平成18年5月22日
(1)5月17日(水曜日)から19日(金曜日)にかけて、バンコク(国連ESCAP会議場)において、国連軍縮局(アジア太平洋平和軍縮地域センター)、我が国、タイ、カナダ及びUNDPの共催にて、南アジア及び東南アジア地域を対象とした小型武器ワークショップが開催された。同ワークショップには、当該地域より15カ国、域外から中国、韓国及び英国(共催国を除く)等が出席するとともに、INTERPOL等の国際機関や現場で小型武器プロジェクトに携わるNGOや研究機関等も参加して、当該地域の小型武器に関係する諸問題について活発な議論を行った。我が国からは、軍縮代表部南書記官及びカンボジアでの小型武器回収プロジェクトを実施する日本小型武器対策支援チーム(JSAC)木田プロジェクト・マネージャーが出席した。
(2)具体的には、オープニングセッションに続いて、先ず国連軍縮局より01年国連小型武器行動計画(POA)について説明するとともに、国際社会の取組の現状・課題等について述べ、その後出席国が自国の取り組みについて、問題点やベストプラクティス、教訓等についてプレゼンテーションを行った。さらに他の参加者よりは、小型武器に関連する個別の問題について、取組の一層の強化、情報共有の推進と対策の調整の必要性等が述べられた。
(3)我が国は、小型武器問題に関し国際的な規制の枠組作りと現場におけるプロジェクトを並行して推進していくとのTwo-pillar approachの重要性を指摘するとともに、我が国がこのアプローチに基づいて講じてきた各種取組、本年6月に予定されている国連小型武器行動計画履行検討会議に向けた我が国のイニシアティブを紹介しつつ、各国によるPOAの着実な履行の必要性、履行検討会議の成功に向けた各国の努力の重要性を訴えた。
(4)履行検討会議の議長予定者たるスリランカ国連代表部カリヤワサム大使が出席し、現在の履行検討会議の準備状況等について説明があり、さらに地域グループ毎(南アジア及び東南アジア)に行ったワーキンググループの成果文書(報告書)を採択して終了した。
(1)また、我が国は、国連小型武器基金を通じて本ワークショップへの資金協力を行うと共に、我が国支援によってカンボジアにおいて実施されている小型武器回収プロジェクトの邦人担当者がプレゼンテーションを行うなど、我が国の小型武器問題の取組への積極的な姿勢を参加者に印象づけた。本ワークショップは、我が国が資金協力を行い、POA実施促進のため国連軍縮局等と共催してきたASEAN、中央アジア諸国を対象とした、インドネシア小型武器セミナー(2003年、於:バリ)、カザフスタン小型武器セミナー(2004年、於:アルマティ)、北京小型武器セミナー(2005年、於:北京)に続いて開催されたもの。
(2)全体会合に続き、地域グループに分かれて開催したワーキンググループにおいて、各地域グループが小型武器問題への対応に向けての強い意志を新たにするとともに、今後特に力を入れるべき個別分野への取組の重要性を強調する成果文書が採択され、POAの地域的履行の更なる促進にモメンタムを与えた。
また、本ワークショップにおける議論及び成果文書は、来る国連小型武器行動計画履行検討会議への有益なインプットになることが期待される。
(3)特に、各国、各地域における政治・経済・社会・文化その他の様々な要素が入り組んだ極めて複雑かつ多面的な問題である小型武器問題への効果的な対応のためには、それぞれの取り組みにおけるベストプラクティスや教訓、問題点等についての情報共有を図り、将来の取り組みに生かしていくことが重要であり、今次ワークショップは、地域のベストプラクティス等の情報共有に資するものとなった。