
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第3回総会
(概要)
平成25年1月
約1000名参加の会場会合で発言する城内外務大臣政務官
1.会議概要
- (1)1月13日及び14日,アラブ首長国連邦のアブダビにおいて国際再生可能エネルギー機関(IRENA:アイリーナ)第3回総会(議長:リデゴー・デンマーク・気候・エネルギー・建設大臣)が開催され,88か国のIRENA加盟国から閣僚級を含む代表が出席した他,憲章未批准の署名国やオブザーバー国(48か国),74の関係国際機関,民間企業等を含めて約1000人が参加した。我が国からは,城内実外務大臣政務官を代表として,外務省,経済産業省及び農林水産省からなる代表団が参加した。 なお,今次総会時点における批准国は104か国とEU,憲章未批准の署名国は55か国。また,中国等が新たに加盟意思を表明。
- (2)今次会議は,正式に2011年7月にIRENA憲章が発効して以降,3回目となる総会であり,エネルギー安全保障,気候変動問題,エネルギー・アクセス等の様々な観点から再生可能エネルギーの重要性が増していく中,グローバル・アトラス(再生可能エネルギーのデータベース)を含め,IRENAの活動及び組織運営が着実に進展していることへの評価と今後の期待が表明された。また,今次会議を通じて,IRENAと関連国際機関・機構・研究所等との連携強化,及びIRENAによるアフリカ,太平洋島嶼国,アジアにおける調査研究や能力開発支援等の取組強化の重要性が再確認された。
- (3) さらに,2013年作業計画予算,2014年以降の2か年作業計画予算の導入,中期戦略,特権免除協定,投資方針,一部諸規則の改訂等が承認され,特別の閣僚ラウンドテーブルでは,再生可能エネルギーに関するファイナンスや費用対効果をテーマに議論が行われた。
- (4) 城内外務大臣政務官は,IRENAの今後の活動に関連して,我が国においても再生可能エネルギーの加速的な導入が喫緊の課題となっていると述べるととともに,再生可能エネルギー分野におけるこれまでの我が国のODA支援,IRENAへの期待,及びIRENAに対する我が国の協力の成果及び今後の抱負について発言を行った。なお,我が国からのIRENAへの任意拠出金の拠出表明に関しては,アミン事務局長より深甚なる謝意が表明された。
2. 主な討議の内容
(1)2013年作業計画予算
アミンIRENA事務局長による2013年作業計画予算の説明を受け,今次総会では我が国代表である城内外務大臣政務官より,ポイント以下の内容の発言を行った。なお,同作業予算は,活発な意見交換の後,最終的にコンセンサスで承認された。
IRENA第3回総会(1月14日)城内実外務大臣政務官スピーチ(英文)
- 東日本大震災後の我が国にとって,再生可能エネルギーの加速的な導入は喫緊の課題。また,世界にとっても,再生可能エネルギーの発展は,エネルギー安全保障のみならず,気候変動対策,低炭素成長,世界的なエネルギー・アクセスの実現のため重要な課題。
- 我が国は,2010年から2012年まで,太陽光や地熱等の再生可能エネルギー分野に対し,約26億ドルの途上国支援を実施。昨年6月に開催されたリオ+20の際にも,今後3年間で30億ドルの支援を表明し,世界における再生可能エネルギーの発展に貢献。
- 再生可能エネルギーの推進・普及に向けた世界的な協力の中心にいるIRENAが,IEA等の関連国際機関との連携を通じてデータ収集や分析能力の向上を図り,スリムでかつ効率的な,卓越した知的拠点となり,アフリカ地域や太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの一層の推進やアジア諸国の能力開発支援に努めながら,世界へ有益な貢献をすることを期待。また,被災地へのその知見のインプットを通じた支援の継続を期待。
- 我が国は,IRENAの活動への協力,その組織運営への貢献の両面を通じて,これまでのIRENAの活動を支えてきたと自負。具体的には,2012年においては,沖縄での第6回太平洋・島サミットの機会に太平洋島嶼国を対象にIRENAとワークショップを共催したほか,福島で開催した被災地復興エネルギーセミナーへIRENA専門家を招聘。また,NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は,人材育成支援等を目的とした覚書をIRENAと締結。
- 2013年においても,我が国は,引き続き,アフリカ等に関するものも含め,IRENAの活動を支援していく。
- また,我が国は,機関刊行物の策定,蓄電池に関する技術ロードマップの作成,2030年に向けた世界再生可能エネルギーロードマップ,再生可能エネルギーに関する準備評価に対して任意拠出金を拠出する用意がある。
- さらに,我が国のJIRCAS(独立行政法人国際農林水産業研究センター)が,バイオマス資源利用の分野において,今後IRENAと協力を進めていく。
- このようにIRENAの活動への貢献努力を倍加させたい。
(2)IRENA中期戦略
2013~2017年のIRENAの中期戦略について活発な議論が行われ,IRENAが,1)再生可能エネルギー及び技術のグローバル・ボイス,2)再生可能エネルギーに関する勧告源,3)国家・地域・グローバルなプログラムのネットワーク・ハブとなることの3つの柱とそれに基づく具体的目標が記載された中期戦略が承認された。
(3)特権免除協定
アラビア語,英語,フランス語,スペイン語及びドイツ語の5か国語による特権免除協定が承認された。
(4)その他の決定事項
今次会議において,(ア)総会及び理事会の手続規則,(イ)IRENA投資方針,(ウ)IRENA運転資本金,及び(エ)外部監査人の指名等が承認された。
(5)次回会議
第4回総会は2014年1月26日及び27日に開催されることとなった。