TICAD 9
―革新的な課題解決策の共創、アフリカと共に―
TICAD(アフリカ開発会議:Tokyo International Conference on African Development) は、1993年 に日本が立ち上げた、アフリカ開発に関する国際会議です。アフリカの「オーナーシップ」と、日本を含む国際社会との「パートナーシップ」という基本理念の下で、アフリカの開発を支援しています。

(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
1 TICAD 9 ―テーマと概要
2025年8月20日から22日にかけて、横浜でTICAD 9 (第9回アフリカ開発会議)が開催されました。TICAD 9には、アフリカから49か国(うち首脳級33人)が出席し、これに加えて、共催者(国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC))、国際機関、民間企業、国会議員、市民団体等が参加しました。
TICAD 9では、「革新的な課題解決策の共創」をテーマとして議論が行われました。

(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

(画面は議長代理を務める岸田元総理大臣)(8月21日、横浜)
2 全体会合、横浜宣言
TICAD 9では、経済、社会、平和と安定の3分野について全体会合が開かれました。特に、各分野を横断する重要事項として、民間セクター主導の持続的な成長、若者・女性、地域統合及び域内外の連結性に焦点を当て、活発な議論が行われました。
3日間の議論の成果は、首脳宣言である「TICAD 9横浜宣言」にまとめられ、最終日に採択されました。会議終了後に開かれた共同記者会見で、石破総理大臣から、今後もTICADの原点を生かしながら、TICADを絶えず良いものに発展させるため取り組んでいくことを表明しました。

(8月22日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

3 日本の取組
TICAD 9において、石破総理大臣からは、今後日本として次の七つの分野について取組を加速させることを表明しました:(1)アフリカへの投資促進、(2)民間資金動員の促進、(3)AI(人工知能)・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用と鉱物資源サプライチェーン強靱(じん)化を含む産業協力強化、(4)アフリカ域内外の連結性強化、(5)保健政策の強化、(6)若者・女性に焦点を当てた人材育成・人材交流、(7)アフリカの平和と安定に向けた取組の進展。
その中から、TICAD 9で表明した具体的な取組をいくつか紹介します。
インド洋諸国と協働し、地域間の連結性の強化と自由で公正な経済圏の構築を後押しすることにより、アフリカの域内統合や産業発展に貢献していくことを目指します。
「ナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靭化」
内陸国のザンビア、マラウイからモザンビークのナカラ港を経てインド洋とつながるナカラ回廊において、地域の輸送インフラ整備・強化及び産業振興を進める広域オファー型協力を立ち上げました。
アフリカ連合(AU)の重要施策であるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)について、日・アフリカ双方の関係機関や有識者等の間で、その実現に向けた協力や、今後の経済面での連携の可能性について議論する委員会を立ち上げます。
アフリカ各国自身が将来への投資としてガバナンス向上、投資環境整備、国内資源の投入に取り組む必要があります。このような取組を支援するために、「アフリカ保健投資促進パッケージ」を立ち上げました。
4 アフリカ各国・国際機関との会談
TICAD 9の機会に、石破総理大臣は34件、岩屋外務大臣は30件、それぞれアフリカ各国・国際機関の代表との間で会談等を行いました。また、藤井比早之外務副大臣、松本尚(ひさし)外務大臣政務官及び英利アルフィヤ外務大臣政務官も、様々なカウンターパートと面会しました。
こうしたきめ細かい外交機会の活用を通じ、アフリカ各国のニーズに沿った協力、また、国連安全保障理事会の改革を含む国際場裡(り)における協力について幅広い関係者と意見交換を行うことができました。また、面会した多くの国・機関の代表からは、日本からの支援に対する謝意が示されました。


(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
5 ビジネス促進
2013年のTICAD Vで、「援助から民間投資へ」という考えが打ち出されて以降、日本企業のアフリカへの関心はますます増してきています。今回のTICAD 9ではTICAD 8の3倍超となる324件のビジネス関連の協力文書が結ばれました。また、テーマ別イベントとして独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が主催したTICAD Business Expo & Conference には過去最多の194企業・団体が出展し、日・アフリカ双方の企業関係者等約1万人が参加しました。

(8月21日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)

6 若者の活躍
2050年には、世界の若者人口の3分の1以上をアフリカ諸国が占めることになると予想されています*2。こうした時代背景を踏まえ、TICAD 9では、特に「若者」に着目し、若者の人材育成・人材交流の取組を促進していくことを表明しました。
日本とアフリカ双方の若者の声を取り入れる観点から、TICAD 9期間中には若者によるイベントが多数開催されました。若者版TICADとして日本とアフリカの若者延べ約400人が参加したYouth Forum では、ユース提言“Youth Agenda 2055:The Future We Want”を発表し、アフリカと日本の未来を描き出しました。
さらに、模擬国連に倣った模擬アフリカ連合会議も実施され、日本とアフリカの学生・若者がチームを組み、AU加盟国代表を模して経済、政治、科学・技術をテーマに意見を述べ合い、三つの総会決議を採択しました。


*1 オファー型協力:外交政策上、戦略的に取り組むべき分野において、政府開発援助(ODA)とその他公的資金(OOF)や民間資金も含む形で、日本の強みをいかした魅力的な協力メニューを開発途上国に積極的に提案するもの
*2 出典:International Labour Organization (ILO), Global Employment Trends for Youth 2024, p.56
