軍縮・不拡散

オタワ条約第9回締約国会議
(概要と評価)

平成20年12月

 対人地雷禁止条約(オタワ条約)第9回締約国会議が、11月24~28日、ジュネーブにおいて開催されたところ、概要と評価は以下のとおり。

1.概要

(1)参加国等

 103か国(11月24日現在の全締約国は156か国)及び14の国際機関のほか、ICBL(地雷廃絶国際キャンペーン)等のNGOも10団体参加した。また、非締約国のうち、中国、エジプト、印、パキスタン等22か国がオブザーバー参加した。

(2)主要な議題

(イ)条約の実施状況の確認:「ナイロビ行動計画」及び「死海進捗報告」に基づき、過去一年における条約の実施状況の進捗、及び来年の締約国会議に向けて取り組むべき優先課題の特定。

(ロ)第5条(埋設地雷の10年以内の廃棄)に基づく要請の検討:オタワ条約発効以来初の第5条に基づく延長要請が、2009年に廃棄完了期限を迎える国のうち15か国から提出されたところ、要請国からの関連報告、及び要請の可否にかかる決定。

(参考)

1.「ナイロビ行動計画」

 2004年のオタワ条約第1回検討会議において採択された文書。2009年(次回検討会議の開催予定年)に向けて、条約の普遍化、貯蔵地雷廃棄、埋設地雷除去、犠牲者支援等の各分野について、締約国が取るべき行動の指針を示す。

2.「死海進捗報告」

 昨年の第8回締約国会議における議論の結果発表された文書。「ナイロビ行動計画」の進捗状況及び本年の第9回締約国会議までの1年間の優先課題を取り纏めた。

(3)成果文書等

 締約国会議における議論の結果、「ナイロビ行動計画」採択後4年目の実施状況及び「死海進捗報告」発表後1年間の取組を概観し、今後1年間の優先課題を取り纏めた「ジュネーブ進捗報告書2007-2008」が発表された。

(4)我が国の対応

(イ)本件会議で集中的に議論された第5条の実施に関し、我が国の地雷除去分野での支援は第5条の履行促進も目的とし、昨年度は14か国に対し5100万ドルを拠出した旨、カンボジアにおける日本製地雷除去機の実地試験を経て試験参加全機種に対して認証獲得の予定であること、及びICRCを通じた犠牲者支援分野での支援等について報告を行った。

(ロ)第5条に基づく要請の検討において、延長要請分析検討委員会のメンバー国として、本件会議に向け各国要請書に関する分析報告書の作成への貢献、及び本件検討に必要な情報の不足している要請国への情報提供の働きかけを行った。また、本件会議で延長要請書が採択された後、我が国の基本的見解として、要請国が延長期間には今次会議での決定を遵守し、地雷除去計画を迅速にかつ誠実に実行し、かつ関連会合での進捗報告を期待する旨発言した。

2.評価

(1)第5条の延長要請書採択

15か国による延長要請に関し、各国の過去の廃棄努力及び今後の廃棄計画等にかかる報告を受け、また、不足している情報が指摘された国については今後の追加的な報告を合意した上で、全要請書がコンセンサスで採択された。

(2)貯蔵地雷廃棄常設委員会共同議長提案

延長規定のない第4条(4年以内の貯蔵地雷の廃棄)の義務不履行の事例に対し最新の注意を促すため、また、今後の発生を未然に防ぐための具体的方策に関するリトアニア及びセルビア(貯蔵地雷廃棄常設委員会共同議長)による提案書が採択された。

(3)我が国の新地雷政策に基づく具体的行動のアピール

 2004年の検討会議において表明した我が国の新地雷政策の実施状況として、同政策の各原則にもとづく我が国の支援実績として、被害者が世界でもっとも多いコロンビアにおける犠牲者の社会復帰支援例やニカラグアにおける日本製地雷除去機材が同国の地雷除去活動に貢献している事例につき紹介した。また、昨年度はオタワ条約成立(1998年)以降の支援実績額で最高額の約6,000万ドルを達成したことを報告した。これらにより、我が国の対人地雷問題にかかる継続的な取組及び具体的な行動についてアピールすることができた。

(4)我が国の条約の一般状況常設委員共同議長就任

 チリとともに条約の普遍化を中心に討議する条約の一般状況常設委員会・共同議長に就任した。

3.2009年の会合日程

 5月25日~29日午前:常設委員会(於:ジュネーブ)
 5月29日午後:検討会議第1回準備会合(於:ジュネーブ)
 9月3日~4日:検討会議第2回準備会合(於:ジュネーブ)
 11月30日~12月4日:第2回検討会議(於:カルタヘナ、コロンビア)

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