経済

EPAセミナー(平成23年)
金銅重弘 チョーヤ梅酒株式会社 代表取締役 講演概要

平成23年1月

 金銅重弘 チョーヤ梅酒株式会社 代表取締役の講演の概要は以下の通り。

 現在、当社の売り上げ全体のうち、海外事業は約15%ほどだが、今後これを発展させていきたいと思っている。

 チョーヤの主要商品である梅酒(リキュール)については、各国における酒税の負担があり、EPAによる関税減免の恩恵を全面的に被ることができない。例えば、シンガポールのリキュールの関税は0%になっているが、日本のおよそ4倍以上の比率の酒税がかかっており、末端消費者価格は大体日本の倍くらいになってしまう。また、タイについても、日タイEPAにより段階的に税率が逓減しているものの、これに加えて酒税類が課せられるため、結局シンガポール同様、末端消費者価格は日本の2倍近くになってしまう。

 このようにお酒の世界ではEPAの恩恵があると一概には言い難いが、我々は、日本独自のお酒の世界進出があまり進んでいない現状下において、鉱工業製品等日本が強い産業分野の方々が海外で活躍され、日本食の文化を広めて下さることによって、日本の梅酒文化も広まる、あるいは我々が梅酒文化を広めやすくなるといった二次的な恩恵を被ることを期待している。

 ニュース等では、アジアで日本と韓国がFTA締結競争をしているような感を呈しているが、韓国が結んだFTAも我々に恩恵がないわけではない。そういった意味で、日本と韓国の関係も、競争ではなくむしろ協力ではないかと思っている。お互いが努力しながら世界の一物一価の方向に進んでいくような関税撤廃が進み、さらに国内の税金もフェアなものになってゆけば、世界において、良いものがある場所からそれが無い場所への流通が盛んになり、日本の良い文化、良い商品がますます流通していくようになるのではないだろうか。

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