軍縮・不拡散

対人地雷禁止条約(オタワ条約)署名10周年記念シンポジウム
(概要と評価)

平成19年12月6日

1.概要

(1)12月1日、外務省及び特定非営利活動法人「難民を助ける会」の主催で、対人地雷禁止条約(オタワ条約)署名10周年記念シンポジウムが開催された。本シンポジウムは、オタワ条約署名10周年を機に、我が国のオタワ条約締結以降の地雷対策への取組を紹介する機会となるとともに、産官学及びNGOの関係者がこれまで地雷対策に関わったそれぞれの立場から過去の取り組みを概観し、今後の更なる取組の可能性を議論することを目的として、活発な意見交換を行う機会となった。

(2)冒頭、宇野治外務大臣政務官、相馬雪香「難民を助ける会」会長及び小坂憲次衆議院議員(対人地雷全面禁止推進議員連盟会長)が挨拶を行い、いまだ世界で多くの悲劇を生んでいる地雷問題の克服に向けた取組の重要性について、一層の理解を聴衆に訴えた。

(3)午前のセッションでは、地雷撤廃をテーマに本年までに8回にわたるチャリティマラソン大会を開催するなど地雷問題に深く従事してきたマラソン・ランナーの谷川真理氏による特別ゲストスピーチが行われた。また、外務省を代表し中根猛軍縮不拡散・科学部長が、日本のNGOから北川泰弘「地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)」代表及び堀江良彰「難民を助ける会」事務局長がオタワ条約署名以降の活動報告を行った。海外から国連PKO局地雷対策サービス部(UNMAS)のノエル・ムリナー氏、地雷被害の甚大なカンボジアの国家除去機関であるカンボジア地雷対策センター(CMAC)のヘン・ラタナ氏、及び地雷除去活動を行う国際NGO ヘイロー・トラストのキャメロン・インバー氏が各機関を代表して対人地雷対策活動に関し報告を行った。

(4)午後の分科会においては、「地雷除去及び技術開発」、「地雷回避教育及び被害者支援活動」、「国内の啓発活動」の3分野のそれぞれについて分科会を開催し、政府関係者、NGO、行政機関、教育機関乃至個人として地雷問題に関わってきた関係者が、過去10年間の取組につき報告し、引き続き、参加者と意見交換を行った。分科会に引き続いて行われたパネルディスカッションにおいては、山口那津男参議院議員(公明党外交・安保部会地雷除去支援小委員会委員長)の冒頭挨拶に続き、各分科会での報告をもとに、地雷による被害者支援活動分野への資金投入を困難にしてきた要因と各機関の役割等について討議を行った。これらの討議を通じて、地雷除去活動と地雷被害者支援活動の連携や、産官学民等異なる当事者が、それぞれ協調して地雷対策にあたる重要性を確認した。

2.評価

(1)本シンポジウムは、外務省とNGOとが共催して地雷問題に関して行われた初のシンポジウムであり、NGOや学生、マスコミ関係者、関係省庁等80名を超える参加者を得た。

(2)我が国は、1997年12月に「犠牲者ゼロ・プログラム」(注)を提唱する等、対人地雷禁止の実現と現場における地雷除去・犠牲者支援等の地雷対策支援の強化を推進しており、シンポジウムにおいては1998年から2007年3月までの支援実績(総額280億円)に関し、支援事業の具体例及び事業の効果につき報告し、参加者の理解を深めることができた。

(注)1997年12月3日、対人地雷禁止条約(オタワ条約)の署名式において小渕外務大臣(当時)より提唱したもの。我が国は、同プログラムにおいて、地雷除去や犠牲者支援に対する協力のために、1998年からの5年間の間に100億円規模の支援を行うことを表明し、2002年10月にこの支援額を達成。

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