欧州

平成27年4月20日
リンケービッチ ラトビア外務大臣表敬
ゲルマナス リトアニア外務副大臣との会談
杉原記念館にて杉原記念館関係者と
 4月13日から15日、薗浦健太郎外務大臣政務官(Mr. Kentaro Sonoura, Parliamentary Vice-Minister for Foreign Affairs)はラトビア(EU議長国)及びリトアニア(国連安保理非常任理事国)を訪問したところ、概要は以下のとおりです。

1.ラトビア

(1)リンケービッチ外務大臣表敬

(ア)二国間関係

 薗浦政務官から、OECD加盟手続きの順調な進展及び観光・物流分野での交流強化を評価しました。また、薗浦政務官から、シリアにおける邦人殺害テロ事件に際して、ストラウユマ首相から安倍総理宛にお見舞いの書簡をいただいたことへの謝意を表明し、引き続き中東の平和と安定に貢献するとともに、国際社会とともにテロとの闘いに取り組んでいく旨述べました。
 リンケービッチ外務大臣から、ラトビアへの要人の来訪により関係が進展していることを評価するとともに、日本企業による出資、日本人観光客の大幅増に言及し、経済分野の交流強化継続への期待が表明されました。
 双方は、二国間の経済関係を強化するための両国間のありうべき協力について議論を行いました。

(イ)日EU関係

 薗浦政務官から、日EU・EPA交渉の本年中の大筋合意の重要性を指摘し、交渉加速への支持を要請しました。リンケービッチ大臣から、EU議長国として、またEU議長国後も、日EU・EPA交渉合意への支持が表明されました。
 また、薗浦政務官から、テロ対策の観点から、欧州の航空会社からの旅客予約記録の提供を要請しました。双方は、日EUの分野でもテロ協力を進めていく点で一致しました。

(ウ)地域情勢

 ウクライナ情勢について、双方は、ミンスク合意の完全な履行の重要性で一致しました。薗浦政務官から、アジアと欧州の安全保障環境は相互に密接に関連している旨指摘し、力による現状変更の試みは認められない旨述べました。

(2)ピルデゴビッチ外務次官主催昼食会(4月14日)

 薗浦政務官から、国連創設70周年である本年に安保理改革で具体的な成果を上げる必要性を指摘したところ、ビルデゴビッチ次官から安保理改革の取組への支持の表明がありました。
 薗浦政務官から日本と中央アジア諸国との協力について説明を行いました。ビルデゴビッチ次官から、中央アジア諸国との対話をいち早く立ち上げた日本の取組は大変参考になる旨述べました。
 その他、双方は、二国間関係、アジア情勢やイラン等の地域情勢について意見交換を行いました。

(3)プトラ経済省政務官との意見交換(4月14日)

 薗浦政務官から、投資、観光分野での協力の進展に言及するとともに、ラトビアは2015年前半のEU議長国として精力的に活動していることを評価しました。ラトビア側から、二国間の貿易・投資拡大への期待が表明されました。
 また、薗浦政務官から、日EU・EPAの本年中の大筋合意の重要性を指摘するとともに、EUによる福島県産の食品等の輸入規制の科学的根拠に基づく緩和を要請しました。
 その他、ビサギナス原発建設計画の進捗について意見交換を行いました。

2.リトアニア(4月14日~15日)

(1)リンケビチュウス外務大臣表敬(4月15日、ゲルマナス外務副大臣同席)

 薗浦政務官から、近年の両国のハイレベルの交流が飛躍的に発展していることに言及しつつ、リトアニアのOECD加盟交渉を通じて、OECDとリトアニアが相互に利益を得られることを期待している旨述べました。
 リンケビチュウス外務大臣から、昨年3月の自身の訪問に言及しつつ、対話を継続し、目に見える成果を上げていきたいとの発言がありました。また、同大臣から、杉原千畝氏は日・リトアニア両国にとって重要な名前であるとともに、両国は文化、外交、歴史を共有しており、こうした点に立って、文化や外交面の協力を発展させていきたい旨述べました。
 さらに、同大臣から、リトアニアのOECD加盟に関する日本の支持に謝意を表明するとともに、リトアニアの安保理における貢献を説明し、日本の知見に学びたい旨述べました。

(2)ゲルマナス外務副大臣との会談(4月15日)

(ア)二国間関係

 薗浦政務官から、両国は民主主義や法の支配等の基本的価値を共有していること、リトアニアはバルト三国で初めてEU議長国や国連安保理非常任理事国を務めるなど、国際社会での重要性がますます高まっていることに触れ、連携強化への期待を表明しました。これに対し、ゲルマナス外務副大臣から、さらなる両国関係の進展への期待を表明するとともに、杉原千畝氏はリトアニアのヒーローである旨述べました。
 双方は、経済、教育・科学技術、観光を含む人的交流等を強化するための両国間のありうべき協力について突っ込んだ議論を行いました。

(イ)日EU関係

 双方は、日EU・EPAの本年中の大筋合意の重要性を再確認しました。また、薗浦政務官から、EUによる福島県産の食品等の輸入規制の科学的根拠に基づく緩和・撤廃、テロ対策の観点からの欧州の航空会社からの旅客予約記録の提供を要請しました。

(ウ)国際場裡における協力

 薗浦政務官から積極的平和主義の考え方を説明するとともに、戦後70年の機会に、国連改革を実現したい旨述べました。リトアニア側は安保理改革を含む国連改革への支持を表明するとともに、双方は力による現状変更の試みに反対するとの立場を確認しました。
 リトアニア側から、昨年日本が開催したWAW!(女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム)を評価するとともに、女性分野の国際的な取組において、日本との協力を深めることへの期待を表明しました。

(エ)地域情勢

 双方は、ウクライナ情勢について、ミンスク合意の完全な履行、ウクライナの国内改革の努力の支援の重要性で一致しました。また、リトアニア側から、日本の関与・支援に対して、評価が表明されました。

(3)スプルオーギス・エネルギー副大臣との会談(4月15日)

 薗浦政務官から、ビサギナス原発を通じて、リトアニア及びバルト三国のエネルギー安全保障への貢献の意図を改めて表明するとともに、ビサギナス原発建設計画の進展を働きかけました。スプルオーギス・エネルギー副大臣から、ビサギナス原発建設計画を含むリトアニアのエネルギー政策について説明がありました。双方は、エネルギー安全保障の分野で引き続き協力していくことで一致しました。

(4)「ジャガイモ袋で密かに逃れて」リトアニア語版出版記念行事出席(4月14日、於カウナス)

 薗浦外務大臣政務官は、4月14日、カウナスで開催されたジルベルグ、アブラモビッチ両氏編「ジャガイモ袋で密かに逃れて」(ナチス・ドイツ占領下のカウナスのゲットーに収容され、リトアニア人等の協力を得て秘密裏に助け出され、かくまわれた50人の子供たちの体験をまとめたもの)リトアニア語版出版記念行事(NPO北のエルサレム、杉原「命の外交官」財団共催)に出席し、スピーチ(和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を行いました。
 また、薗浦政務官は、カウナスにある杉原千畝記念館を視察し、アレクサンドラヴィチュウス杉原「命の外交官」財団理事から説明を受けました。さらに同館2階のビタウタス・マグヌス大学アジア研究センターを視察し、ジーカス・センター長から説明を受けました。



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