平成21年3月
(1)3月2日~6日、ニューヨーク国連本部において、我が国を含む100か国以上の国連加盟国が出席し、NGOもオブザーバーとして参加する中、標記作業部会(議長:モリタン・アルゼンチン大使)が開催された。
(2)今回の会合は、昨年12月に採択された国連決議(我が国は共同提案国)に基づき、今後6回開催されることとなっている作業部会の第1回目の会合。
我が国は、副議長(各地域グループより選出された9名のうちの1名)として議論を積極的にリード。以下の我が方考え方を表明した。
(1)我が国は、武器移譲のための諸原則を定めるATT構想を強く支持しており、今後も積極的役割を果たしていく。
(2)アジア太平洋地域におけるATT構想への理解と機運の向上を図るべく、2月末に、国際NGOであるオックスファム(Oxfam)と、「ATTアジア太平洋地域会合」を共催した。
(3)我が国は、(イ)武器移譲の共通基準の欠如が紛争、避難民、犯罪及びテロリズムを助長している、(ロ)ATTは実効性のある条約として実現すべきであり、そのためにATTは柔軟であるべき、(ハ)主要輸出入国と武器移転による被害国をはじめとするあらゆる関係者が参加する枠組みを進めるべき、との考え方を表明。
各国が、ATTの目的、対象とすべき武器の種類、武器移譲を行う際に考慮すべき基準等について、それぞれの考え方を述べた。
(1)ATTの目的
多くの国が、国連憲章の諸原則を中心とし、武器移譲に関する各国の権利・義務を明確化すべきとの考え方を述べた。
(2)対象とすべき武器の種類
多くの国が、国連軍備登録制度の対象となっている7カテゴリーの通常兵器、小型武器及び弾薬を含めるべきことを述べた。部分品、汎用品については、見解が分かれた。
(3)武器移譲基準
武器輸出国の義務として、安保理決議に基づく武器禁輸措置の遵守、国際人道法、国際人権法に反する武器移譲を認可しないこと等が多くの国により言及された。また、最終需要者証明の必要性も指摘された。
(1)これまでATT関連決議に反対又は棄権した国々(米、露、中国、印、パキスタン、エジプト、イスラエル、アラブ諸国等)も、建設的な姿勢で議論に臨んだことから、初回の会合としては成功したと言える。
(2)特に、米が、建設的かつ実効的な成果が得られるよう積極的に議論に参加する考えである旨、前向きな発言を行ったことは評価される。
(3)今回の会合では、議論総括は行われず、報告書も作成されなかった。7月に開催される予定の第2回作業部会では、本年の国連総会に提出する報告書を作成することとなっている。我が国としては、今後も議長及び主要関心国と広く意見交換を行い、連携を図りながら、報告書作成に積極的に参加していく。
ATT構想とは、通常兵器の国際的な移譲を管理するための諸原則を定める条約を作成しようという構想で、通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すもの。「武器輸出三原則」等の下、原則として武器を輸出していない我が国は、国連等の場において小型武器を含む通常兵器の問題への対処に積極的な役割を果たしてきており、ATT構想についても高い関心を持ち、関連する取組に積極的に参画している。