平成19年8月16日
「ヴェネルディ・ディ・レプブリカ」誌(6月22日付、96~97ページ:仮訳)
『ミッキーとドナルドには悪いですが、日本の漫画は、聞きしに勝るものがあります。』麻生太郎外相は、デジタル・ハリウッド大学の生徒たちにこう語りかけた。確かに、世界の殆ど全ての書店には、日本の最も有名な「外交官たち」に捧げられたコーナーがある。今日、日本のイメージは、Jポップ、つまり、特に漫画やアニメに基礎を置く現代日本ポップカルチャーの輸出によるところが大きい。
従って、一年前、自身も漫画のファンである麻生外相が、外国人を対象とした漫画賞、国際漫画賞の創設案を発表したのも偶然のことではない。
本日、(麻生外相は)実行委員会と選考委員会とともに、第一回目の同賞受賞者となる外国人漫画家を選考する予定である。そして、7月2日には、最優秀作品賞の受賞作家及び優秀作品賞の受賞作家3名が、東京での授賞式に出席する見込みである。
麻生外相は熱く語る。『JポップとJファッションの普及力は、想像をはるかに超えています。世界で最も有名なサッカー選手の中の2人、ジダン選手とトッティ選手は、テレビで「キャプテン翼」を観て育ちました。』
「キャプテン翼」は、今週、イラクにも上陸する。これ以前には、「キャプテン(翼)」の画像をつけたジープに乗った自衛隊員が、数ヶ月にわたってムサンナー県を走行していた。これは、アラビア語吹き替え版52話の(「キャプテン翼」の)正真正銘のマーケティングとなった。
イタリアにおいても、他国と同様、漫画の良さを知らしめたのはテレビアニメであった。『イタリアにおいて、漫画出版という分野は、80年代の終わり、日本がおよそアニメの代名詞でしかなかった頃に、控えめに登場してきました。』2003年にボローニャで誕生したマンガ専門出版社Kappa Edizioniの経営陣の一人、アンドレア・バリコルディ氏はこう語る。そして90年代には、Granata Press出版社、Star Comics社とPanini Comics社によってブームが到来した。今や、新聞雑誌販売スタンドや書店には毎月数百のタイトルが登場し、例えば、「ドラゴン・ボール」だけで毎月10万部の売上がある。ペルージャのStar Comics社が依然としてトップ社であり、「ケロロ軍曹」、「名探偵コナン」そして「犬夜叉」で大成功を重ねている。また、同社は、「ルパン三世」、「アタッカーYOU」そして「ドラえもん」も扱っている。
しかしながら、イタリアの市場は、元々の(日本の)市場とは非常に異なる。Kappa Edizioni社のマッシミリアーノ・デ・ジョヴァンニ代表取締役は次のように説明する。『日本では、少年向け、子供向け、成人男性向け、成人女性向けの週刊または月刊の漫画が存在します。イタリアの読者は性別等にとらわれず、多くの少年たちが少女漫画を読み、多くの少女たちが少年漫画を夢中で読んでいます。なぜこのように大きな成功を収めているのか?それは、たとえ空想上の要素が効いていたとしても、自身に近い状況を見出すことで、読者は、漫画に自分を一体化させることができるからです。』(今回の)漫画賞については?イタリアにとってどのような意味があるのか?(という問いに対し)『(イタリアからの参加があるという仮定のもと)イタリア製漫画を遠方の読者に知ってもらう機会となるでしょう。』とデ・ジョヴァンニ氏は語る。
他方、イタリアには日本の漫画家も何名か存在する。ボローニャ在住の売れっ子、市口桂子氏のような例である。『イタリアに来た当時、一部の人々が、日本のアニメはフランスやアメリカのものであって、全てコンピューターで描かれているのだと信じていたのが本当におかしく思えました。今は違って、みんなが漫画とは何かを知っています。むしろ、描かれたものを通じて、子供たちは日本の生活に興味を持ち始めています。もしも、私の作品も含めて、漫画が、文化への一つの扉であるならば、(漫画の)コンクールが設立されても驚くことではありません。』
※「ヴェネルディ・ディ・レプブリカ誌」の記事中央部分のイラストについては、漫画家 市口桂子氏によるもので、Kappa Edizioni社広報局より提供されたものです。