ロシア連邦
日露首脳会談
9月7日,東方経済フォーラム出席のためロシア・ウラジオストクを訪問した安倍総理大臣は,プーチン大統領との間で19回目となる日露首脳会談を約3時間超にわたり実施しました(少人数会合約90分,テタテ約20分,拡大会合兼夕食会約75分)。
1 平和条約締結問題
両首脳は,北方四島における共同経済活動に関し,昨年12月の首脳間の合意事項に基づく具体的な進展として,早期に取り組むプロジェクトとして以下5件の候補を特定しました。今後,双方の立場を害さない法的枠組みを検討し,できるものから実施していくことで一致しました。また,これら以外のプロジェクトの可能性も引き続き協議していくこととしました。
- (1)海産物の共同増養殖プロジェクト
- (2)温室野菜栽培プロジェクト
- (3)島の特性に応じたツアーの開発
- (4)風力発電の導入
- (5)ゴミの減容対策
両首脳は,5件のプロジェクト候補の検討のため,10月初めを目途に追加的な現地調査を行うこと,各プロジェクトの具体的検討と全てのプロジェクトに共通して必要となる人の移動の枠組みに関する検討を加速することで一致しました。これらの検討を進めるため,今後,局長級作業部会を設けることとなりました。
また,海上交通の安全確保の観点から,双方の法的立場を害さない形で,貝殻島灯台の改修プロジェクトを検討することとしました。
両首脳は,元島民の方々のための人道的措置として,アクセスが閉ざされていた国後島の瀬石周辺への墓参が8月に実現したこと,8月末の歯舞群島墓参の際に臨時の追加的な出入域ポイントが設置されて元島民の方々の身体的負担が大きく軽減されたことを高く評価しました。
両首脳は,9月下旬を目途に航空機を利用した特別墓参を実施することを確認しました。
安倍総理から,元島民の方々のより自由な往来に向けた協議継続を働きかけました。
2 北朝鮮問題
安倍総理から,北朝鮮による我が国上空を通過する弾道ミサイルの発射及び核実験の強行は,我が国のみならず地域全体へのこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であり,国際社会全体で最大限の圧力をかけることが重要であることを強調しました。
両首脳は,9月3日に北朝鮮が強行した核実験は,朝鮮半島及び地域の平和と安定に対する深刻な脅威であるとの認識で一致し,今後も日露間で緊密に協力していくことで一致しました。
3 幅広い分野での二国間協力
政治対話:両首脳は,11月のベトナムAPECの際の再会で一致しました。訪露招請のあった河野外相のモスクワ訪問について,11月又は12月に日露外相会談及び貿易経済日露政府間委員会を行うべく,具体的な日程調整を継続することで一致しました。
防衛交流・安全保障:安倍総理から,9月に実施された日露の安全保障当局間の協議で率直な議論ができた旨述べるとともに,両首脳は,11月にサリュコフ地上軍総司令官,12月にゲラシモフ参謀総長が訪日し,防衛・安全保障に関する議論を継続していくことを確認しました。
経済:両首脳は,改正租税条約の署名,8項目の「協力プラン」全体に関わる事項としてJBIC・RDIFによる10億ドルの共同投資枠組みの設立,デジタル経済の実現に向けた協力等の成果を歓迎しました。安倍総理から医療,都市環境の分野での協力を確認するとともに,両首脳は,「協力プラン」の具体化を更に進め互恵的な日露経済関係を発展させていくことで一致しました。
(参考)官民で56件の文書に署名。民間文書は昨年12月以来,合計で100件に達した。
文化・交流:両首脳は,来年の日本年・ロシア年の準備を幅広い分野で進めることを確認しました。5月25日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに日本がゲスト国として参加すること,翌26日の両国共催の相互交流年の開会行事をモスクワのボリショイ劇場で開催することで一致しました。両首脳の両行事への出席を調整していくこととなりました。