欧州
柘植外務副大臣の第3回EUインド太平洋閣僚会合出席(結果)
2月2日、ベルギーを訪問中の柘植芳文外務副大臣は、第3回EUインド太平洋閣僚会合に出席したところ、概要は以下のとおりです。
1 柘植副大臣は、「地政学上及び安全保障上の挑戦」の分科会において概要以下のとおり発言しました。
- 世界は今、時代を画する変化のただ中にある。ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会全体が依って立つ原則そのものへの挑戦であり、欧州だけの問題ではない。
- インド太平洋では、東・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みが継続している。北朝鮮による核・ミサイル開発も世界の安全保障に対する深刻な挑戦である。
- こうした中、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は今や不可分であることをますます強く感じる。最近の北朝鮮からロシアへの弾道ミサイルの輸出及びロシアによるこれらのミサイルのウクライナでの使用はその具体例の一つにすぎない。
- これらを背景として、日本は、ロシアの侵略に立ち向かうウクライナを力強く支援している。日本は、これまでに表明・実施してきた総額76億ドルのウクライナ関連支援に加え、人道及び復旧・復興支援を含む10億ドル規模の追加支援を決定した。年頭には上川外務大臣がウクライナを訪問し、ウクライナへの揺るがない連帯を改めて表明した。今月には日本でウクライナ経済復興推進会合の開催を予定している。
- イスラエル・パレスチナ情勢について、現地の危機的な状況に加え、事態が地域に波及して情勢が一層不安定化することを深刻に懸念している。
- インド太平洋は様々な挑戦に直面している。日本はこの地域で、自由と法の支配を擁護し、多様性、包摂性、開放性を尊重する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進しており、欧州、ASEAN、南アジア、太平洋島嶼国、中東、アフリカ等と共にFOIPの実現に向けて連携していきたい。
- そうした観点からも、欧州諸国・EUのインド太平洋への関心の高まりと関与の強化を歓迎する。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、協力していきたい。
2 参加した各国の代表からは、経済的・地政学的に国際社会において大きな位置を占めるインド太平洋地域の重要性や、インド太平洋と欧州が様々な面で深く連関していること等について発言があり、気候変動、環境、連結性、海洋安全保障等の課題について欧州とインド太平洋の国々が共に取り組んでいくことの必要性について認識が共有されました。
3 今次会合の機会に、柘植副大臣は、以下の関係者とバイ会談等を行いました。
(1)スペイン
2月2日午前、柘植副大臣は、ディエゴ・マルティネス・ベリオ・スペイン外務・EU・協力省外交・グローバル問題担当長官(Mr. Diego MARTÍNEZ BELIO, State Secretary for Foreign and Global Affairs for Ministry of Foreign Affairs, European Union and Cooperation of Spain)と意見交換を行い、安全保障・防衛、経済分野等での二国間の協力の進展を歓迎し、一層進めることを確認しました。柘植副大臣から、2025年大阪・関西万博のパビリオンの早期建設に向けた協力を要請しました。
(2)スロバキア
2月2日正午、柘植副大臣は、マレク・エシュトク・スロバキア外務・欧州問題副大臣(Mr. Marek EŠTOK, State Secretary of the Ministry of Foreign and European Affairs of the Slovak Republic)と意見交換を行い、2023年に日スロバキア外交関係開設30周年を迎え、様々なレベルで交流が活発化していることを歓迎するとともに、昨年発足したスロバキア新政権との間でも、引き続き幅広い分野で良好な二国間関係を発展させていくことを確認しました。柘植副大臣から、2025年大阪・関西万博のパビリオンの早期建設に向けた協力を要請しました。
(3)チェコ
2月2日午後、柘植副大臣は、ヤン・リパフスキー・チェコ共和国外務大臣(H.E. Mr. Jan LIPAVSKÝ, Minister of Foreign Affairs of the Czech Republic)と意見交換を行い、ウクライナへの対応、経済関係を含む幅広い分野で引き続き協力を深めていくことを確認しました。柘植副大臣から、2025年大阪・関西万博のバビリオンの早期建設に向けた協力を要請しました。
(4)EU
2月2日午後、柘植副大臣は、EU・欧州対外活動庁(EEAS)のステファノ・サンニーノ事務総長(Mr. Stefano Sannino, Secretary General, European External Action Service)と意見交換を行いました。冒頭、先方から、今回の柘植副大臣のEUインド太平洋閣僚会合への出席に改めて謝意が表明され、両者は、近年の日EU関係の進展を歓迎しつつ、対ウクライナ支援を含め様々な分野で日本とEUで引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
(5)このほか、柘植副大臣は、クロアチアのグルリッチ=ラドマン外務欧州大臣、インドネシアのルトノ外務大臣、ポーランドのシコルスキ外務大臣、EUのボレル外務・安全保障政策上級代表、キプロスのコンボス外務大臣とそれぞれ短時間の懇談を行いました。
EU加盟国、域外の招待国・機関(ASEAN、太平洋島嶼国、中東、アフリカ等)等、70以上の国・機関が出席。全体会合に加え、「共有された繁栄・経済的強靱性・投資」、「グリーン転換」、「地政学上及び安全保障上の挑戦」の分科会が開催された。