平成17年9月
2004年5月、エイブラハム米エネルギー長官が米国や旧ソ連より各国に対して研究炉用の燃料として提供された高濃縮ウランがテロリストの手に渡ることを防ぐため、米露起源の高濃縮ウラン燃料等の米露への返還を中心に、国際社会の脅威となり得る核物質及び放射性物質を削減するための包括的な構想として、地球的規模脅威削減イニシアティブ(GTRI)を提唱。
2004年9月18日~19日に米露両政府共催によりウィーンで開催されたパートナー会合において、米国より、本件イニシアティブの目的として以下が挙げられた。
(1)全ての露起源未使用高濃縮ウランの来年までの返還、及び全ての露起源使用済み燃料の2010年までの返還。
(2)全ての米起源の研究炉使用済燃料の10年以内の返還作業の加速化(12月に米エネルギー省は、返還期限を2009年から2019年に延長する旨発表。)。
(3)全ての国における民生用研究炉用燃料の高濃縮型から低濃縮型への転換。
(4)既存の脅威削減対象に含まれない核・放射性物質及び関連機材の特定。
2005年の国連ハイレベル委員会報告書においては、高濃縮ウランの備蓄の減少、高濃縮ウラン用民生用研究炉の「拡散に対する耐性を有する」炉への転換、高濃縮ウランの「濃縮度低減」に向けたGTRIのための実施期限を、現在提言されている10年から5年へと短縮すべき旨提言。