平成20年7月25日
7月7日~25日、ジュネーブにおいて、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みにおいて、クラスター弾に関する第3回政府専門家会合が開催されたところ、概要及び評価は以下のとおり。我が国からは、樽井軍縮代表部大使(団長)及び平野通常兵器室長のほか、外務省及び防衛省の担当者が参加した。
(1)議長(ビゴツキ・デンマーク外務省軍備管理軍縮担当大使)より事前に配布された案文に基づき、新たな議定書の各構成要素に関する議論が行われた。特に、文民及び民用物の保護、定義、国際協力及び援助、並びに犠牲者支援については、議長フレンド(調整役)が任命され、各々、平野通常兵器室長、バーク・アイルランド国防省アドバイザー、マクラクラン豪軍代参事官、ライテラー・オーストリア軍代参事官が議長フレンドを務め、議論を行った。
(2)我が国が議長フレンドを務めた文民及び民用物の保護に関する条文については、禁止・規制の対象となるクラスター弾が不明なため、議論を行うこと自体に慎重な国もあったが、クラスター弾の使用に関連する人道上の懸念に対処する上で国際人道法の適切な履行が重要であるとの意見もあった。かかる状況を受け、既存の国際人道法の原則を弱めたり、再交渉したりすることはせず、また、禁止・規制に係る条文の内容が明らかになった後に再検討するとの作業指針を作成し、議長の案文に基づき議論を行った。その結果、クラスター弾の使用に特に関連する国際人道法の原則についての理解が深まった。
(3)その他の議長フレンドが調整役を務めた定義、国際協力及び援助、並びに犠牲者支援についても、意見の相違が残った部分もあったが、全体として大きな進展を遂げた。また、移譲の禁止、不発弾の除去・廃棄、情報の記録・保持・伝達等についても議長の議定書案に従い議論が行われた。かかる議論を通じ、法的拘束力を有する議定書を作成するとの方向性が明らかになった。
(4)クラスター弾の禁止・規制に関しては、米国が、想定される作戦環境下で不発弾率1%以内を達成するとの内容の新政策を発表したことを受け、具体的な内容に関するやりとりが議場の内外で展開された。会議においては、信頼性の向上、正確性の向上、子弾数及び試験の在り方について議論が行われた。(5)議論の結果を受けた議長の案文の改訂版が最終日に配布され、9月に開催される第4回政府専門家会合において更に交渉が行われることとなった。
(1)議長の案文に従い、条文ベースでの議論が初めて行われ、CCWの枠組みにおいて、クラスター弾の人道上の懸念に対処するための法的拘束力を有する議定書を作成するとの方向性が一層明らかになり、交渉が進展した。クラスター弾の禁止・規制の在り方についても、米の新政策の発表も踏まえ、実質的な議論が開始された。他方、多くの論点について、更なる議論が必要であり、9月の第4回政府専門家会合での交渉の進展が期待される。
(2)我が国は、文民及び民用物の保護に係る条文の議長フレンドを務めるなど、交渉の進展に実質的な貢献を行った。