2006年11月20日
11月6日~17日、ジュネーヴにおいて、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の第8回改正第2議定書年次会合並びに第3回運用検討会議が開催された。我が国は美根軍縮代表部大使が代表団長を務め、外務省及び防衛庁から担当者が参加した。
本会合開催前までに43カ国より改正第2議定書第13条に基づく年次報告が提出された。本会合においては、各国より議定書の遵守状況が報告されたほか、特に、議定書締結時に第4条(全ての対人地雷への探知可能性の付与)及び第5条(遠隔散布式対人地雷への自己破壊機能等の付与)の義務履行開始の延長を宣言していた国より、現状について報告された(なお、第4条及び第5条の義務履行開始の延長期限は、全ての国について2007年12月となっている)。
枠組条約及び各議定書の履行状況についてレビューが行われたほか、条約の履行及び遵守に向けた締約国のコミットメントを盛り込んだ最終宣言が採択され、これらを含んだ最終報告書が全会一致で採択された。個別の事項について採択あるいは決定された結果は以下のとおり。
(1) 遵守メカニズムの採択
CCWの枠組みにおいては、一部の付属議定書(改正第2議定書及び第5議定書)を除いて遵守メカニズムが存在していないことが問題視されていたが、今次検討会議において、条約全体を対象とした遵守メカニズムが採択された。このメカニズムは、条約の遵守に関する締約国間の協議等について定めているほか、締約国が自国の義務履行に関して助言を求めることのできる専門家グループの設立について定めている。
(2) 普遍化行動計画の採択
CCWの普遍化の促進を目的として、締約国が取るべき具体的な取り組み(未加入国への働きかけ、国連、ICRC、NGO等関係者との協力等)について定めた普遍化行動計画が採択された。
なお、11月17日現在の締約国数は以下のとおり。
枠組条約 | 附属議定書 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1条改正 | I | II | 改正II | III | IV | V | |
100 | 48 | 98 | 87 | 86 | 93 | 83 | 27 |
(3) スポンサーシップ・プログラムの採択
CCWの実施及び普遍化の促進を目的として、地雷や不発弾による被害国の会合参加を支援するためのプログラムが採択された。具体的には、ドナー国からの任意の拠出により、最貧国を優先させつつ、地雷被害国等の会合参加費用を支援する。
(4) 第5議定書の発効並びに宣言の採択
爆発性戦争残存物(ERW)に関する第5議定書が11月12日に発効したことを受け、発効を歓迎するとともに、ERWがもたらす問題の解決に向けた締約国の決意を盛り込んだ宣言が採択された。
(5) ERW(含むクラスター弾)に関する新たなマンデートの採択
ERWに関しては、特にクラスター弾の不発弾がもたらす問題への対応の必要性が認識され、クラスター弾に焦点を当てた新たなマンデートが全会一致で採択されるとともに、明年6月に政府専門家会合を開催することが決定された。マンデートの主な内容は以下のとおり。
(6) 対戦車地雷の議論の結果
対戦車地雷の規制に関しては、新たな議定書の作成を目指して政府専門家会合における議論が継続されてきたものの、主要な規制事項として「探知可能性の付与」及び「作動期間の制限」を重視する国と、国防上及び技術的・経済的理由からそのような規制に困難を訴える国との間で立場の溝が埋まらず、議定書の採択には至らなかった。他方、2007年の締約国会議において、対戦車地雷の問題について取り上げることが決定されたほか、これまでの政府専門家会合における議論に基づき、引き続き合意を目指していくことが最終宣言に盛り込まれた。
今次検討会議においては、遵守メカニズム、普遍化行動計画及びスポンサーシップ・プログラムの採択という具体的な成果が得られ、今後、CCWの実施及び普遍化の更なる促進が期待される。ERWに関しては、問題の重要性に鑑みクラスター弾に焦点を当てた議論マンデートが採択されたことは意義があり、我が国としても、主要国の参加を得た形で効果的な解決方法を見いだすべく、CCWでの議論に積極的に参加していく。
対戦車地雷に関しては、我が国としてはCCWにおいて議論が再開されることを期待し、そのために引き続き努力していく所存。
2007年には、以下の会合がジュネーヴで開催される予定。