経済

EPAセミナー(平成23年)
山本忠司 株式会社ワコールホールディングス取締役 兼 株式会社ワコール取締役専務執行役員国際本部長 講演概要

平成23年1月

 山本忠司 株式会社ワコールホールディングス取締役 兼 株式会社ワコール取締役専務執行役員国際本部長の講演の概要は以下の通り。

 現在当社は、31の海外事業所を通じて世界の約50の国・地域で製品を展開している。創業者は創業後間もなく、海外進出・事業展開を視野に入れた、10年毎の事業計画を立案し、当社はこの計画に基づいて海外事業を展開してきた。当社が主に扱っている下着製品は、各国の風土、気候、人種、文化の影響を非常に受ける製品群であり、消費者の皆様により適応する製品を作るためには地産地消型の事業モデルが望ましい。また、商品毎にサイズが非常に多いため、基本的に市場単位で完結する事業展開の方が管理しやすい。こうして、地産・地消を海外戦略の基本とし、進出先の事情やグローバルレベルでの機能分化、エリア単位の施策推進等を勘案しながら、グローバル・バリューチェーンを見直してきている。

 今後の海外事業展開に関しては、成熟市場、成長市場、新興市場について、企画する場所、作る場所、売る場所の最適化を図りつつ、いずれの市場についても、経済連携も活用しながらコストを下げ、最終的な利益の創出につなげていきたいと考えている。

 EPAを活用し始めた当初は、あくまで既存の商流の中でEPAを利用するという受動的な考え方をしていたが、2006年日マレーシアEPA締結の頃から、EPAを有効活用するための商流を本格的に検討するようになった。現在、当社の海外事業では、グループネットワークを使った商材供給において、各地域での経済連携を活用している。

 当社は経済連携の有効活用のためのステップは、1)効果を理解する、2)担当者・担当部門を設置する、3)関係部門を巻き込む、4)関係機関を活用する、5)費用対効果を検証する、6)経済連携活用をフル活用するのに必要なシステム投資を検討する、7)さらなる有効活用のために業界で適用条件を検討する、ことと考える。

 政府によって「第三の開国」「平成の開国」が大きく進もうとしている。これは企業にとっても期待すべきことである。いち早く波に乗り、日本企業の発展につなげられれば良いと思う。

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