
生物兵器禁止条約(BWC)第7回運用検討会議準備委員会(概要と評価)
平成23年4月20日

- 4月13日~14日,生物兵器禁止条約(BWC)(注1)第7回運用検討会議準備委員会(注2)(議長:ヴァン・デン・アイセル蘭軍代大使)がジュネーブにおいて開催され,我が国を含む締約国93か国が参加し,署名国3か国(エジプト,ハイチ,ミャンマー),未署名国1か国(イスラエル)がオブザーバー参加した。
- 生物兵器禁止条約(BWC)は,生物兵器の開発・生産・保有等を包括的に禁止する唯一の多国間の法的枠組みであるが,条約遵守の検証手段に関する規定がない。検証手段導入については,生物剤や毒素への実効的な検証が極めて困難であるとの議論があり,条約遵守をいかに確保するかが課題となっている。
2006年の第6回運用検討会議において,条約の強化のために,第7回運用検討会議(2011年)までの年次会合プロセスが合意され,毎年のトピックについて意見交換を行ってきた(注3)。日本は,作業文書の提出や専門家によるプレゼンテーションの実施を通して議論の活性化に貢献してきた。
- (注1) 1975年3月発効。締約国数は163か国(2011年4月現在)。
- (注2) 運用検討会議は条約の実施状況をレビューするため,5年に1度開催することとされているもの。過去1980年,1986年,1991年,1996年,2001・2002年,2006年に開催。
- (注3) 各年のトピック
2007年;「国内実施の強化」,「BWC履行の地域的協力」,2008年;「バイオセイフティ・バイオセキュリティ向上措置」,「バイオ科学技術の悪用予防」,2009年;「疾病サーベイランス等のキャパビル促進」,2010年;「生物・毒素兵器の使用疑惑に際した支援と連携」
- 今回の準備委員会では,第7回運用検討会議の手続き事項(議題案,開催期日等)を決定した。
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(1)我が国は,生物兵器を包括的に禁止する唯一の多国間の法的枠組みであるBWCを重視しており,今回の準備委員会において,第7回運用検討会議開催の基礎となる議題案を含む手続き事項がコンセンサスで採択されたことにより,全ての締約国が多国間主義に基づきBWCを重視していることが示されたことを高く評価する。
(2)我が国からは,須田明夫軍縮代表部大使を団長とする代表団が出席し,科学者に対する生物剤のデュアルユース性についての意識向上の重要性に関する文書を日・スイス・豪・スウェーデンの共同で提出し,運用検討会議にて条約の実効力の強化につながる議論に結びつけるべく積極的に貢献した。
- 本年12月5日~22日に開催される第7回運用検討会議では,これまでの経緯を踏まえ,条約の実施強化に向けた更なる措置につき議論される予定であるところ,我が国としても,同会議の成功に向けて積極的に取り組んでいく考えである。