寄稿・インタビュー
岩屋外務大臣によるヒル・タイムズ紙(カナダ)への寄稿(3月12日付)
「日・カナダ両国で、G7の結束をより強固なものへ」
(G7での協力)
3月12日から3日間、G7外相会合出席のため、ケベック州シャルルボワを訪問します。ジョリー外相を議長としてG7各国のカウンターパートと共に、ウクライナ、中東及びインド太平洋といった喫緊の課題に関して忌憚のない意見交換を行うことを楽しみにしています。国際情勢が大きく揺れ動く中にあって、G7がしっかりと連携を維持・強化していくことが、かつてなく重要となっています。国際社会の平和と安定、自由で開かれた国際秩序の維持・強化といった共通の目標を実現するためには、G7が団結していく必要があります。今回のシャルルボワでのG7外相会合では、3日間にわたって大いに議論を行い、国際社会の諸課題に関し、G7としてとるべき施策の方向性を見出していきたいと思います。
特に、欧州及びインド太平洋の安全保障がますます不可分となる中、我々日本とカナダは、インド太平洋の隣人として、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を主導していく役割があると考えます。これから1年間、カナダの議長の下ウクライナ情勢や中東情勢のみならず、インド太平洋情勢についても、G7がよく議論し、緊密に連携していけることを心強く思います。
(日カナダ関係)
日本とカナダは、1928年に外交関係を樹立した、古い友人です。また、両国は、価値や原則を共有する重要な戦略的パートナーです。日加関係はかつてないほど良好ですが、厳しい地政学的現状が続く中、両国にとって互いの必要性は益々高まっており、政治、経済、安全保障、人的交流などのあらゆる分野で関係をより一層深化させることが重要です。
2022年に発表した「自由で開かれたインド太平洋に資する日加アクションプラン」を二国間協力の羅針盤として、日加が相互に参加する共同訓練やIUU漁業監視活動における協力が進んでいます。両国で交渉中の情報保護協定や防衛装備品・技術移転協定は日加安全保障協力のマイルストーンであり、早期締結を実現したいと思います。今後、安全保障面での日加協力を更なる高みに引き上げたいと考えております。
また、豊富なエネルギー、重要鉱物、食料を有するカナダは、経済安全保障面を含め、経済分野においても日本にとって益々重要なパートナーとなっています。特に、本年中には、日本企業も参画したLNGカナダが、日本、そしてインド太平洋地域へカナダ産LNGの供給を開始する予定です。カナダからのLNGが日本を含むアジアのエネルギー需要を満たすために重要な役割を担うことを期待します。
カナダにおける電気自動車(EV)のサプライチェーン構築に向けた日本企業の投資も行われています。さらに、カナダが誇るAI、量子等の科学技術分野での両国の協力にも大きな潜在性があります。多国間協力の側面では、両国が主導するCPTPPやWTO改革などを通じて、自由で公正な経済秩序の維持・強化に向けて協力しています。
来月から、大阪・関西万博が開催されます。「再生(Regeneration)」をコンセプトとするカナダのパビリオンの完成を楽しみにしているとともに、万博を契機として両国の人的交流や経済的な交流がより一層強固なものになることを期待しています。
2028年、日本とカナダは外交関係樹立100周年を迎えます。強固な日加関係を背景に、G7議長国であるカナダと共にG7として密接に連携し、共通の目標に向けて、役割を果たしていきたいと思います。
(参考)
令和7年3月12日付:「ヒル・タイムズ紙」(カナダ)(紙面版(英語)(PDF)/ 電子版(英語)(PDF)
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