経済

(仮訳)
経済上の連携に関する
日本国政府とマレーシア政府との間の協定の
署名に当たっての共同声明

  1. 我々、小泉純一郎日本国内閣総理大臣及びアブドゥラ・アーマド・バダウィ・マレーシア首相は、2005年12月13日、クアラルンプールにおいて会談を行い、我々両国が、両国、東アジア地域及び国際社会全体における安定、安全保障及び繁栄への貢献という共通の責務を果たすため、如何に緊密に協力すべきかについて率直な話し合いを行った。
  2. 我々は、日本とマレーシアとの間のより緊密な経済上の連携が、両国及び地域において、健全な経済発展を加速し、国民の福祉を増進し、かつ、人材養成に貢献することを信ずる。また、我々は、物品、人、投資及びサービスの国境を越える移動に対する不必要な障壁を除去する必要性を認識するとともに、グローバリゼーションによる全ての人の福利を最大化するために、我々が協働し、更なる協力を行う必要があることを認識する。
  3. 我々は、グローバリゼーションが多くの新たな経済上及び戦略上の課題及び機会を我々に提示していることを認識しつつ、「共に歩み、共に進む」との考えに立脚し、経済的及び政治的な関係を強化するとの我々の決意を確認する。本日、経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定(以下、「協定」という。)に署名することにより、我々は二国間経済関係の新たな段階に踏み出すとともに、我々の戦略上の連携における新たな一章が始まることとなった。
  4. 協定は、物品、人、投資及びサービスの国境を越える移動を増加させ、両国間の経済上の連携を強化する。さらに、協定は、知的財産の保護、反競争的行為の規制、ビジネス環境の整備のほか、農業・林業・水産業及び栽培業、教育及び人材養成、情報通信技術、科学技術、中小企業、観光並びに環境の諸分野における協力について規定している。また、この共同声明には、持続可能な森林経営及び協力に関する声明が添付される。
  5. 我々は、協定の署名により、日本とマレーシアがそれぞれの競争力を最大限に活かし、両国の経済発展を促進することで、両国国民の繁栄と安定がもたらされ、東アジア共同体の形成のための重要な基礎が築かれることを期待する。
  6. 我々は、日本とマレーシアの政府と国民を代表して、経済及び政治の分野における両国間の関係を新たな次元に引き上げる協定の署名を祝福する。

クアラルンプール、2005年12月13日

小泉 純一郎

日本国内閣総理大臣
アブドゥラ・
アーマド・バダウィ
マレーシア首相

別添1

持続可能な森林経営及び合法的に伐採された木材の貿易

 両首脳は、二国間の枠組み並びに国際熱帯木材機関(ITTO)及びアジア森林パートナーシップ(AFP)等の多数国間の枠組みを通じて両国間で実りある協力を更に促進することを希望し、また、違法に伐採された木材の貿易が、持続可能な森林経営を促進するための両国の努力についての信頼性を損なうこととなるとの考えを共有し、協定に関連し農業・林業・水産業及び栽培業関連の産品の分野における協力の枠組みの下で、二国間の専門家グループを設立することを決定し、当該グループにおいて、両国における持続可能な森林経営を促進するため、次の事項について協議を行わせることとした。

(a)両国における持続可能な森林経営を促進するための措置

(b)持続可能な供給源からの木材及び木材製品の貿易の増進

(c)森林及び木材の利用に関する革新的な手段及び技術に関する研究・開発及び技術移転

(d)ITTO及びAFPを含む森林及び木材に関する国際的な枠組み


別添2

協力

  1. 両首脳は、日本のマレーシアに対する経済財政協力政策及びマレーシアの国家開発政策を考慮しつつ、日本とマレーシアが協定の下で協力を促進することを確認する。
  2. 経済上の連携のための小泉・アブドゥラ研修プログラム(経済連携研修)

    (a)両首脳は、マレーシアの「東方政策」がその社会経済開発及び産業基盤の確立に重要な役割を果たしてきたことを認識し、また、経済上のグローバリゼーションという新たな課題に対処するため、協力の水準を引き上げる必要があることを信じ、新たな研修プログラム、すなわち「経済上の連携のための小泉・アブドゥラ研修プログラム」(経済連携研修)を立ち上げることを決定した。

    (b)協定に規定する協力の主要な目的を考慮して、経済連携研修においては、マレーシアにおける人材養成並びに両国間の相互理解及び友情の促進に貢献するコースが提供される。

    (c)日本は、経済連携研修その他両国間の既存の枠組みの下で、マレーシアの関連機関から、日本の関連の機関、大学及び民間企業に、今後10年間で約1,000人の留学生及び研修員を受け入れることとする。

  3. 協力の事業と計画

    (a)日本とマレーシアは、協定の関連規定に従い、その発効後可能な限り速やかに、添付に特定された事業及び計画を実施する。

    (b)事業及び計画は、協力に関する小委員会において定期的に見直される。

    (c)事業及び計画の実施から生ずるいかなる問題も、小委員会において討議される。

(添付の和訳は省略)

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