2006年9月20日
8月28日~9月6日、ジュネーヴにおいて、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の第15回政府専門家会合が開催された。我が国は美根軍縮代表部大使が代表団長を務め、外務省及び防衛庁から担当者が参加した。なお、今次会合は本年最後の政府専門家会合であり、11月には第3回運用検討会議が開催される予定。
現在、CCWの枠組みでは、「対戦車地雷(MOTAPM)」、「爆発性戦争残存物(ERW)」、「遵守メカニズム(Compliance)」の大きく3つの議題について検討が行われている。
(1)対戦車地雷
(イ)対戦車地雷の規制に関しては、調整役(ブラジル)の下、2005年11月の締約国会議で採択された本年のマンデートに基づいた議論が行われた。我が国は他国と共に、「探知可能性(detectability)」及び「作動期間(active life)」の規制を含む前調整役ペーパーを支持したものの、一部の国は国防上の理由と技術的・経済的理由からそのような規制に引き続き困難を訴えた。
(ロ)調整役は、「探知可能性」と「作動期間」の問題も含め、合意が得られていない論点を解決するために種々の協議を行ったものの、結局、議論に大きな進展は見られなかった。なお、合意が得られていないその他の論点としては、「対戦車地雷の定義」、「移譲」、「信管の設計」等が挙げられる。
(ハ)11月に開催予定の第3回運用検討会議においては、今次会合の議論の結果を踏まえ、「探知可能性」と「作動期間」の問題を中心に、引き続き議論が行われる予定。
【参考】 対戦車地雷作業部会の2006年のマンデート
2005年11月の締約国会議で採択された2006年のマンデートは以下のとおり。本年の政府専門家会合では、このマンデートに従って議論が行われている。
(2)爆発性戦争残存物(ERW)
(イ)ERWの問題に関しては、調整役(リトアニア)の下、昨年11月の締約国会議で採択された作業マンデートに従い、「既存の国際人道法の原則の履行」と「子弾を含む特定の弾薬の設計改良を目指した予防措置」について引き続き議論が行われた。
(ロ)子弾を含む弾薬の使用の際に適用される国際人道法に関し、前回会合に引き続き、マコーマック報告書について議論が行われた(マコーマック報告書は、既存の国際人道法の諸原則は、効果的に履行されるならば、ERWに関する問題に対応する上で十分具体的かつ包括的であると結論づけた上で、政府専門家会合として検討すべき措置を示している。)。第3回運用検討会議においても、議論が継続される予定。
(ハ)弾薬の予防措置に関しては、弾薬がERW化する相対的リスクの評価や、弾薬のERW化を防ぐ技術的措置(弾薬の設計、生産、貯蔵等に関する措置)について、軍事専門家による議論が行われた。
【参考】 ERW作業部会に関する2006年のマンデート
2005年11月の締約国会議で採択された2006年のマンデートは以下のとおり。本年の政府専門家会合では、このマンデートに従って議論が行われている。
(3) 遵守メカニズム(Compliance)
CCWの枠組みにおいては一部の付属議定書(改正第2議定書及び第5議定書)を除いて遵守メカニズムが存在しておらず、条約全体を対象とした遵守メカニズムの導入の必要性が認識されている。今次会合においては、これまでの諸提案を踏まえ、遵守メカニズムの内容及び導入の方法について最終的な議論が行われた。第3回運用検討会議では、今次会合の議論の結果を踏まえ、条約全体を対象とした遵守メカニズムが採択される見込み。
(4)その他(スポンサーシップ・プログラム)
CCWの実施強化や普遍化の促進を目的として、地雷・ERW被害国の会合参加等を支援するためのプログラムについて議論され、第3回運用検討会議において正式に立ち上げられる予定。
【参考】
今次会合に参加した国及び国際機関等の数は以下のとおり。
今次関連会合 | 締約国 及び署名国 |
オブザーバー 参加国 |
国際機関 | NGO |
---|---|---|---|---|
第15回政府専門家会合 | 71 | 11 | 4 | 14 |
本年度は、以下の会合がジュネーヴで開催される予定。