文化外交(海外広報・文化交流)

第31期外交官・第15期公務員日本語研修

平成24年5月18日

 5月14日,第31期外交官・第15期公務員日本語研修の参加者(28カ国より外交官29名,8カ国より公務員9名)の修了証授与式が,外務省にて行われました。同研修参加者は昨年9月から8カ月にわたり,国際交流基金・関西国際センターにおいて,集中的な日本語研修を受けたほか,日本の政治・経済に関する講義を受け,また日本各地の研修視察を行いました。

 終了証書授与式では,冒頭,山根外務副大臣が祝辞を述べ,櫻井国際交流基金理事,来賓代表のイシカワ駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使の祝辞につづき,村田広報文化部長が研修生一人一人に修了証書を授与しました。
 最後に,研修生を代表して外交官代表のパキスタン外務省ハッサン・ムハンマド・ラバニ氏,公務員代表のモルドバ労働社会保障家族省イリーナ・ビルダ女史が,研修で培った日本語で挨拶を行いました。

1.山根隆治外務副大臣挨拶

(写真)山根隆治外務副大臣挨拶  外交官・公務員日本語研修生の皆さん,研修の終了,おめでとうございます。また,今日は外交官・公務員日本語研修修了式に各国大使はじめ,大勢の皆様にお集まりいただき,心より御礼申し上げます。
 皆さん,約8カ月という長い期間家族や友人と離れて生活しながら日本語を勉強することはとても大変だったのではないでしょうか。日本に滞在中は,空手や書道,生け花といった日本の伝統文化や企業の経営についても学んだと伺っています。日本語の勉強だけでなく,こういった研修を体験することで日本の技術や生活様式のなかにある日本人の考え方に触れることができたのではないでしょうか。
 皆さんがそういった経験をこれからの外交官や公務員の仕事に生かしつつ,今後世界で活躍されることは,とても心強いですし,震災から復興する日本の姿を広く世界に伝えていただければ,私達はこれまで以上に助け合っていくことができます。日本で学んだことや経験したことが皆さんの財産となり,さらには皆さんの国づくりのヒントになれば,私達にとってこれ以上幸せなことはございません。
 またいつか,日本で,また世界のどこかで,再び皆さんに会えることを期待しております。ありがとうございました。

2.パキスタン外務省 ハッサン・ムハンマド・ラバニ氏(外交官研修代表)の挨拶

(写真)パキスタン外務省 ハッサン・ムハンマド・ラバニ氏(外交官研修代表)の挨拶  山根外務副大臣,国際交流基金櫻井理事,村田広報文化交流部長,外交団の皆様,本日はありがとうございます。 このような素晴らしい修了式をアレンジしてくださった日本の外務省に感謝したいと思います。
 2年前に外交官としてのトレーニングを受けている時,私はWilliam Fulbright の言葉を読みました。William Fulbrightは,"In the long course of history, having people who understand your thoughts is much greater security than another submarine."(和訳)「長い歴史の中で,人々にあなたの考えていることを理解してもらうことは,もうひとつ潜水艦を持つよりも大きな安全保障である。」と言いました。 日本で8か月間生活した今,私は本当にこの言葉の意味を理解しています。 かつては,国々はそれぞれの世界で暮らしていましたが,今,我々はグローバル経済とグローバル・コミュニティの世界に住んでいます。国と国との間の平和を促進するためには,国々の文化や価値観を理解する必要があります。ですから,言語を勉強することは,国々の人や文化や伝統を理解するために一番良い方法だと思います。
 私たちは,日本へ来て初めて日本語を勉強しました。初めは,平仮名やカタカナ,漢字や文法などにとても問題がありました。しかし,それらのほとんどは,今は大丈夫だと思います。でも漢字は今も問題があります。日本語の勉強はどれも面白くて素晴らしい経験だと思います。
 センター(注:国際交流基金・関西国際センター)における生活は楽しくて忙しかったです。日本の政治・経済・文化のlectureに出席したり,広島や京都に旅行したりしました。それから,毎日食堂で食べながら日本語を話しました。このプログラムの間に私達は,日本の文化の様々な顔を知りました。例えば,生け花や書道,太鼓,着物,合気道,相撲,茶道をしたことなどがあります。日本に来る前は,私達は日本語が全然話せませんでしたが,今は,日本人と色々なトピックスについて話すことができると思います。また,私たちは日本の 社会や経済・政治・文化などを理解できるようになりました。
 外交官にとって,このプログラムは日本語を勉強するだけではなく,28カ国の外交官の文化や国について習うチャンスでした。また,日本での将来の仕事のために,このプログラムはとても役に立つと思います。このプログラムは,世界中への日本の文化の紹介のためにとても大切だと思います。日本にまだ興味がない外交官は日本に興味を持つようになり,また,日本に興味のある外交官は日本をもっと好きになるからです。ですから,これからも必ずこのプログラムを続けてください。
 ここで私は,8か月間私達を教えてくださった日本語の先生方に感謝したいと思います。先生方は日本語だけでなく,このすばらしい国の文化を理解するために,忍耐強く私たちを助けてくださいました。
 最後に,Nelson Mendelaの言葉でこのスピーチを終わりたいと思います。"If you talk to a man in a language he understands, that goes to his head. If you talk to him in his own language, that goes to his heart."(和訳)「もしその人にその人が分かる言葉で話しかけたら,その言葉は彼の頭に届くでしょう。もしその人自身の言葉で話したら,それは彼の心に届くでしょう。」
 もう一度,日本の外務省と国際交流基金の皆様に心より感謝を申し上げます。簡単ですが,これを私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。

3.モルドバ労働社会保障家族省 イリーナ・ビルダ女史(公務員研修代表)の挨拶

(写真)モルドバ労働社会保障家族省 イリーナ・ビルダ女史(公務員研修代表)の挨拶  皆さん,こんにちは。今日は,私たちのために修了式をしていただいて,本当にありがとうございます。このコースへ参加した公務員9名を代表して,日本政府である外務省と国際交流基金にお礼を申し上げます。
 このコースは,私たちにとって忘れられない経験になったと思います。どんな言語を習う時でも,同時にその国の文化や習慣を勉強します。私たちは8カ月間日本語を勉強しながら,日本の豊かな歴史と文化も学びました。センター(注:国際交流基金・関西国際センター)にいる間,日本語の勉強は,クラスの中だけではなく,地元の人々と交流して,日本人の考え方や見方が少し分かるようになったと思います。このような素晴らしい経験ができたのは,センターの先生方のおかげだと思います。
 私たちは,8カ月の間に平仮名やカタカナ,漢字や敬語まで勉強しました。最初は日本語の勉強は本当に難しかったです。今,私たちは日本語の基本的な知識を持っていると思います。ですから,自国で日本語の勉強を続けるのにこの知識は役に立つと信じます。将来,センタ-で習った日本語の勉強は,私達の仕事に絶対役に立つと思います。
 8カ月間のプログラムの間に,私達は色々なイベントに参加でき,日本の色々な所へ行ってみました。2月に私たちは自主研修旅行へ行きました。自分で行きたい所を選びました。みんなは,北海道から沖縄まで自分で選んだ所を旅行しました。これはとても面白い経験でした。あとでクラスメートや大学生や先生の前で自主研修旅行の発表をしました。私は長崎へ行きました。長崎でたくさんの親切な人に会いました。そして,長崎べんの新しい言葉も発表しました。とても楽しかったです。
 研修生たちは,8カ月間ずっとセンターで生活してひとつの家族のようになったと思います。私達はもうすぐ帰国します。家族と会えるのは嬉しいですが,同時にみんなと別れることにさびしい気持ちを持っていると思います。
 みんな自分の国へ帰っても,素晴らしい日本のことをいつまでも忘れないと信じています。最後にもう一度,外務省と国際交流基金・関西国際センタ-の方々に感謝致します。たいへんお世話になりました。誠にありがとうございました。

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