
武器貿易条約(ATT)に関する国連オープンエンド作業部会
7月会合の結果概要
平成21年7月
- 7月13日~17日、ニューヨーク国連本部において、武器の国際的な移譲を管理するための諸原則を定めるATTの主要な要素について議論するため、我が国を含む100か国以上の国連加盟国が出席し、本会合が開催された。
- その結果、管理されない武器貿易が引き起こす諸問題に対処するため、国際的な取組がなされるべきであることを明記した報告書がコンセンサスで採択され、本会合は成功裡に終了した。本会合には、NGOもオブザーバーとして参加した。今後の作業については、本年の国連総会において、ATT作成のための政府間交渉に入ることが決定されるかどうかが注目される。
- 本会合においては、ATTの目的、ATTが対象とする武器や行為の範囲、武器の輸出入に係る原則と移譲基準、情報交換や報告等の条約を実施する上で必要なメカニズムについて議論が行われ、広範囲に亘る建設的で有意義な議論が行われた。
- 我が国は、本会合において、特に既存の地域的・国際的取り決めとATTとの関係、法的拘束力を持った条約とすべき理由、情報交換を始めとする条約の実施メカニズムのあり方等に焦点を当て、慎重国の懸念にできるだけ答えられるよう論点を絞った発言を行った。また、第1回会合に引き続き、副議長として議長による議事進行をサポートした。
- ATT構想については、武器貿易が各国の安全保障と直結した問題であることから、慎重な立場を取る国があるが、本会合での議論を通じて、ATTについての理解が多少なりとも深まったと言える。ATTのあるべき姿については、武器貿易の複雑な実態を反映して、各国の立場に依然として大きな隔たりがあることから、今後とも段階的なアプローチで、各国の考え方の違いを少しでも狭めていくよう、議論を進めていくことが求められる。
【注】武器貿易条約(ATT:Arms Trade Treaty)構想
ATT構想とは、通常兵器の国際的な移譲を管理するための諸原則を定める条約を作成しようという構想で、通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すもの。「武器輸出三原則」等の下、原則として武器を輸出していない我が国は、国連等の場において小型武器を含む通常兵器の問題への対処に積極的な役割を果たしてきており、ATT構想についても高い関心を持ち、関連する取組に積極的に参画している。