の議論に移行することに合意。

 (2)金融規制改革

  • 欧州安定メカニズム等の実施、EUのストレス・テストの結果公表の決定、米国の金融改革法案を歓迎。
  • 過去のサミットでの金融規制改革のコミットメント達成にむけて協働することを確認。
  • 資本の量・質を改善する新たな銀行の資本枠組みにつき、ソウル・サミットの際に合意に達することを支持。新たな規制は、マクロ経済影響評価に基づく移行期間を経て2012年末までを目標に、段階的に実施することに合意。菅総理からは、金融規制改革につき、危機再発防止の観点から必要であるが、性急な実施が景気の低迷を招かないようにする必要がある旨発言を行った。
  • 首脳は、様々な政策アプローチがあることを認識しつつ、金融システム修復等に政府が要した費用に対し、金融セクターが公平かつ実質的な貢献をするとの原則に合意。複数の首脳は、金融機関に対する課金もしくは税を国際的に導入することの必要性を主張。

 (3)国際金融機関改革

  • 国際開発金融機関の大幅増資に関する合意と世界銀行のボイス改革の合意が歓迎された。
  • IMFに関し、菅総理から、1)今回の欧州問題へのIMFのコミットメントは、IMFの資金基盤の強化が喫緊の課題であることを示している、2)2008年4月に合意している増資と拡大されたNAB(多国間のIMFへの貸付取極)を早急に発効させる必要がある、3)我が国はIMFへの最大1000億ドルの貸付取極を通じ、IMFへの資金基盤の強化に貢献している、4)ソウル・サミットまでに、IMFのクォータ(出資割当額)改革に関する合意を目指すべき旨指摘。各国首脳からも、ソウル・サミットに向けて作業を加速すべきとの意見が多く出された。

 (4)気候変動

  • COP16議長国のメキシコから他の首脳に対し、準備状況について説明があり、中国等の慎重な姿勢に配慮し議論があまり行われないとの見方もあったが、多くの首脳間で想定よりも活発な意見交換が行われた。菅総理からは、コペンハーゲン合意を踏まえ、できるだけ早期に、すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みを構築する、新しい一つの包括的な合意に至ることが不可欠であり、時間が限られており、緊迫感をもって取り組む必要がある旨強調した。
  • G20首脳は、コペンハーゲン合意を支持した国は、合意及びその実施への支持を再確認し、他にも同意を支持するよう求めることに合意。

 (5)貿易・投資

  • G20首脳は、保護主義との闘いに結束することを確認し、新たな障壁を設けないとのコミットメントを2013年末まで3年間更新した。
  • 複数の首脳から、財政に負担をかけずに成長を後押しするためには、貿易が重要であり、ドーハ・ラウンドの早期妥結に向けて取り組むべきとの発言があった。菅総理からも、世界経済を持続的な成長軌道に乗せるためには、自由貿易の推進が引き続き重要であり、ドーハ・ラウンドのモメンタムをつけるために、これまでの交渉で積み上げてきたものをベースとしつつ、特に新興国による一層の実質的な自由化が期待される旨指摘した。新興国の首脳からも、ドーハ・ラウンド妥結の重要性を強調する発言が続いた。

3.今後のG20サミット

 次回は、本年11月11日、12日に韓国ソウルで開催。来年は、仏の議長の下で、11月に開催。2012年に議長国メキシコの下で開催。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る