2 地域機構
中南米地域にはラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)(4)、米州機構(OAS)(5)、アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)(6)のほか、以下のような地域枠組みが存在し、様々な課題について政策調整を行っている。
(1)南米南部共同市場(メルコスール:MERCOSUR)(7)
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアが加盟(ベネズエラは資格停止中)しており、一部の品目を除き、域内関税が原則として撤廃されている。自由貿易協定(FTA)(8)については、韓国、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)などと交渉中であるが、2026年1月には欧州連合(EU)とのFTAに署名した。
日本との関係では、3月、石破総理大臣とルーラ・ブラジル大統領との首脳会談で、「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」を早期に立ち上げ、その下で、貿易関係の深化に向けて協議を進めることを確認し、12月、メルコスール首脳会合において同枠組みの立ち上げが発表され、2026年1月に枠組みの下での第1回会合が開催された。
(2)カリブ共同体(カリコム:CARICOM)(9)
カリコムは、カリブ地域の14か国・1地域による経済統合や外交政策の調整などを目的に設立され、国際場裡(り)で協調行動をとることで存在感を示している。カリコム諸国は比較的所得水準が高い国が多い一方、毎年のようにハリケーンによる甚大な被害を受けるなど、自然災害の脅威にさらされているほか、人口・経済規模の小ささから生じる小島嶼(しょ)国特有の脆(ぜい)弱性を抱えている。
日本は、対カリコム協力の3本柱(10)に基づく外交を展開しており、所得水準の高い国に対しても各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行っている。
(3)中米統合機構(SICA)(11)
SICAは、1992年に地域の経済社会統合を図り、平和・自由・民主主義・開発を達成させることを目的として設立された。エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、ベリーズ、ホンジュラスの8か国が加盟している(日本は2010年からSICAの域外オブザーバー国)。また、日本は、1995年からSICA加盟国との間で政策協議(日本・中米「対話と協力」フォーラム)を実施しており、2025年5月に第19回目のフォーラムをコスタリカで実施した。
2025年、日本は中米5か国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ)と外交関係樹立90周年を迎えた。また、これを契機にSICA加盟国のパナマ、ドミニカ共和国、ベリーズを加えた8か国との間で「2025年日・中米交流年」を立ち上げ、中米地域と様々な分野での交流を深めた(118ページ、コラム参照)。
(4)太平洋同盟
太平洋同盟は、域内のモノ・サービスなどの移動の自由やアジア太平洋への進出基盤の構築などを目的とし、チリ、コロンビア、メキシコ及びペルーから構成され、シンガポールが準加盟国となっている。日本は、オブザーバー国であり、価値や原則を共有するグループとして連携を重視している。12月には、「Juntos!!中南米対日理解促進交流プログラム」で、太平洋同盟加盟国の行政官が日本に招へいされ、堀井巌(いわお)外務副大臣への表敬等を実施した。
(4) CELAC:Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribeños (Community of Latin American and Caribbean States)
(5) OAS:Organization of American States
(6) FEALAC:Forum for East Asia-Latin America Cooperation
(7) MERCOSUR:Mercado Común del Sur (Common Market of the South)
(8) FTA:Free Trade Agreement
(9) CARICOM:Caribbean Community(加盟国・地域:アンティグア・バーブーダ、ガイアナ、グレナダ、ジャマイカ、スリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、セントルシア、ドミニカ国、トリニダード・トバゴ、ハイチ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、モンセラット(英国領))
(10) 対カリコム政策の3本柱:「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力」、「交流と友好の絆(きずな)の拡大と深化」、「国際場裡における協力」
(11) SICA:Sistema de la Integración Centroamericana(Central American Integration System)
