
第23回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会
(概要)
平成23年10月
1.会議概要
10月18及び19日,第23回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会がパリで開催され,我が国からは,枝野経済産業大臣及び中野外務大臣政務官が出席した。今次理事会では,ファーガソン豪資源エネルギー観光大臣が議長を務め,IEA加盟28か国に加え,主要非加盟国との協力重視との考え方から,中国,インド,ロシア(前回に続けての参加),ブラジル,チリ,インドネシア,メキシコ,南アフリカ(以上今回初参加)の計36か国から閣僚級が出席した。
2.テーマ及び背景
- テーマ:「Our Energy Future: Secure, Sustainable and Together (我々のエネルギーの将来:確実に,持続可能に,共に)」。
- 今次理事会は,世界経済に不透明感が引き続きある中,新興国のエネルギー消費増大,気候変動問題への対処,ガス市場の近未来(「ガスの黄金時代到来か?」),原油価格の乱高下という長期的なエネルギーの課題に加え,昨年来のメキシコ湾原油流出事故,中東・北アフリカにおける政情不安,福島第一原子力発電所事故という重大な出来事により,IEA設立以来の基本的使命であるエネルギー安全保障の重要性が再認識し、各国の協力の重要性が強調されることになった。同時に、エネルギー安全保障と気候変動という二つの課題に同時に取り組み、より持続可能な低炭素グローバル社会に移行しなければならない緊急性が共有されたほか、世界の貧困層のエネルギーへのアクセスの問題についても討議された。
3.成果物
今次理事会における議論の結果を踏まえ,結論文書(下記概要)が合意されるとともに,議長より議長総括が発出された。
また,中印露各国とIEA事務局との間の協力に関し,2年前の閣僚理事会時に合意された共同声明が個別に更改されるとともに,今次理事会より参加した5か国のうち、当面の成果として、ブラジル,南ア及びチリとIEA事務局の間で共同作業計画が個別に策定された。
(結論文書概要)
- 主な産油国及び消費国とともに、リビアでの共同行動の評価も含む、緊急時対応システムの拡大、改善によるエネルギー安全保障の強化。予測可能で魅力的な投資の枠組み、必要な人的資源の訓練が重要。
- 各国の政策・状況に応じ、天然資源、原子力を含む再生可能エネルギーその他の低炭素エネルギーの技術の安全かつ持続可能的な開発により,供給の多角化を促進。ガス、電力のエネルギーの安全保障の強化も図る。
- エネルギー市場の透明性及び貧困層のエネルギーへのアクセスの改善
- 温室効果ガス排出を避けながらエネルギーを確実に供給するための、エネルギー節約、省エネ(改訂された25の省エネ勧告の採用)、低炭素技術研究・開発・実証の支援促進。
- IEA加盟国と非加盟国、民間セクター、他の国際機関との協力の強化。