
G20開発に関する閣僚会合コミュニケ (仮訳)
平成23年9月23日
(英語版)
- 我々,G20財務大臣並びに開発及び国際協力担当大臣は,世界経済課題の一部である開発課題に対処するため,本日,初めての会合を開催した。途上国は世界経済の成長の主軸であり,開発への支援は全ての国々の繁栄に対する投資である。
- ソウルにおいて,首脳はソウル開発合意と複数年行動計画を承認した。ソウル開発合意は,より強固で衡平で持続可能かつ強じんな成長の障害(ボトルネック)への対処を支援するため,他の途上国,取り分け低所得国と連携して作業を行うという我々のコミットメントを設定している。G20複数年行動計画は,このコミットメントを具体化し,途上国の潜在成長力と経済の強じん性を最大化するための複数の行動分野として,取り分けインフラ,民間投資,国内資金動員,貿易,食料安全保障,社会保護,外国送金,金融包摂,人的資源を強調している。同計画は,途上国,取り分けイスタンブール行動計画に明記される低所得国が,ミレニアム開発目標を達成できるよう支援するために,国連システムと多国間及び二国間ドナーの努力を補完する。
- 近年の歴史における最も深刻な経済ショックを受け,G20首脳はソウルにおいて,開発を世界の景気回復のための課題の鍵となる要素とすることを決定した。我々は,開発課題がG20の優先事項の中核であり続けること,及び,強固で均衡ある持続可能な成長を促進し,繁栄の格差を是正し,共有された包摂的な成長を進め,貧困を一層削減し,ジェンダー平等を促進し,雇用の創出に貢献するために我々の作業を続けていくことを再確認した。我々は,共有された成長のためのソウル開発合意及び複数年行動計画の前進に向けた開発作業部会の進展を歓迎し,カンヌ・サミットでの首脳への報告書に期待する。
- 今日,我々は,途上国の潜在成長力と経済の強じん性を最大化するため,カンヌで我々の首脳によって扱われる食料安全保障とインフラの2つの優先分野の検討を行った。
- 「アフリカの角」における人道的危機は,国際的な対応を必要としている。国際社会は,同地域の人々を支援するために集結したが,更なる支援が必要である。この危機は,食料への緊急及び長期的な対応を強化する必要性を強調した。2050年に90億人を超える人々に食料を供給するためには,途上国の農業生産を倍増しなくてはならない。農業セクターに再び投資すべき時が来ている。G20農業大臣の「食料価格乱高下及び農業に関する行動計画」の観点から,我々は,国連食糧農業機関(FAO)や経済協力開発機構(OECD)により調整された国際機関の作業を基盤として準備された,具体的な一連の行動を通して,世界の食料安全保障を改善することを目指す。これらの行動は,G20農業研究ネットワークを動員して研究,技術革新及び普及を強化すること,世界農業食料安全保障プログラム(GAFSP)の活動を含め,国際開発金融機関(MDBs)や民間セクターと協力して,責任ある投資並びに農業生産及び食料安全保障に関わる活動を拡大する努力を促進することを含む。その他の取組は,MDBsの作業を参考にしたリスク管理戦略,ツール及び商品を通して,価格の乱高下に対して最も脆弱な人々を保護すること,栄養を向上すること並びに西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が主導する的を絞った地域の緊急人道食料備蓄試行プロジェクトの開発や,ASEAN+3緊急米備蓄の取組のような,既存の各国の食料備蓄を補完する国及び地域主導のイニシアティブの枠組みで人道的食料供給へのアクセスを強化することを目的とする。この文脈において,我々は,財務大臣の指示の下に実施された一次産品の金融市場規制に関する作業の重要性を強調する。
- インフラの欠如は,多くの途上国の潜在成長力を劇的に阻害している。我々は,この課題が,取り分け低所得国で,他を排除しないものの特にサブサハラ・アフリカを重視して,遅滞なく対処される必要があることに合意する。我々は,ボトルネックと制約に対処する共同のインフラ行動計画を作成するMDBsの努力を歓迎し,MDBsに対し,特に投資家が利用可能なデータの質,地域プロジェクトを支持するインセンティブ,官民連携のため支援の改善,建設セクターの透明性,プロジェクト準備の効率性,MDBsの調達規則と慣行の調和について,カンヌ・サミット前に提案を発表するよう要請する。我々は,メンバーシップを開放するとのアフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)の提案も歓迎する。
- 我々は,インフラ投資に関するハイレベル・パネルの貢献を歓迎し,ハイレベル・パネルに対し,その委任された権限に基づく3つの作業の流れである,投資可能な環境の促進,資金源の多様化,カンヌで我々の首脳に発表される持続可能なインフラプロジェクトの特定についての革新的な作業を完了することを求める。我々は,環境における持続可能性,食料安全保障,貿易及び地域統合を十分考慮しつつ,MDBsとの緊密な協力の中でハイレベル・パネルにより提案された,模範的なインフラ投資プロジェクトの特定のための一連の基準に留意する。
- 世界経済危機は,最も脆弱な人々に過大な影響を与えた。世界的なリスクに関して,より良い保護を提供できるメカニズムを開発し,より包括的な成長の道筋を確保する必要性が高まっている。この観点から,我々は,各国自身が個別の状況に応じて定義する社会的保護の床の実施及び拡大,国際送金のコスト削減,民間投資,雇用創出及び人材開発の促進,国内資金動員の促進並びに成長を促進させる地域的・世界的な貿易環境の実現に関する提案を歓迎する。我々は,金融包摂のためのグローバル・パートナーシップの行動計画の実施を支持する。
- ビル・ゲイツ氏により準備された開発のための資金に関する報告書の暫定的な結論の発表を受け,我々は,官民双方を含む全ての関係者の関与並びに国内資金,外部資金及び革新的資金源の適切な動員の重要性を認識した。我々は,カンヌ・サミットにおいて,ビル・ゲイツ氏の最終報告書がG20首脳に発表されることに期待する。我々はまた,実際的で費用対効果の高い方法による途上国への気候変動資金の流れを拡大する選択肢を分析するため,とりわけ国連気候変動枠組条約の目的,規定及び原則に一致した気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ(AGF)報告書を踏まえつつ,国際通貨基金(IMF),地域開発金融機関,OECDとの緊密な連携のもと,世界銀行が調整を行う共同報告書を受け取ることを期待する。
- 我々は,アジア開発基金(ADF)と国際農業開発基金(IFAD)の増資交渉の成功に期待する。
- 我々は,多様な経験と知見を共有すると同時に,11月に釜山で開催される第4回援助効果向上に関するハイレベル・フォーラムを含む,開発協力における他のフォーラムとの相乗効果を生み出すことにより,開発作業部会を通した新しい協力を開拓することを固く信じる。我々は,カンヌ・サミットやその後のG20開発課題のために,共同の努力を強化する。