
化学兵器禁止機関(OPCW)第16回締約国会議
(概要と評価)
平成23年12月

2011年11月28日~12月2日,化学兵器禁止機関(OPCW)第16回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国131か国が参加しました。また,未締結国であるイスラエル及びミャンマー(両国とも署名済み)がオブザーバーとして出席しました。我が国からは,肥塚隆駐オランダ大使を代表団長とし,今給黎学外務省生物・化学兵器禁止条約室長等が出席しました。
1 概要
- (1)ウズムジュ事務局長は,ステートメントにおいて,化学兵器の廃棄の進展,過渡期にあるOPCWの将来についての検討,化学兵器禁止条約(CWC)の国内実施強化の重要性等につき述べ,今後のOPCWの諸課題に対して積極的に取り組んでいく姿勢を表明しました。
- (2)肥塚駐オランダ大使が行った一般演説においては,CWCの国内実施強化とそのための国際協力の重要性について述べるとともに,中国遺棄化学兵器の問題を含め,日本として引き続き積極的にOPCWの活動に参加していく姿勢を表明しました。
- (3)今次会議では,ストックパイル(保有)化学兵器の廃棄期限問題に関する決定が採択されました。
- (4)執行理事会理事国(2012年5月12日から2年間の任期)の選出が行われ,アジア地域からはイラン,イラク,パキスタン及びカタールが選出されました。
- (5)対前年比約-5%となる総額7,056万ユーロの2012年予算が採択されました。
- (6)2013年4月8日~19日にCWC第3回運用検討会議を開催することが承認されました。
2 評価
- (1)今次会議では,OPCWの今後の活動方針につき議論がなされ,CWCの実効性を高めるための締約国における国内実施の強化とそのための国際協力の重要性,OPCWの将来像,加盟国の裾野を広げるための普遍化の方策等につき議論が行われました。化学兵器の廃棄が進展していることを背景に,OPCWが従来の軍縮からより不拡散を重視する方向性へと活動の重点を移してきている中,今後条約の実施をいかに進めていくかという点に関心が集まりました。
- (2)ストックパイル(保有)化学兵器の廃棄期限問題については,来年4月29日にこれら化学兵器に関する条約上の廃棄期限を迎えるに先立ち,約2年にわたり議論が継続されてきました。今回,米国及びロシア等の保有国による化学兵器の廃棄の進展と,今後も保有国が化学兵器の廃棄を継続するとのコミットメントを確認し,可能な限り早い時期に化学兵器の廃棄を完了するよう慫慂し,OPCWが中心となりその廃棄の進展を確認するための措置をとることを骨子とする決定が採択されたことは,CWCの実効性及び信頼性を高める措置として注目されます。
- (3)OPCWは過去6年連続で予算額の名目ゼロ成長を達成していましたが,今回の予算で減額が達成されたことは評価できます。
- (4)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。
3 今後の予定
2012年においては,4回の執行理事会(2月14日~17日,5月1日~4日,7月10日~13日,9月25日~28日)及び第17回締約国会議(11月26日~30日)が開催される予定です。