ルクセンブルク大公国

平成27年12月2日
歓迎式典
(写真提供:内閣広報室)
ベッテル首相と握手する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
日・ルクセンブルク首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
 ルクセンブルク大公国訪問中の安倍晋三総理大臣は,現地時間1日午後2時から約50分間,グザヴィエ・ベッテル首相(H.E. Mr. Xavier Bettel, Prime Minister of the Grand Duchy of Luxembourg)と首脳会談を行いましたところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭

 ベッテル首相から歓迎の辞が述べられたのに対し、安倍総理から、7月のベッテル首相の訪日により二国間経済関係は大きく前進し、その後半年も経たないうちに、日本の総理として二国間の文脈で初めてルクセンブルクを訪問できて嬉しい旨述べました。また、両国の皇室・大公家の長年に亘る親密な関係は両国の友好関係の基礎であり喜ばしく、昨年10月にはギヨーム皇太子同妃両殿下に訪日頂き、私も懇談させて頂き光栄であった旨述べました。これに対し、ベッテル首相からも二国間の文脈での初の総理の訪日に対する高い評価が述べられ、両首脳は、二国間関係を更に発展させていくことで一致しました。

2 二国間関係

 安倍総理から、10月の経団連訪問に触れつつ、自分は日本を世界で最もビジネスを行いやすい国にするために改革を断行しており、両国の成長のために双方向の投資と更なる対日投資に期待する旨述べました。これに対し、ベッテル首相からは、日本の経済再活性化に対する関心が示され、また、ルクセンブルクは小国だが欧州の窓口であるとして、日本との経済関係強化に対する高い関心が示されました。
 また、安倍総理から、二国間航空協定の締結の可能性について事務レベルで議論させたい旨述べたのに対し、ベッテル首相から高い評価が示されました。

3 日EU関係

 安倍総理から、先月のルクセンブルクでのASEM外相会合は大きな成果であった旨述べ、主催国としての尽力に敬意を表しました。両首脳は、日EU・EPAの来年のできる限り早期の実現を目指すこと、SPAについても早期妥結を目指すことで一致しました。また、安倍総理から、福島県産食品等の輸入規制緩和を評価するとともに、更なる緩和を期待する旨述べました。

4 日本の安全保障政策

 安倍総理から、先般成立した平和安全法制によりPKOや後方支援等を通じた国際社会の平和と安定への一層の貢献が可能となり、EUとの協力強化にも資する旨述べました。これに対し、ベッテル首相から、積極的平和主義に対する支持が表明され、平和安全法制は平和を守るための法律であると考えている旨の発言がありました。

5 国際場裏における協力

(1)国連安保理改革

 安倍総理から、ルクセンブルク大公国のルーカス大使が国連安保理改革に関する政府間交渉議長に任命されたことを歓迎し、日本は代表性・正統性を向上させる安保理改革を引き続き重視しており、国連創設70周年の本年、我が国を含むG4は11年ぶりに首脳会合を開催し、改革の機運は高まっている旨述べました。これに対し、ベッテル首相は、70年たって世界は大きく変わっているとして、安保理改革の必要性及び日本の常任理事国入りに対する支持が表明されました。また、ベッテル首相から、小国の立場ももっと重視されることを希望する旨の発言があり、安倍総理からは、小国の立場にも配慮できるよう、常任・非常任の双方の拡大が必要である旨述べました。

(2)テロ対策

 安倍総理から、パリのテロ事件を断固として非難するとともに、テロ対策としては、各国のテロ対処能力を向上させることやテロの根底にある暴力的過激主義への対策や過激主義を生み出さない社会の構築といった複眼的な取組が重要である、テロの未然防止、根絶のために貢献していきたい旨述べました。ベッテル首相からは、我が国の難民・避難民に対する支援に対して高い評価を述べた上で、テロは我々の社会の基本的価値に対する攻撃である、テロを予防するために若者に将来に対する展望を与えることが重要であり、ルクセンブルク政府として雇用創出に努めていること、情報交換の面で政府間の協力が必要であることにつき発言がありました。

(3)気候変動

 安倍総理から、日本は全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの構築を最重要視しており、途上国の参画を促すべく、「途上国支援額を2020年までに官民あわせて年間約1兆3千億円とする」旨発表した旨述べました。ベッテル首相は、すべての国に適用されるルール作りの必要性を指摘しつつ、特に気候変動がもたらす海面上昇による島嶼国に対するリスクに言及がありました。

6 地域情勢

 両首脳は東アジア情勢やウクライナ情勢について意見交換を行い、後者については、特にミンスク合意の履行の重要性について一致しました。

ルクセンブルク大公国へ戻る