北大西洋条約機構(NATO)
岸田総理大臣のNATO首脳会合出席
令和6年7月11日


現地時間7月11日午前10時40分(日本時間同日午後11時40分)から約2時間30分、米国・ワシントンDCを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、NATO首脳会合のパートナー・セッションに出席したところ、概要以下のとおりです。
- 岸田総理大臣は、NATO首脳会合のパートナー・セッションに出席しました。同セッションには、ストルテンベルグNATO事務総長、NATO加盟国32か国及び招待を受けたパートナー国・機関(インド太平洋パートナー(IP4:日本、豪州、ニュージーランド、韓国)、EU)の首脳等が出席し、ロシアによるウクライナ侵略や、インド太平洋の情勢を含む国際的な安全保障環境、NATOとIP4の今後の協力等について議論が行われました。
- 同会合中、岸田総理大臣から概要以下のとおり述べました。
- 一昨年、昨年に引き続き、NATO首脳会合に参加。この間、一貫して「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との強い危機感を表明し、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であると述べてきた。多くの首脳がこの認識を共有し、インド太平洋への関心と関与を高めていることを歓迎。
- ウクライナ支援と対露制裁を強力に推進するとの日本の立場は不変。日本は、先月、非大西洋の国として初めてウクライナとの二国間文書に署名し、ウクライナの問題は、欧州だけでなく、国際社会全体の問題であることを改めて示した。また、スイスでの「ウクライナの平和に関するサミット」に出席し、国連憲章を含む国際法の諸原則に基づく「公正かつ永続的な平和」を実現すべきこと、力や威圧による一方的な現状変更の試みを正当化してはならないことを訴えた。日本は、対無人航空機検知システム等をウクライナに供与すべく、NATOの信託基金に昨年来、約6,700万ドルを拠出した。IP4とNATOの旗艦事業の1つとなっている医療分野でのウクライナ支援においても、NATOと連携する。このように様々な手段で、今後もしっかりと支援、協力を行っていく。
- インド太平洋においても、最近の露朝軍事協力の進展の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点から深刻に憂慮すべきものである。東・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みは認められない。
- このような厳しい安全保障環境に対応すべく、日本は、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせた予算水準がGDP比2%となるように取り組み、また、同志国との連携を強化してきている。IP4とNATOの協力を深化させていくことも重要であり、IP4とNATOの旗艦事業(注1)を歓迎。
- 日NATO間でも、ITPP(注2)に基づき、以下のような協力を進める。
(1)日本とNATOとの間の秘匿情報共有体制の強化。
(2)NATOが主催するサイバー防衛演習への参加も含め、サイバー分野での協力を強化。その一環で昨年初めて日NATOサイバー対話を実施した。
(3)NATOの戦略的コミュニケーション研究センター(STRATCOM)へ日本から要員を新規派遣予定。NATO及びその加盟国、IP4を招待し、戦略的コミュニケーションに関する会議を今年度中に日本で開催予定。
(4)日本とNATOは、欧州・大西洋地域で本年中に共同訓練を実現すべく調整中。 - 日本は今後もNATO加盟国を始めとする同志国との連携強化を進め、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて努力していく。
(注1)IP4とNATOの旗艦事業
(1)ウクライナ支援、(2)サイバー防衛、(3)偽情報を含む敵対的情報、(4)テクノロジーの4分野で、具体的協力を進める計画
(注2)ITPP:Individually Tailored Partnership Programme(国別適合パートナーシップ計画)