
(仮訳)
経済上の連携に関する
日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の
署名に当たっての共同声明
(英語版はこちら)
- 我々、ハサナル・ボルキア・ブルネイ・ダルサラーム国国王及び安倍晋三日本国内閣総理大臣は、2007年6月18日、東京において会談を行った。
- 我々は、両国の安定、安全保障及び繁栄をさらに強化するため、どのように緊密に協働するかについて議論した。我々は、経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国(以下、「ブルネイ」という。)との間の協定(以下、「JBEPA」という。)が、この目標を実現するための主要な原動力の一つとなるとの認識を共有した。
- 我々は、1984年の外交関係樹立以前から続いている、石油・天然ガスの分野をはじめとする強固な経済的きずなに基づいた両国の極めて良好な関係を認識する。今日、日本はブルネイにとって主要な輸出相手国であるとともに、重要な投資元であり、ブルネイは日本にとって石油と天然ガスの重要な供給元である。我々は、二国間関係を強化する多くの機会と可能性がまだあることを確信し、我々のきずなを強化することへのコミットメントを新たにした。
- この関連で、我々は、JBEPAが物品、サービス及び投資の自由な流れを円滑化し、両国間で民間部門のためのビジネス環境全般を整備し、また同時に、エネルギー、貿易投資促進、中小企業、農林水産業、観光、教育・人材養成、情報通信技術、科学技術、環境、知的財産、陸上交通の分野において、能力開発等を通じて協力を深化させ、強化することにより、関係強化の主要な手段となることを確信する。両国間での更なる協力の重要性を反映して、協力事業・計画のリストがこの共同声明に添付される。
- 国際社会の責任ある一員として、我々は気候変動に関する世界的な懸念を認識するとともに、現在我々が享受しているクリーンな環境を、将来の世代が引き続きその価値を理解して尊重することができるよう、環境保全とバランスの取れた持続可能な経済開発を確保することが重要であることを認識する。この文脈において、ブルネイは、気候変動問題に対応するための戦略として日本が最近示した提案、「美しい星50」を歓迎する。我々は、クアラ・ベラロングにある生物多様性センターが、学者、専門家及び民間部門との協力の下、日本の経験や知見を活用して発展し、環境保全の分野における研究協力に利用されることへの期待を共有した。
- 我々は、JBEPAが地域経済統合の強化に貢献することを確信する。地域における緊密なパートナーとして、我々は、特に日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)の構築において日ASEAN間のパートナーシップを強化することに引き続きコミットしている。日本とブルネイは、東アジア包括的経済連携(CEPEA)に関する民間研究及び東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を通じて東アジア地域統合を進めるため協働する。
- 本日、我々の共同努力の成果を目にするのは、我々にとって大きな喜びである。JBEPAの署名は、我々の関係を新たな、より高いレベルのパートナーシップに引き上げるものであり、それによってさらなる経済発展が加速されるとともに、両国国民の福祉が増進されるであろう。我々はまた、JBEPAが民間部門の一層の参加と交流とを奨励するとともに、両国国民間の交流を拡大すると考える。
東京において、2007年6月18日
安倍 晋三
日本国内閣総理大臣
ハサナル・ボルキア
ブルネイ・ダルサラーム国国王
別添
実施予定の協力プログラム・プロジェクト・リスト
エネルギー
1. 人材養成プログラム(知見の移転/キャパシティ・ビルディング); 電力業界、また石炭、水力及び廃棄物発電における経験及びベスト・プラクティスを共有するためのセミナー及びワークショップの開催
2. 政策形成:電力業界に関する規制の枠組み作りへの専門家による支援を含む、エネルギー政策に関する情報交換及び経験の共有
3. 電力業界の約款の検討及び設計に関するコンサルタント・サービス及び専門家による支援
4. 以下の分野における情報交換;
i. 水素電池及び燃料電池
ii. メタンハイドレード
iii. 再生可能な発電
iv. 再生可能な燃料製品
v. ゼロ・エミッション発電のためのCO2回収貯蔵技術
vi. 環境調和型石炭利用技術(クリーン・コール・テクノロジー)
vii. エネルギー効率及び省エネルギー
viii. エネルギー政策立案の知見
5. 省エネルギー、再生可能エネルギー等に関する気候変動防止技術イニシアティブ(CTI)産業合同セミナーの開催
農林水産
6. 農林水産省(MAFF)及びブルネイ産業一次資源省(MIPR)の間における「対話メカニズム」
7. ブルネイ産品の展示・紹介
8. マーケティングに関するキャパシティ・ビルディング
貿易・投資の促進
9. BIMP-EAGA(東アセアン地域)貿易投資促進ミッションの派遣
10. 対日海外直接投資に関するキャパシティ・ビルディング・ワークショップ
11. 日本ASEANデザイン評議会の設立
中小企業
12. 中小企業キャパシティ・ビルディング事業(中小企業のためのビジネス促進セミナー及び研修プログラム)
13. ジェトロ(JETRO)によるブルネイの手工芸品の調査、特定及び開発支援
教育及び人材育成
14. 日本政府国費留学生制度
15. 21世紀東アジア青少年大交流計画
16. 大学間交流事業の促進
17. 仙台市とブルネイ日本友好協会との交流事業の促進
観光
18. ASEAN観光促進事業(ASEAN各国のイメージ改善ビデオ作成)
科学技術
19. 人材開発及び特別研修プログラム
20. 香川大学医学部とブルネイ・ダルサラーム大学医学部との研究協力
情報通信技術(ICT)
21. アジア・太平洋電気通信共同体(APT)によるICT研究者・技術者交流のための人材開発プログラム
22. ICTに関するキャパシティ・ビルディング事業(貿易促進機関情報サイトの取引サイト化)
23. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験の相互認証に関する紹介
知的財産
24. 知的財産分野における情報交換及び経験の共有