経済

EPAセミナー(平成23年)
塚田玉樹 外務省経済局経済連携課長 講演「我が国のEPA戦略」概要

平成23年1月

 イントロダクション・塚田玉樹外務省経済局経済連携課長の講演「我が国のEPA戦略」の概要は以下の通り。

 地方企業や中小企業の方々に、経済連携協定(EPA)のビジネス上のメリットを知って頂き、活用して頂くことが今回のセミナーの狙い。そのために、国の政策のご紹介に加え、企業戦略の中におけるEPAの活用実例や実務にあたってのポイントについて、事例紹介を行う。

 EPAは、モノやサービスの貿易の自由化だけでなく、投資ルール、人の移動、政府調達、知財、競争、ビジネス環境整備など様々な分野における日本と相手国との経済関係全般を規律する協定。

 日本のEPAの特徴は、EPA比率(EPA相手国との貿易額が貿易総額に占める割合)が必ずしも高くないこと、またASEAN諸国を中心に締結してきたことから関税撤廃の観点ではかなり片務的な形になっている。

 今後新たなEPAのフロンティアを拡大していくためにはこれまでの日本型EPAのモデルは通用しない。このため、日本政府は2010年11月に「包括的経済連携に関する基本方針」を策定し、高いレベルの経済連携を目指すこととした。日本が新たなEPAを進めて行くに当たっての大きな課題は自国の改革、すなわち規制改革と農業改革であると認識。

 同時に、今後は二国間EPAのみならず、アジア太平洋における広域の、面のEPAが展開していくだろう。昨年の横浜APECにおいては、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)について、ASEAN+3、ASEAN+6、TPP協定といった現在進行している地域的な取組を基礎として更に発展させることにより、包括的な自由貿易協定として追求されるべきであることが確認され、その実現に向けた具体的な措置をとっていくこととなった。

 各国が勢力圏をそれぞれ作っていく中で、日本としてAPEC・TPPを中心とするアジア太平洋のFTAの動きにかかわっていくのか、あるいは、日中韓やCEPEA、EAFTAを中心に進めていくのか、あるいは両方を同時追求していくのか、といった戦略的思考も必要となっている。

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