2005年12月7日
11月14日~25日、ジュネーヴにおいて、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の第12回政府専門家会合及び第7回改正議定書II年次会合並びに締約国会議が開催された。我が国は美根軍縮代表部大使が代表団長を務め、外務省及び防衛庁から担当者が参加した。
(1)対戦車地雷
(イ)対戦車地雷の規制に関しては、前回会合に引き続き、2004年11月の締約国会合で採択された本年度のマンデートにしたがった議論が行われた。具体的には、前回8月の政府専門家会合の結果を踏まえ改訂された調整役ペーパー(調整役:フィンランド)が配布され、同ペーパーの内容に沿って「一般的考慮」、「定義」、「対戦車地雷の探知可能性」、「対戦車地雷の作動期間」、「対戦車地雷の無責任な使用を制限する実践的行動」、「対戦車地雷の信管の設計及びセンサー」、「文民の保護、警告及び地雷回避教育」、「移譲」、「透明性と他の信頼醸成措置」、「協力及び援助」の10項目を中心に検討が行われた。また、別途2セッション行われた軍事専門家会合においても、同項目について軍事的視点から検討が行われた。なお、今次会合の検討おいては、調整役ペーパーを議定書案としてまとめることが念頭に置かれ、CCW改正議定書IIとの整合性も重要な検討要素であった。
(ロ)「対戦車地雷の探知可能性」及び「対戦車地雷の作動期間」以外の分野においては、今次会合を含むこれまでの議論の結果ほぼコンセンサスが形成されており、今次会合においては、上記(イ)の各項目における各規制案が、議定書として成立することを前提として、相互に整合性を保っているかの確認にも議論が及んだ。
(ハ)「対戦車地雷の探知可能性」及び「対戦車地雷の作動期間」の技術的措置の分野については、これまでも一部の国は、国防上の理由と技術的・経済的理由から困難を訴えていた。歩み寄りのための対案を提示するなど交渉を前進させる努力も行われたが、最終的な合意には至らず、来年の政府専門家会合でも議論が継続されることとなった。
【参考1】 対戦車地雷作業部会における2005年のマンデート
2004年11月の締約国会議では、2005年のマンデートとして以下の点が採択され、本年の政府専門家会合において議論が行われた。
(2) その他のイシュー
(イ)「爆発性戦争残存物(ERW)」に関して、今次会合においては、前回会合と同様に本年の作業マンデートに従って、「既存の国際人道法の原則の履行」と「子弾を含む特定の弾薬の設計改良を目指した予防措置」についての議論が行われた。なお、現在の「国際人道法の原則の履行の検討」の議論においては、ERW化防止のためにクラスター弾の使用時に適用されるべき既存の国際人道法の原則は何か、同観点から各国でとられている措置は何か等について検討が進められている。
(ロ)「遵守メカニズム(Compliance)」に関して、CCWの枠組みにおいては一部の附属議定書を除いて遵守メカニズムが存在しておらず、条約全体に適用される遵守メカニズムの導入が必要であることは各締約国の共通の認識。現在、具体的なメカニズムはどうあるべきかについて検討が継続されているが、今次会合においては、これまでに行われた各提案をまとめる努力が行われた。
【参考2】 ERW作業部会における2005年のマンデート
2004年11月の締約国会議では、2005年のマンデートとして以下の点が採択され、本年の政府専門家会合において議論が行われた。
本会合開催前までに60カ国より改正議定書II第13条に基づく年次報告が提出された。本会合においては、各国の改正議定書IIの遵守状況及び各国の地雷対策支援に関する意見交換が行われた。また、多くの国より、本改正議定書IIの普遍化の重要性が訴えられた。我が国も、本改正議定書IIも対人地雷の人道的問題を解決していく上で重要であり、未加入の国々は改正議定書IIの意義を認識し、本改正議定書IIに加入すべき旨呼びかけた。
(1) 2006年に予定されている第3回運用検討会議及び政府専門家会合等は、下記5.のとおり開催されることが決定された。
(2)(イ)2006年の対戦車地雷に関するマンデートについては、新たな議定書の交渉マンデートを求める国が多かったが、主要な問題については未だ大きな見解の隔たりがあり、交渉に移行するのは時期尚早であることを主張する国もあった。最終的には、2006年に更に議論を継続するとした現行と同様のマンデートが採択された。
(ロ)ERW・クラスター弾に関する2006年のマンデートとしては、本年と同一のマンデートが採択された。
(3) 2006年の運用検討会議及び政府専門家会合の議長は仏、ERW作業部会の調整役はリトアニアが務め、対戦車地雷作業部会の調整役はNAMグループより後日選出されることが決定された。CCWの普遍化の重要性を訴えるアピールとともに最終報告書が採択された。
我が国は、対戦車地雷の議論において、新たな議定書の交渉マンデートの採択を主張してきた。他方、 (1)本議論において立場に大きな隔たりがある分野は一部であること、(2)議論の基礎となっている調整役ペーパーは改正議定書IIの規定も十分ふまえ既に議定書の形式をなしていること、から2006年に開催される運用検討会議に向けて、対戦車地雷に関する新たな議定書作成の国際的モメンタムが維持されるものと思われる。
2006年には、以下の会合がジュネーヴで開催される予定。
【参考3】
今次会合に参加した国及び国際機関等の数は以下のとおり。
今次関連会合 | 開催日 | 締約国及び署名国 | オブザーバー参加国 | 国際機関 | NGO |
---|---|---|---|---|---|
第12回政府専門家会合 | 11月14日~22日 | 67 | 13 | 6 | 14 |
第7回改正議定書II年次会合 | 11月23日 | 62 | 14 | 5 | 11 |
締約国会議 | 11月24日, 25日 | 67 | 14 | 5 | 12 |