3 東部アフリカ地域
(1)ウガンダ
ウガンダは、ムセベニ大統領による長期政権の下、安定した内政を背景に経済成長を維持している。周辺国からアフリカ最大となる200万人に迫る難民を受入れ、AUソマリア支援安定化ミッション(AUSSOM)への派兵国の中で最大兵力を提供するなど、「アフリカの角」(7)地域の安定に向けて貢献している。
5月には、英利アルフィヤ外務大臣政務官がウガンダを訪問し、ムセベニ大統領及びナバンジャ首相への表敬、及びオケロ国際問題担当国務相との会談を行った。8月のTICAD 9では、アルポ副大統領が石破総理大臣を表敬し、10月の大阪・関西万博のウガンダ・ナショナルデー出席のため訪日したナバンジャ首相が林芳正官房長官と会談を行った。これらの会談を通じて、両国は、良好な二国間関係の一層の発展及び国際場裡(り)での協力を確認した。
(2)エチオピア
エチオピアは、アフリカ第2位の人口(1.3億人)を背景に、高い経済的潜在力を有するとともに、為替自由化や財政改革などのマクロ経済改革を実施している。また、同国北部の紛争終結から3年が経過し、首都アディスアベバでは街路の整備が進んでいる。アムハラ州などでは引き続き戦闘が散発するなど、国内の安定化が今なお課題である。2月のメスガヌ外務副相と英利外務大臣政務官との会談(日・エチオピア政策協議)や8月のTICAD 9出席のため訪日したハデラ外務副相と藤井比早之外務副大臣との会談などを通じ、両国は、多岐にわたる分野で二国間関係を更に発展させることで一致した。
(3)エリトリア
エリトリアは、インド洋とスエズ運河・欧州を結ぶ国際航路に位置し、同国領海は多数の日本関係船舶が航行する安全保障上の要衝である。アフリカの角地域の平和と安定に同国が果たす役割の重要性を踏まえ、1月に在エリトリア兼勤駐在官事務所を大使館へ格上げした。
(4)ケニア
ケニアは、「法の支配」を始め、価値や原則を共有する重要な同志国であるとともに、東アフリカの経済的ハブであり、アフリカ有数の日系企業拠点の一つとなっている。
1月には、藤井外務副大臣を団長とするアフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションがケニアを訪問し、両国の政府関係者及び企業の代表者との間で、二国間の経済交流の促進に向けた幅広い議論が交わされた。6月には、大阪・関西万博のケニア・ナショナルデー行事への参加のため、キニャンジュイ投資・貿易・産業長官が訪日した。8月には、TICAD 9への参加のため、ルト大統領が訪日し、石破総理大臣との首脳会談において、両国は、二国間関係及び国際場裡での協力を一層強化していくことで一致するとともに、アフリカ情勢や国連安全保障理事会(国連安保理)改革といった地域情勢及び国際場裡の諸課題に連携して対応していくことを確認した。

(8月20日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
(5)コモロ
コモロは、日本と同じ海洋国として「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を支持しているパートナーである。アザリ大統領の下、2030年までに新興国入りを目標とする「コモロ新興計画2030」を掲げ、湾港などのインフラ整備、持続可能な漁業などのブルーエコノミー(8)を推進している。
8月には、大阪・関西万博のコモロ・ナショナルデー出席のため、ムストイファ経済産業投資相・経済統合担当が訪日したほか、TICAD 9では、石破総理大臣とアザリ大統領との間で首脳会談を実施した。

(8月21日、横浜 写真提供:首相官邸ホームページ)
(6)ジブチ
ジブチは、欧州とアジアを結ぶ主要な交易路に面する戦略的要衝に位置し、FOIP実現のための重要なパートナーである。2009年から、日本の自衛隊がアデン湾・ソマリア沖で海賊対処行動に従事しており、2011年にジブチに設置された自衛隊拠点は在外邦人などの保護及び輸送にも活用されている。
5月には、英利外務大臣政務官がジブチを訪問し、アブドゥルカデル首相などと会談を行った。6月には、ディレイタ国民議会議長が訪日し、岩屋外務大臣と会談を実施した。加えて、8月のTICAD 9では、岩屋外務大臣とオマール外務・国際協力相との間で外相会談を実施した。これらの会談を通じて、両国は、良好な二国間関係をより一層発展させていくことで一致した。また、10月には、大阪・関西万博のジブチ・ナショナルデー行事への参加のため、モハメド商業・観光相が訪日した。
(7)スーダン
スーダンでは、2023年4月以降、同国の国軍と即応支援部隊との武力衝突が継続しており、深刻な人道危機が発生している。日本は、スーダン及び周辺国の人道状況改善に向けた人道支援を実施している。9月には、ヤクーブ産業・貿易相が、大阪・関西万博のスーダン・ナショナルデー行事への参加のために訪日し、復興段階での日本企業のスーダンへの投資を呼びかけた。
(8)セーシェル
セーシェルは、インド洋有数の経済水域を有する、FOIP実現のための重要なパートナーである。また、2026年には日・セーシェル外交関係樹立50周年の節目を迎える。
3月には、前年に続き、日本の海上自衛隊掃海艇がセーシェルに寄港し、両国間で親善訓練が実施された。8月のTICAD 9にはラデゴン外務・観光相が参加し、岩屋外務大臣との間で会談が行われた。また、9月には、大阪・関西万博のセーシェル・ナショナルデーの機会にフェラーリ首席大臣兼漁業・ブルーエコノミー相が訪日した。10月には大統領選挙と国民議会選挙が行われた結果、エルミニ大統領が就任した。
(9)ソマリア
ソマリアでは、2022年5月に就任したハッサン大統領の下、平和構築や国造りの努力が続けられており、日本はソマリア政府の取組を後押ししている。
6月、訪日したハムザ外務・国際協力省次官が藤井外務副大臣を表敬し、日本は、2025年から2026年にかけ安保理非常任理事国を務めるソマリアと、安保理を含め国連の場でも緊密に連携することで一致した。8月のTICAD 9では、岩屋外務大臣とシェイク・ファラー計画・投資・経済開発相が会談し、両国は、地域情勢及び国際場裡の諸課題に連携して対応していくことを確認した。また、10月には、大阪・関西万博のソマリア・ナショナルデー行事への参加のため、ムルサル外務国際協力副相が訪日した。
(10)タンザニア
タンザニアは、アフリカの東部と南部を結ぶ要衝に位置し、経済成長を続けている。5月には、大阪・関西万博のタンザニア・ナショナルデーに際し、マジャリワ首相が訪日し、石破総理大臣と首脳会談を行った。会談を通じて二国間協力について議論するとともに、国際場裡においても緊密に連携していくことを確認した。8月のTICAD 9では、岩屋外務大臣とコンボ外務・東アフリカ協力相による外相会談が行われた。10月末には大統領選挙が行われ、サミア大統領が再選された。大統領選挙等に際し、ダルエスサラームを含むタンザニア国内各地で死傷者を伴う混乱が発生した。
(11)ブルンジ
ブルンジは、アフリカ大陸中央部に位置する内陸国であり、日本は1970年代以降、母子保健や農業分野での基礎的社会サービス向上などの開発協力を継続的に行っている。6月には、大阪・関西万博のブルンジ・ナショナルデー出席のため、ニジンベレ商業・交通・産業・観光相が訪日した。8月のTICAD 9では、石破総理大臣とンダイシミエ大統領が首脳会談を行い、両国は、良好な二国間関係の更なる発展に向けて引き続き協力していくことを確認した。
(12)マダガスカル
マダガスカルは、アフリカ東南部沖のインド洋に位置する島国でFOIPを支持しており、鉱物資源供給元としても重要な国である。8月のTICAD 9では、石破総理大臣とンツァイ首相が首脳会談を行い、FOIPの実現に向けて共に取り組んでいくことで一致した。9月末には、停電及び断水に対する抗議活動が拡大した結果、ラジョリナ大統領が国外退避し、10月にランジアニリナ大佐が再建大統領に就任した。
(13)南スーダン
南スーダンでは、2013年12月の衝突以降混乱が続いたが、2018年9月には「再活性化された衝突解決合意」が署名された。2025年3月以降、当事者間の対立が激しくなり、マシャール第一副大統領が自宅で軟禁された。日本は、これまで独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じた開発協力や国連平和維持活動(PKO)への支援を通じて、同国の平和と安定を継続的に支援しており、岩屋外務大臣は、8月のTICAD 9出席のため訪日したセマヤ外相との外相会談において、南スーダンの選挙について、公正で透明性のある選挙が実施されることへの期待を述べた。
(14)モーリシャス
モーリシャスは、価値と原則を共有するFOIP実現のためにも重要な国である。5月には、英国との間でディエゴ・ガルシアを含むチャゴス諸島に関する英国・モーリシャス協定に署名した。チャゴス諸島全体についてモーリシャスの主権が認められ、両国で批准に向けた手続が行われている(2025年末時点)。7月には、大阪・関西万博のモーリシャス・ナショナルデーの機会にラムフル外務・地域統合・国際貿易相が訪日し、岩屋外務大臣と会談した。8月のTICAD 9にはラングーラム首相が参加し、石破総理大臣と会談を行ったほか、同月、駐日モーリシャス大使館が開設された。
(15)ルワンダ
ルワンダではカガメ大統領の下、2035年までに上位中所得国入りを目指す努力が続けられている。6月、大湖地域の持続的な安定に向けて、米国、カタール、AUによる仲介努力により、コンゴ民主共和国との間で和平合意に署名した。7月には、大阪・関西万博のルワンダ・ナショナルデーに出席のため、セバヒジ貿易産業相が訪日し、また8月には、TICAD 9出席のため訪日したンドゥフンギレヘ外務・国際協力相と岩屋外務大臣との間で外相会談が行われた。
(7) 「アフリカの角(Horn of Africa)」とは、アフリカ大陸の北東部のインド洋と紅海に向かって「角」のように突き出た地域の呼称で、エチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリア、ケニアの各国が含まれる地域のこと
(8) 海洋資源などの活用により、持続可能な経済成長を推進するコンセプト
