北極・南極

平成29年9月13日

 2017年8月29日及び30日,井出敬二北極担当大使は,ロシア安全保障会議がロシア北極圏ヤマル半島サベッタで開催した標記会合に招かれ,出席しました。

1 会議概要

  • (1)この会議は,ロシア安全保障会議のイニシアティブにより,ロシアで毎年開催されています。日本が招かれたのは今回(第7回)が初めてです。
  • (2)パトルシェフ・ロシア安全保障会議書記が会議及び関連行事を主催しました。
  • (3)本年の会合には,北極評議会メンバー国8か国及びオブザーバー7か国から,政府関係者,企業,研究者らが参加しました。
    • ア 北極評議会メンバー国:ロシア,米国,カナダ,デンマーク,フィンランド,アイスランド(グリムソン元大統領,北極サークル創設者),ノルウェー,スウェーデン(計8か国)
    • イ 本年参加したオブザーバー国:日本,中国,韓国,インド,シンガポール,仏,イタリア(計7か国)
      (注)北極評議会オブザーバーは計39の国と組織等から構成。
  • (4)主な議題
    • ア 国際協力と北極地域の安全:エネルギー分野
    • イ 北極地域での運送・ロジにおける安全保障面の課題
    • ウ 北極の持続的発展:環境,社会,文化的側面

2 ヤマルLNGプロジェクトの視察

 ロシア側の案内により,ヤマル1LNGプロジェクト(注)を訪問し,視察しました。同プロジェクトは順調に進行しており,本年中に第1トレインが完成し,LNG輸出を開始する予定であること(第2,3トレインも2019年迄に稼働開始予定),ロシアとして北極圏での資源開発・北極海航路の積極的活用(通年利用)を目指すとの説明がありました。(ロシアからは地元政府責任者,関係省庁次官クラス等が参加しました。)
(注)総工費270億ドル,LNG年間生産量は1650万トン,世界最大級のLNGプロジェクトヤマルLNG社の株式の50.1%はノヴァテック(露),約29%は中国(CNPC20%,シルクロード基金9.9%),20%はTOTAL(仏)。中国は120億ドルを融資。

3 我が国からは,井出北極担当大使が出席し,会合で概要以下のとおり発言しました。

  • (1)日本は,ロシアとの安全保障対話を重視。
  • (2)日本企業等の貢献を紹介(日揮・千代田化工,商船三井,JBIC等)。互恵的ビジネス関係発展のために,安定的・予測可能なビジネス環境確保を要望。
  • (3)科学協力推進のため関係当局からの支援を期待。
  • (4)国際法の遵守,「法の支配」を重視。

北極・南極へ戻る