平成24年3月23日
概要
(1)3月19日(月曜日)から23日(金曜日)まで, ニューヨークの国連本部において国連小型武器行動計画第2回履行検討会議準備委員会が開催された。103か国の政府関係者,9の国際機関・地域機関(INTERPOL, EU, ECOWAS等)の関係者およびNGO関係者が参集し,オグウ議長(ナイジェリア国連常駐代表)の下,活発な議論が行われた。我が方は,兒玉国連次席大使を長とする代表団が参加し,副議長を務め会議の成功に貢献した。
(2)本委員会は, 8月27日から9月7日までの間に開催予定の第2回履行検討会議の手続事項に加え, 同履行検討会議で成果文書が得られることを目指すため, 実質事項についても,国連小型武器行動計画(POA)や国際トレーシング文書(ITI)の履行状況,国際協力, 第2回履行検討会議後のフォローアップ・メカニズム等について議論した。
(3)日本からは,兒玉大使より,我が国のPOA履行状況, 国際協力のあり方や次の6年サイクルのフォローアップ・メカニズムについての考え方を述べるとともに, POAの地域レベルでの実施に関して, 日本が位置するアジアでの取り組みを評価すると共に,2013年はTICAD Vが開催予定であることを踏まえて, 平和構築という観点から,アフリカにおいても引き続き小型武器の分野で支援を行っていく考えである旨表明した。また, 我が方から, 今後の行動計画の実施方法についての具体的な提案を示したフォローアップ・メカニズムにかかるワーキング・ペーパーを議論のたたき台として提出した。会合中,多くの参加国が日本の提案を前向きな貢献であるとして歓迎, 評価し,同ペーパーを基礎として具体的な議論も行われた。
(4)本委員会の成果文書として,履行検討会議の手続事項(議題案,議事手続き規則, 議長の選出等)を含む準備委員会の報告書が全会一致で採択された。また, 実質事項についても, 履行検討会議の成果文書の要素となる議長ペーパーが作成された。
評価
(1)次回履行検討会議の手続き事項のみならず, 実質事項についても活発な議論が行われ,同履行検討会議に向けて良いスタートが切れたといえる。各国はオグウ議長のバランスのとれた采配を支持し, 履行検討会議における同議長の果たす役割に対し, 高い期待感が示されたことは,会議の成功に向けての前向きな要素として評価できる。
(2)我が国は, 副議長国として, オグウ議長を支援し,円滑な議事運営に貢献した。また,我が国が提出したワーキング・ペーパーは多数の国に高く評価され, 会議中の議論では,我が国が示した様々なアイデアや選択肢に対する支持や関心が表明されるなど,日本のペーパーは次の6年サイクルのフォローアップ・メカニズムの策定に関する議論に貢献した。
【参考】国連小型武器行動計画
2001年に開催された国連小型武器会議において,「あらゆる側面における小型武器の非合法取引の防止, 除去および撲滅を目的とする国連小型武器行動計画(Programme of Action(POA)) 」が採択された。POAは政治文書で法的拘束力はない。各国が小型武器の非合法取引を規制するためにとるべき様々な措置(輸出入の許可制、刻印,ブローカ-取引の規制, 国際協力等)を定める。