2005年8月19日
8月2日~12日、ジュネーヴにおいて、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の第11回政府専門家会合が開催された。我が国は美根軍縮代表部大使が代表団長を務め、外務省及び防衛庁から担当者が参加した。
現在、CCWの枠組みでは、「対戦車地雷(MOTAPM)の規制」、「爆発性戦争残存物(ERW)・クラスター弾の規制」、「遵守メカニズムの導入」の大きく3つの議題について検討が行われている。
(1) 対戦車地雷(MOTAPM)の規制
(イ) 対戦車地雷の規制の問題に関しては、2004年11月の締約国会合で採択された本年度のマンデートにしたがって議論が行われた。具体的には、前回3月の会合と同様に、調整役フィンランドが配布した新たな調整役ペーパーにしたがって、「対戦車地雷の探知可能性」、「対戦車地雷の使用に関する制限」、「対戦車地雷の信管の設計及びセンサー」、「文民の保護、警告及び地雷回避教育」、「対戦車地雷の権限を有しない者による使用を予防するための措置」、「移譲」、「透明性と他の信頼醸成措置」、「協力及び援助」の8項目を中心に検討が行われた。また、別途2セッション行われた軍事専門家会合においても、同項目について軍事的視点から意見交換が行われた。
(ロ) 「対戦車地雷の探知可能性」及び「対戦車地雷の使用に関する制限」以外の分野においては、今次会合を含むこれまでの議論の結果、大きな対立はなくなってきている。
(ハ) 「対戦車地雷の探知可能性」及び「対戦車地雷の使用に関する制限」の技術的措置の分野については、これまで国防上の理由と技術的・経済的理由から困難を訴える意見に対し、歩み寄りのための対案として国境地域の例外措置等の提案がなされ、交渉の前進に向けての動きが見られた。紛争後の人道的地雷除去のためには探知可能性の付加が必要であることについては、コンセンサスが生まれつつある。
【参考1】 対戦車地雷作業部会における2005年のマンデート
2004年11月の締約国会議では、2005年のマンデートとして以下の点が採択され、本年の政府専門家会合において議論が行われている。
(2) その他のイシュー
爆発性戦争残存物(ERW)の問題に関して、今次会合においては、前回3月の会合と同様に本年の作業マンデートに従って、「既存の国際人道法の原則の履行」と「子弾を含む特定の弾薬の設計改良を目指した予防措置」についての議論が行われた。「国際人道法の原則の履行の検討」の議論においては、本年度のマンデートによって各国から法律専門家の参加が引き続き求められており、我が国も法律専門家を代表団に参加させ積極的に議論に貢献した。今次会合においては、我が国を含む19カ国が、ERW化防止のためにクラスター弾の使用時に適用されるべき既存の国際人道法の原則は何か、同観点から各国でとられている措置は何か等について、活発に意見交換が行われた。
また、「遵守メカニズム(Compliance)」の問題に関して、CCWの枠組みにおいては一部の附属議定書を除いて遵守メカニズムが存在しておらず、条約全体に適用すべき遵守メカニズムの導入について、引き続き活発な議論が行われた。なお、遵守メカニズムの設置そのものに反対する国はなく、具体的なメカニズムはどうあるべきかについて意見交換が行われている。
【参考1】 ERW作業部会における2005年のマンデート
2004年11月の締約国会議では、2005年のマンデートとして以下の点が採択され、本年の政府専門家会合において議論が行われている。
【参考2】
今次会合に参加した国及び国際機関等の数は以下のとおり。
名称 | 締約国 及び署名国 |
オブザーバー 参加国 |
国際機関 | NGO |
---|---|---|---|---|
第11回政府専門家会合 | 65 | 11 | 4 | 14 |
本年中は、以下の会議がジュネーヴに於いて開催される予定。