平成23年7月
6月25日から7月2日、第37回総会がローマのFAO本部にて開催され、我が国よりは、篠原孝農林水産副大臣、河野雅治駐イタリア大使兼FAO常駐代表を政府首席代表とする代表団が出席した。
総会は、FAOの最高意思決定機関であり、2年に1度開催され、今次総会には191加盟国及び欧州連合(EU)が参加した。
本年12月末をもって任期満了となるディウフ現事務局長の後任を選出する選挙が行われた結果、6名の立候補者の中から、ジョゼ・グラジアーノ・ダ・シウバ氏(ブラジル)が選出された。同氏の任期は2012年1月1日から2015年7月31日までとなる。
次期通常予算については、当初、各国の主張に隔たりがあったため、非公式協議を経て、最終的には通常計画予算の予算規模を1,005.6百万ドル(対前期比1.4%増)とすることが全会一致で決定された。なお、当該予算規模の範囲内に収めるために必要となる追加的な経費削減の具体的内容については、今後財政委員会及び計画委員会で議論し、2011年11月の理事会に諮られることとなった。
全49議席のうち、本年末及び明年末で3年の任期が満了する32議席について理事国が選出された。アジア地域では改選対象9議席に、日本、中国、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、バングラデシュ、パキスタンが選ばれた。なお、我が国は1965年以降、50年連続で理事国を務めることとなる。
FAOは長年にわたり国際獣疫事務局(OIE)等の関係機関と協働して牛疫対策に取り組んできたが、今次総会で牛疫撲滅宣言が行われた。また、総会のサイドイベントとして「牛疫撲滅シンポジウム」が行われ、撲滅を祝うことと併せて、今後の家畜防疫を一層的確なものにすることが強調された。また、牛疫撲滅に貢献した関係者・団体の顕彰、物故者への黙祷、生存者(団体)に対する表彰状及びメダルの授与が行われた。我が国からの顕彰対象者(団体)は、故中村惇治氏並びに小澤義博氏及びJICAであった。
(注)牛疫とは、牛、水牛など偶蹄類が罹患すると発熱や多量の鼻汁・よだれ等の分泌、下痢等を発症し、通常1~2週間で死に至る最も危険なウィルス性感染症の一つ。
農業や飢餓軽減の分野で活動する著名な人物として、今次総会ではコフィ・アナン緑の革命同盟理事会議長(前国連事務総長)が記念講演を行った。同氏はこの中で、世界のより正確な食料備蓄情報の把握等により、投機や食料価格変動を緩和することが可能であること、途上国で発生している農地収奪に対する懸念、公平な貿易ルールと農業補助金の必要性、今後更に途上国向けの農業開発援助が必要であること等について述べた。
なお、今次総会には、「農業と農村開発における女性の役割」をテーマとして各国の状況等が報告され、我が国は篠原農林水産副大臣から、1)東日本大震災に伴う各国支援への感謝、2)日本産食品の輸入規制につき科学的根拠に基づく対応の要請、3)女性の農業技術向上の必要性と我が国の支援、4)我が国の農業政策及び世界の食料安全保障への貢献について報告した。